韓国ドラマ「イケメン(美男)ですね」第1話(7)
(Korean drama "You're Beautiful" Episode 1 (7))
肩に手を置かれてミニョは後ずさった。すると後ろにいたジェルミにぶつかった。
「おっ?」
ミニョに身体をぶつけられたジェルミは手をかざした。ミニョの身長を測るしぐさを見せ、怪訝そうにした。
「思ってたよりもチビだな」
ミニョはまた後ずさった。シヌの横に立った。
テギョンは鋭い目でミニョを睨み続けている。
その視線をミニョは痛いと感じた。後ろめたさがあるだけによけいだ。
アン社長が二人を追いかけてきてスタジオのドアを叩いた。
「テギョン、ドアを開けろ。ドアを開けろと言ってるんだ」
ミニョは社長に助けを請うような目を送った。
その表情をシヌは見逃さなかった。
「どういうことだ・・・?」
ドアが叩かれる。何度も叩かれる。
「おい、テギョン、早く開けろと言ってるだろう」
テギョンはミニョを睨みつけたまま、それを無視し続ける。テギョンの強い意志を汲み取り、ドアを開けに誰も行こうとしない。
フニの声もする。
「ちょっ、ちょっと、ここを早く・・・社長・・・!」
アン社長が室長を叱り付けている。
「室長、何とかしろ」
ドアを叩く音。社長の苛立った声。
「テギョン、どういうつもりだ」
フニも叫ぶ。
「開けてください、ここを」
彼らを無視してテギョンはミニョを睨みつけている。
「テギョン、開けなさい」
社長らに背を向けたまま、テギョンは楽譜をミニョに渡した。
「歌ってみろ」
ミニョはテギョンを見つめ返した。
「これは俺が耳で確かめてから決める」
「・・・」
「俺が認めなければ、社長と契約してもメンバーとしては認めるわけにいかない。そのチャンスをやろう」
シヌもテギョンに同調を示した。
「確かに・・・社長の誉め方は尋常ではなかった。実力のほどは自分も気になる」
そう言って優しそうな目をミニョに向けた。
(この人もそんなこというの・・・!?)
途方に暮れかかるミニョに正面のジェルミも追い討ちをかけてきた。
「すごい美声なんだって? 歌ってみろ。歌えばいいじゃないか」
ミニョは目を落とした。
気持ちはどんどん萎縮していく。
自分はこの人たちの思っているお兄ちゃんじゃない。兄妹で似ていると言っても男じゃないし、お兄ちゃんの代わりに歌えるわけもない。サインするだけでいいなんて言われて気楽についてきたけど、失敗しちゃったなあ・・・こんなことになって、このあとをどうすればいいか分からなくなってきた・・・。
「この曲がイヤなら、別の曲でもいい。お前の歌える歌をうたってみろ」
ミニョは楽譜を見つめた。
この歌、どう歌えばいいのだろう・・・?
外でアン社長の声が聞こえる。
「早くカギを探してこい。中に声をかけ続けなきゃだめだ」
事の発覚を恐れるフニは懇願の言葉をかけ続けている。
「ここを開けてくださいよ。ちょっと・・・ミナム~っ!」
「早く、どうにかしろ!」
ドアが激しく叩かれる。ミナムを心配する声が飛んでくる。
テギョンはまったく動じない。他のメンバーもテギョンの考えに同調している。
「できない?」
テギョンは疑念の表情になった。
苦境のミニョは自問自答を繰り返している。早く楽になりたい、という思いが徐々に首をもたげてくる。
――お兄ちゃんには悪いけど、もう何もかもすべていっさいをここで話してしまおうかな・・・。
この時、ここまで進めたシナリオをぶち壊したくないフニも必死だった。ドアの外からミニョに向って叫んだ。
「ミナム、こっちを見ろ。これはお前の夢だったんだぞ。絶対、あきらめたらダメだ。夢をあきらめるつもりか?」
――お兄ちゃんの夢?
「コ・ミナム、あきらめるんじゃないぞ」
――そうだ、これはお兄ちゃんの夢だったんだ!
テギョンは口を曲げ、冷笑を浮かべた。
「もういい。お前じゃだめだ」
契約書を目の前で破り割こうとした時、ミニョは透き通るような声で歌いだした。
★★★★★
<フランク作曲<荘厳ミサ曲;イ長調>より「天使の糧(パン)」>
題名にもあるとおり「天使の糧(パン)」として親しまれている曲ですね。 ミサ曲のなかでは、サンクトゥスとアニュスデイのあいだに挿入されています。この曲はフランクが以前作曲していた<荘厳ミサ曲>にあとになってから付け加えた曲で、もとのミサ通常文にはなかった聖体祭賛歌です。テキストは1264年にローマ法王ウルバン4世の要請により聖体祭(Corpus Christi)のために 聖トマス・アクィナスにより作られた賛歌の終わりの2節から成っています。ミサ曲全曲で聴くことより一般の演奏会の独立した曲目としてテノールの独唱曲やオーケストラの曲 として扱われることの方が多いようです。
SACRED MUSIC 教会音楽集(解説より)
★★★★★
ミニョの歌声にテギョンの契約書を持つ手は止まった。
彼女の声にシヌもジェルミも魅せられた。
彼女が歌う間、彼らの心には慈愛に満ちた天使が降臨していた。
★★★★★
<script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?cb=googleTranslateElementInit"></script> google-site-verification: google3493cdb2db9