雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載112)




韓国ドラマ「30だけど17です」(連載112)


「30だけど17です」第13話(家は売らない)⑥


☆主なキャスト&登場人物

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)

★★★

 2人は歩道橋を走り上がった。歩道橋の中央で顔を合わせた。呼吸を整え見つめ合った。
「いきなり駆け出して…びっくりしたよ」
 ソリは声を弾ませて訊ねた。
「家は売らないって本当ですか?」
「ああ、父を説得しに済州島に行ってきた」
「…」
「運動するチャンやトックには庭が必要だし、ジェニファーも…そうだ、唐辛子を干すのに庭を使ってる…他にも」
 ソリはウジンに抱きついた。そうして喜びを表した。
「おじさん、ありがとうございます」
 そう言って震える声で泣き出した。
「ほんとにありがとうございます」
「家も百日紅もなくならないよ」
 ソリを見てウジンは言った。
「だから叔父さんを見つけて家を取り戻して」
 ソリは涙を浮かべたまま頷く。
 ウジンは訊ねた。
「さっきはなぜ見えないフリを?」
 ソリは答えた。
「私を不安にさせたから」
「僕が? 僕がいつ不安にさせた…んだ?」
 ソリはすかさず言った。
「何も言わずに消えた」
「…」
「おじさんもいなくなったのかも、と…怖くてたまらなかったんです」
「…安心して」ウジンはきっぱり答えた。「僕は決して消えたりしない。絶対に」
 ソリは涙顔で今日初めて笑顔を見せた。

★★★


 ウジンはチャンにも電話で家の件を伝えた。
「済州島へ? お祖父チャンに何の用で?」
「家の相談だ。家を売らない了解を取り付けた」
「ほんとに?」
 チャンはガッツポーズを取った。ドクス達を振り返った。
「家を売らないですんだ」
「ほんとか? よかったな」
 頷いて喜んでるうち、チャンは真顔になった。
「待てよ〜、そしたらまた、仕事と放浪、半々の生活に?」




 話は数時間前に戻る。
 ウジンは父親のいる美術館に顔を出した。
「まだ開館前です」
 声をかけると父親はすぐさま答えて振り返った。
 ウジンは笑顔になった。
「お前か。驚かせるな」
「元気にしてた?」
 テーブルに落ち着き、ウジンは家の売買の件を切り出した。
「売らないでほしい、と? そのことで飛んできたのか?」
 ウジンは小さく頷く。
「話してみろ。売りたくない理由を」
「家が好きになったんだ」
「…」
「あそこで過ごす時間、あの空間を残しておきたい」
「しかし、そのうちまた、放浪の旅に出るんだろう?」
 ウジンはかぶりを振った。
「もう放浪はしない。だから心配しなくてもいい」
 父親の髪に笑みが浮かんだ。
「今まで悪かった。だから、あの家は…」
「売らないさ」
 父親はきっぱり答えた。
「お前が韓国に居続けるなら、あの家は処分などするもんか」
 父親は笑って言った。


 ウジンは済州島からとんぼ返りし、ジェニファーに家を売らない旨を伝えて自宅を出たのだった。
「家を売らないんですね」
 ウジンを見送ったジェニファーは嬉しそうにトックを見た。晴れやかな顔で家事に精を出した。ジェニファーの動きを追ってトックも走り回った。


 給湯室でお茶を入れようとしてるソリのところにウジンが入って来る。
 ウジンを振り返ったソリは家の件で礼を言った。
 その時にシャツから取れかかっているボタンを見つけた。
「これ? 別にどうってことない」
「ダメよ」ソリは言った。「だらしないから付けてあげます」
 ソリは裁縫用具に手を伸ばす。
「だ、だらしない?」
 ウジンの気分はへこむ。
「この前は”バカ”で今度は”だらしない”? けっこう、暴言を吐くんだな」
「いいから、じっとしていてください」
 針と糸をセットしてソリは向き直った。シャツの襟あたりのボタンを縫いにかかる。ソリの顏が近づいてウジンは緊張した。
「か、構わないのに…」
 ウジンは思わずソリから目をそらした。ソリはボタンをつけながら、一呼吸入れてウジンを見上げた。2人の目は合った。ソリは目をそらし、ボタンを縫い続ける。
 そこにカン代表が顔を出した。2人を見て言った。
「何してるの?」
 ウジンは慌てて鼻をソリの頭にぶつけてしまった。
 痛がるウジンにソリは叫んだ。
「大変だわ」
「あららっ!」
 
 騒ぎが落ち着いて4人はミーティングに入った。
 カン代表が話し始める。
「明日、スリョン島で音楽祭があるから―」
 話を聞きながらソリは鼻血を流したウジンを心配そうに見ている。ウジンは笑顔を返す。
 カン代表はウジンを見た。
「コンが私の代わりに行って」
 ウジンはヒスを見て答える。
「明日は会議があるから午後に出勤する」
「だけどね」とヒス。「今日も私に連絡もなしに無断で午後から出勤したでしょ」
「…オーケストラの練習室へ行ってきま〜す」
 ウジンは立ち上がった。
「何で行くんです?」とチン・ヒョン。「編成表ならもらいましたよ」
 背を向けていたウジンはヒョンを振り返る。
「いいんだ。実際に聴いて勘どころをつかむ」
「そうか」とヒス。「だったら専門家のソリさんも一緒に行ってきて」
「わかりました」
 ソリは立ち上がった。出かける準備を始めたウジンに歩み寄った。
「大丈夫ですか? 私の石頭のせいで鼻血が出ちゃったから。ごめんなさい」
「石頭は仕方ないから謝ることはないよ」
 ウジンは笑って答えた。
「えっ?」
「いいから君も出かける準備をして」
 ソリは準備で離れる。
 ウジンは最後にイヤホーンを握った。しばし考え、屑籠に捨てた。


<script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?cb=googleTranslateElementInit"></script>  google-site-verification: google3493cdb2db9
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「韓国ドラマ「30だけど17です」」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事