チョルスはアンナを家に連れ戻し、アンナがナ・サンシルでないことや今までの経緯を正直に話した。
「つまり…私はサンシルじゃなくて…一千万の猫とクルーザーの持ち主だったってわけ?」
「…そうだ」
「そしてあんたは、私に何度も殴られた腹いせで・・・あそこに連れてきたのね?」
「何度じゃなくて・・・」チョルスは苛立っているアンナを見た。「そうだ」
「要するに…あんたの恋人じゃなくて・・・にっくき敵だったのね?」
「そうだ…」
チョルスはただ頷いた。
「そしたら…私の家族は?」
アンナを見てチョルスは言った。
「それは俺も知らない」
「捜せなかったんだ」
ドックは喫茶室で母親に説明した。
「兄貴は必死で捜したんだけど・・・誰も失踪届けを出してないんだ」
「じゃあ、どうするの?」
ケジュは訊ねた。
「ずっと面倒を見るわけ?」
「さあ・・・記憶が戻るまでは面倒見るって言ってるが・・・」
ケジュはドックの肩を叩いた。
「どうしてあの時に止めなかったのよ。このまま家族が出てこなかったらどうするの?」
ビリーはプリンセスを抱いて再びチョルス家の前に出現した。
「ためらっちゃいけない。勇気を出すんだ。僕がそばにいることをアンナに認識させるんだ」
庭先に出て行こうとした時、車の近づく音がした。
ビリーは急いで逃げかけた。
「待てよ・・・」
歩を止めた。
「むしろ、都合がいい。悲しげな僕の姿を見せればいいんだ。一途に思い続けた証拠になるじゃないか」
ビリーは庭先に進んで行こうとする。車に歩み寄ろうとする。
「悲しげな表情で・・・悲しげな・・・」
ためらうビリーの前でチョルスが車からおり、続いてアンナも降りてくる。
しかし、いつもと様子が違う。何があったんだ・・・?
車から降りたアンナはチョルスの家を見つめて複雑な表情を見せている。家に向かって歩みだそうともしない。
アンナが気になり、チョルスも車のそばから動かない。
そんな二人を呆然とした表情でビリーが見つめる。
「入ろう、サンシラッー」
アンナは苦々しい顔をして言った。
「その名で呼ばないで。私の名前じゃないでしょ!」
吐き捨てるように言ってアンナは先に歩き出した。
script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?2db9cb=googleTranslateElementInit"></script> google-site-verification: google3493cdb