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「本当に景気が悪いっていうのはこういうことなんですよ」――。日銀幹部がこう言い表すのは、2009年3月の全国企業短期経済観測調査(短観)のことだ。08年9月のリーマン・ショックから3回目の短観で、大企業製造業の景況感はマイナス58に沈んだ。一方、1日発表の20年3月の短観はマイナス8。かつての危機に比べれば、まだましに映る。だが経済への影響の大きさや深さが「リーマン未満」にとどまるとの政策当局内の楽観論は当初よりしぼみ、日銀も迫る危機の足音に身構えている。新型コロナウイルスの感染が急速に広がる前、日銀内には「今回はリーマン危機とは違う」という空気が漂っていた。確かに、コロナの影響が資金の出し手である銀行の経営を直撃しているわけではない。金融バブルの崩壊が銀行の機能不全を招いたリーマン危機のときは、貸し渋りや貸しはがしが広がった。その記憶が鮮明な企業は「いざというときに頼れるのは現預金だ」と内部留保を積み上げてきた。だが世界に広がったコロナ感染の終息はまったく見通せず、逆に深刻度が日に日に増している。「リーマン未満」との見方は甘いといわざるを得ない現実が広がる。危機の記憶もよみがえる。08年当時、金融市場局長だった中曽宏前副総裁は「現時点ではリーマン型の危機には至っていない」としつつも「企業倒産が増え、銀行の財務が傷んでくると、リーマン当時と同じことになる」と指摘する。金融が目詰まりを起こし、実体経済の悪化に拍車をかける「ネガティブ・フィードバック」と呼ばれる負の連鎖が始まると、影響は「一過性」ではとどまらなくなってしまう。安倍晋三首相は今回、リーマン危機時を上回る「かつてない規模の経済対策」を打ち出す方針を示している。「リーマン超え」が経済対策だけでなく悪影響にもあてはまってしまうのか。「本当に必要なことをやる」という日銀幹部の危機感が試される局面に入った。(*日経 記事より)
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