雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第13話(1)





 アンナは驚いている。
 バスは止まって待っている。
「帰ろう」
 先にバスに乗ろうとするチョルスをアンナは引き止める。
「どういう意味? なぜ私を捜すの?」
 チョルスはじっとアンナを見つめる。
 面と向かうと素直な気持ちが逃げていく。
「なぜって…金のためだ」
 ぶっきらぼうに言ってチョルスはさっさとバスに乗り込む。
 敵意を露わにしながらアンナもバスに乗り込んだ。
 バスは空いている。チョルスの横に座席を取ってアンナは問いただす。
「今のどういうこと? お金のためにどこまでも私を捜す気なの?」
「…」
 チョルスは腕を組み目をつぶる。
「格好なんかつけないで正直になりなさい。ほんとその気なの?」
 チョルスは目を開ける。
「サンシラーッ」
「うん」
 何かいい言葉が聞けるかと期待してアンナは目を輝かす。
「せせこましいから向こうに座ってくれ」
 アンナは拍子抜けした。同時に腹が立った。
「言われなくてもそうするわよ!」
 隣の席に移ってソッポを向く。
 チョルスはクスンと笑った。
 からかってみただけなのだ。

 ほどなくチョルスはほんとに眠った。
 しかしアンナはずっとチョルスの言葉が気になっている。
「格好つけたセリフだったけど…本当にお金のため? まさか…」
 
 アンナは空想する。

――
家を出ていく自分をチョルスは必死に引き止める。
「どこへ行くんだ?」
「清算はすんだわ。どこへ行こうと自由よ」
「いや、まだだ」
 チョルスは電卓を取り出す。数字をジャカジャカ打ち始める。
「130万にジャージャー麺とマッコリ、湿布とカメラと携帯…これだけきっちり払え」
 ドーンと膨大な数字を突きつけてくる。
「断ったら?」
「どこにいても、どんなに遠くても・・・俺はお前を捜しに行く」
――

 アンナは寝ているチョルスを睨みつけた。
「そうね。チャン・チョルスならやりかねないわ」 
 じっと見てるうち、別の筋書きも浮かぶ。
「いいえ…さっきは確かに…意味深な話し方だった。ひょっとしたら、もしかして…」

 アンナは再び空想する。



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