韓国ドラマ「30だけど17です」(連載193)
「30だけど17です」第22話(13年前の初恋)⑦
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
ウジンの倉庫の片づけは着々と進んだ。捨てる物はたくさんあり、棚の余白スペースはたくさんできている。
(これからここに2人分が積もって来るかな…)
ウジンがあたりを見回し、片付けの終わりを実感しているとジェニファーが顔を出した。
「”持つ物を知れば、捨てる物が見える”byジュリー・モーゲン・スターン」
「…」
「ミスター・コン」
「はい?」
ジェニファーは親指を突き出した。
「よくできました」
「ああ〜」
ウジンは苦笑する。
「片づける時が来たものだから」
「鼻の下に煤がついてます」
「煤ですか?」
ウジンは指で鼻の横をこすった。
「取れましたか?」
「はい、少しは―マシになりました」
ジェニファーは目を反らす。
「何です? 消えてないんでしょ」
今度はⓉシャツの袖で拭う。
「どうです?」
「―チャン君の部屋の掃除中にこれを見つけました」
ジェニファーは手にした何かを差し出す。
クク・ミヒャンの名刺だった。
「ひょっとして、この方がソリさんの叔母様ですか?」
ウジンは目をそらし、軽くため息をつく。
この時、携帯が鳴った。
「はい、先生」
世話になっている精神科医からだった。
ウジンは街中のカフェラウンジで先生と会った。
「うちの音楽療法を見ただろ?」
「はい」
「練習の成果もあって―音楽界は大げさだが、来月、小規模な公演を開く」
「…」
「そこでだが」
「舞台はお任せを」
ウジンは答えた。
「…」
「何なりと手伝えるなら、先生に恩返しができて嬉しいです」
「…恩返しか―しかし、君に力を貸したのは別の人だろう?」
ウジンはちらと目を逃げた。
「同じ人だと知らずに2度も好きになるほどの人」
「そうですね」
ウジンは遠くを見る目になった。
「彼女はこんな人です。特別な物でなくても、一緒の食べれば美味しいし、いつもの空なのに、一緒に見ると青く見える。何でもないことだって、それが楽しかったりする」
先生はウジンの話を聞きながら頷く。
「”この青年が患者として自分の前に現れるのはもうないだろう…”」
ウジンの話は続く。
「ごく普通のことを特別な時間にしてくれる人です」
先生は軽く笑い声を立てた。
「どうしたんです?」とウジン。
「話してる時の君の顏が―とても心地よさそうでかわいく感じた」
話し終えて、先生は少年のようにクスクス笑う。
「かわいい、ですか?」
「いや」
先生は手を横に振る。
「今のは取り消すよ。彼女はきっとそう言うだろうからね」
下を見てまだクスクスしている。
(もう言われちゃったよ)
思わずウジンも笑い声を立てた。
図書館で音楽療法の書物を手にしていると、携帯が鳴った。
かかってきたのはキム・ヒョンテからだった。
「ご相談があるんです。会えませんか?」
食事をして運動もして、チャンとソリは帰路の散策についた。
公園にやってきた。
「ここに来た理由を聞きましたよね?」
「…」
「おしゃれしてレストランに行っても、緊張して失敗する」
「…」
「俺にふさわしくて、自分らしい場所の方が、本心を伝えられる気がしたんです。だからここにしたんです」
「どういう意味?」
「俺―おばさんが、好きなんです」
ソリは足を止めた。
少し歩いてチャンも足を止めた。ソリの前に戻った。
「ドクスやヘボムとは違うんです。別の意味で好きです」
ソリは曖昧に反応する。
「そお〜(なの)?」
チャンは続けた。
「おばさんを想うと―胸がむずがゆくなる」
「…」
「おばさんが泣くと俺も胸が痛む」
「…」
「一緒に笑いたいし、慰めてもあげたい。守りたくなるんです」
「…」
「数か月後にプロ入りすれば、俺も大人になるからおばさんを守ってあげる」
チャンの真剣な言葉を聞いているうちに、ソリの表情は次第に強張ってくる。曖昧な返事ではぐらかすわけにいかないのを強く感じたからだった。
チャンの前でソリは息苦しさを覚えた。そんな目でチャンが自分を見ているとは思わないで来た。いや、少しは感じ取っていたかもしれない。
「実は…」
ソリが次を話すのに窮しているとチャンは続けた。
「こういうつもりでした」
ソリはチャンを見上げた。
「優勝した日に」
「…」
「でも、安心して―過去のことだから」
「…」
「でも、一度は言ったほうが、吹っ切れると思ったんです」
ソリはチャンをまっすぐ見つめた。心は落ち着きを取り戻していた。
「言わずにいたら、きっと辛くなるから」
「…」
「30だけど17です」第22話(13年前の初恋)⑦
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
ウジンの倉庫の片づけは着々と進んだ。捨てる物はたくさんあり、棚の余白スペースはたくさんできている。
(これからここに2人分が積もって来るかな…)
ウジンがあたりを見回し、片付けの終わりを実感しているとジェニファーが顔を出した。
「”持つ物を知れば、捨てる物が見える”byジュリー・モーゲン・スターン」
「…」
「ミスター・コン」
「はい?」
ジェニファーは親指を突き出した。
「よくできました」
「ああ〜」
ウジンは苦笑する。
「片づける時が来たものだから」
「鼻の下に煤がついてます」
「煤ですか?」
ウジンは指で鼻の横をこすった。
「取れましたか?」
「はい、少しは―マシになりました」
ジェニファーは目を反らす。
「何です? 消えてないんでしょ」
今度はⓉシャツの袖で拭う。
「どうです?」
「―チャン君の部屋の掃除中にこれを見つけました」
ジェニファーは手にした何かを差し出す。
クク・ミヒャンの名刺だった。
「ひょっとして、この方がソリさんの叔母様ですか?」
ウジンは目をそらし、軽くため息をつく。
この時、携帯が鳴った。
「はい、先生」
世話になっている精神科医からだった。
ウジンは街中のカフェラウンジで先生と会った。
「うちの音楽療法を見ただろ?」
「はい」
「練習の成果もあって―音楽界は大げさだが、来月、小規模な公演を開く」
「…」
「そこでだが」
「舞台はお任せを」
ウジンは答えた。
「…」
「何なりと手伝えるなら、先生に恩返しができて嬉しいです」
「…恩返しか―しかし、君に力を貸したのは別の人だろう?」
ウジンはちらと目を逃げた。
「同じ人だと知らずに2度も好きになるほどの人」
「そうですね」
ウジンは遠くを見る目になった。
「彼女はこんな人です。特別な物でなくても、一緒の食べれば美味しいし、いつもの空なのに、一緒に見ると青く見える。何でもないことだって、それが楽しかったりする」
先生はウジンの話を聞きながら頷く。
「”この青年が患者として自分の前に現れるのはもうないだろう…”」
ウジンの話は続く。
「ごく普通のことを特別な時間にしてくれる人です」
先生は軽く笑い声を立てた。
「どうしたんです?」とウジン。
「話してる時の君の顏が―とても心地よさそうでかわいく感じた」
話し終えて、先生は少年のようにクスクス笑う。
「かわいい、ですか?」
「いや」
先生は手を横に振る。
「今のは取り消すよ。彼女はきっとそう言うだろうからね」
下を見てまだクスクスしている。
(もう言われちゃったよ)
思わずウジンも笑い声を立てた。
図書館で音楽療法の書物を手にしていると、携帯が鳴った。
かかってきたのはキム・ヒョンテからだった。
「ご相談があるんです。会えませんか?」
食事をして運動もして、チャンとソリは帰路の散策についた。
公園にやってきた。
「ここに来た理由を聞きましたよね?」
「…」
「おしゃれしてレストランに行っても、緊張して失敗する」
「…」
「俺にふさわしくて、自分らしい場所の方が、本心を伝えられる気がしたんです。だからここにしたんです」
「どういう意味?」
「俺―おばさんが、好きなんです」
ソリは足を止めた。
少し歩いてチャンも足を止めた。ソリの前に戻った。
「ドクスやヘボムとは違うんです。別の意味で好きです」
ソリは曖昧に反応する。
「そお〜(なの)?」
チャンは続けた。
「おばさんを想うと―胸がむずがゆくなる」
「…」
「おばさんが泣くと俺も胸が痛む」
「…」
「一緒に笑いたいし、慰めてもあげたい。守りたくなるんです」
「…」
「数か月後にプロ入りすれば、俺も大人になるからおばさんを守ってあげる」
チャンの真剣な言葉を聞いているうちに、ソリの表情は次第に強張ってくる。曖昧な返事ではぐらかすわけにいかないのを強く感じたからだった。
チャンの前でソリは息苦しさを覚えた。そんな目でチャンが自分を見ているとは思わないで来た。いや、少しは感じ取っていたかもしれない。
「実は…」
ソリが次を話すのに窮しているとチャンは続けた。
「こういうつもりでした」
ソリはチャンを見上げた。
「優勝した日に」
「…」
「でも、安心して―過去のことだから」
「…」
「でも、一度は言ったほうが、吹っ切れると思ったんです」
ソリはチャンをまっすぐ見つめた。心は落ち着きを取り戻していた。
「言わずにいたら、きっと辛くなるから」
「…」
「おばさんは俺の初恋でした。初恋をきちんと終わらせたいんです。だから告白しました」
心は落ち着きを取り戻しつつも、ソリの目にはいつしか涙が溜まって来だす。
「最初は17歳に見えたけど、今は本物の大人です」
「…」
「それから、ありがとう。ミスター・コンを昔の叔父さんに戻してくれて―俺とは友達になりましょう。今度はうんと叔父さんを愛してやって」
「…」
頬を涙が流れ落ちる。ソリは慌てて手指で拭いとる。
「おばさん、泣くのは反則だよ。俺は―足首と同じで心の回復も早い方だから。すぐ、平気になるんだから」
チャンは自分の手のひらをソリにかざした。
「このタコが心にもできました」
ソリは懸命に涙の感情を抑えている。
申し訳なさのこもった涙の姿にチャンは今日、ソリを誘って遊んだのをよかったと感じた。
「ああ、気分爽快だ。今日、この話を伝えられてよかった」
「…」
「これから運動していくから、先に帰って」
「…」
「カッコいいこと並べたけど、今の俺、泣く時間がほしいんです」
ソリは黙って背を返した。
少し歩いて振り返る。
チャンが手を振るのを見て、黙って背を返す。今度は振り返らなかった。
その後ろ姿をチャンは複雑な感情で見送り続けた。
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