アンナは驚いている。
バスは止まって待っている。
「帰ろう」
先にバスに乗ろうとするチョルスをアンナは引き止める。
「どういう意味? なぜ私を捜すの?」
チョルスはじっとアンナを見つめる。
面と向かうと素直な気持ちが逃げていく。
「なぜって…金のためだ」
ぶっきらぼうに言ってチョルスはさっさとバスに乗り込む。
敵意を露わにしながらアンナもバスに乗り込んだ。
バスは空いている。チョルスの横に座席を取ってアンナは問いただす。
「今のどういうこと? お金のためにどこまでも私を捜す気なの?」
「…」
チョルスは腕を組み目をつぶる。
「格好なんかつけないで正直になりなさい。ほんとその気なの?」
チョルスは目を開ける。
「サンシラーッ」
「うん」
何かいい言葉が聞けるかと期待してアンナは目を輝かす。
「せせこましいから向こうに座ってくれ」
アンナは拍子抜けした。同時に腹が立った。
「言われなくてもそうするわよ!」
隣の席に移ってソッポを向く。
チョルスはクスンと笑った。
からかってみただけなのだ。
ほどなくチョルスはほんとに眠った。
しかしアンナはずっとチョルスの言葉が気になっている。
「格好つけたセリフだったけど…本当にお金のため? まさか…」
アンナは空想する。
――
家を出ていく自分をチョルスは必死に引き止める。
「どこへ行くんだ?」
「清算はすんだわ。どこへ行こうと自由よ」
「いや、まだだ」
チョルスは電卓を取り出す。数字をジャカジャカ打ち始める。
「130万にジャージャー麺とマッコリ、湿布とカメラと携帯…これだけきっちり払え」
ドーンと膨大な数字を突きつけてくる。
「断ったら?」
「どこにいても、どんなに遠くても・・・俺はお前を捜しに行く」
――
アンナは寝ているチョルスを睨みつけた。
「そうね。チャン・チョルスならやりかねないわ」
じっと見てるうち、別の筋書きも浮かぶ。
「いいえ…さっきは確かに…意味深な話し方だった。ひょっとしたら、もしかして…」
アンナは再び空想する。
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