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韓国ドラマ「30だけど17です」(連載25)

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韓国ドラマ「30だけど17です」(連載25)


「30だけど17です」第3話(期限付き同居の始まり)⑤


☆主なキャスト&登場人物 


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)


★★★


 一階のリビングルームにはユ・チャンとトックがいた。
 そばから離れたトックを呼びながら、届いたピザを頬張ろうとしていたら、内玄関をあけてソリが顔を覗かせた。
「すみません」
「あれ?」とチャン。
 すぐさまトックが尻尾を振ってソリに走り寄った。
「ペン!」
 ピザをテーブルに戻してチャンは駆け寄る。
「また来たの?」
「…」
「あっ、いや、叔父さんの転居先は見つかった?」
「まだ、分かりません」
 ソリは立ち上がる。
「じつはお願いがあります。私の荷物が残ってないか確認させてください」
「残ってる? まさか…、うちの祖父が処分したはずですよ」
「でも、残ってるかも…3分でいいからお願いです。確認させてください」
 チャンは頭に手をやった。
「困ったな。ミスター・コンが怒るかも…」
 チャンは他に目をやる。
「シャワー中だよな…」
 ソリに緊張の目を向ける。
「3分だけですよ」
「はい、3分だけ」とソリ。
 その時、ウジンの声がした。
「ああ、カン代表…」
「あれ、もう出てきたのか」


 
「もっと顧客を大事にしてよ」
 ウジンの握った携帯からは、カン・ヒスの愚痴が流れ出た。


★★★


 ウジンはシャワーを浴びて出て来たところだった。
「そんな態度を取られたんじゃ私が困るわ。仕事が来なくなっちゃうじゃない」
「分かった。では明日」
 そっけなく相手してウジンは電話を切る。
 下におりようとしたら、チャンが階段を駆け上がってきた。
「ミスター・コン。もうシャワー終わったの?」
「…」
「身体、よく洗った? こことか背中とか」
 あっちこっち身体を触れて来るのでウジンは笑った。自分に懐いてるのは子供の頃からだが、今のチャンにこんなスキンシップされたら首を傾げるしかない。
「きれいに洗ったよ」
 ウジンはくすぐったく笑い、チャンの頭を撫でた。
 タオルを肩にかけ、下におりて行こうとする。
 そんなウジンにチャンは抱きついた。
「ミスター・コン」
「ちょっ、ちょっと…いくら叔父と甥でもこれは行き過ぎだ。どうしたんだ?」
 チャンは”ままよ”と抱きついてつぶった目を開けた。
「ミスター・コンと一緒に暮らすのが嬉しくて」
 チャッカリした表情で必死に説明した。
「ドイツで暮らした頃を思い出すんだ」
 さすがにウジンは苦笑する。
「じゃあ、これも懐かしいだろ」
 ホッペに思い切りキスした。
「ワー、汚いな」
 チャンは慌てて離れた。頬を押さえた。
 しかし出会った時から気になってる”ソリおばさん”のためだ。
 手を合わせ、愛想笑いして時間の引き延ばしを続ける。
「久しぶりにお喋りしようよ。じっくりと二人きりで」
 指で示す。
「3分ほど」
 手を叩く。
「おしゃべりタイム」
 ウジンも手を叩いて返す。
「水分補給タイム」
 そう言ってチャンの横を通り過ぎる。
 それでもチャンは続けた。
「あとで飲んでよ」
 追いかけて手を取った。
 その時、”カタン”と物音がした。
「今のは何の音だ?」
 2人は吹き抜けになった1階フロアに目をやった。
 ウジンは黙って階段を走りおりていく。チャンもやむなく続いた。




 ジェニファーは階下で植木の鉢を動かし、2人の前でサングラスを外した。タケノコの若芽(?)を抱えている。
「何かご用でも」
「用はありません。もう解決しました」
 ウジンはジェニファーの前を離れる。
 ”ピー”と電子音がした。
「洗濯が終った」
 ジェニファーもチャンの前を離れた。
 その場に残ったチャンはつぶやく。
「3分経ったから帰ったかな…?」
 しかし用向きが無事すんだか心配だ。
 辺りにヒソヒソ声で呼びかける。
「おばさ~ん…、いる? おばさん」
 後ろにジェニファーが立った。
 横から顔を出す。
「お呼びですか?」
「びっくりした!」
 チャンはのけぞる。
「呼んでないけど…」
 ジェニファーは洗濯をすませたばかりの布巾を両手で振った。
「私は”おばさん”ではありません」
「…」
「この機会に呼び名を決めましょう」
「ええ、まあ~…」
「<ジェニファー>と呼んでください」
 戻ってきたウジンは思わず口に手をやった。
 チャンは耳を手でつまみしげしげとジェニファーを見た。
「洗濯物を干してきます」
「スゲー発音だ…ただ者とは思えないな」
 とチャン。
 スケールを手に何か測り始めているウジンを見た。
「そう思わない?」
「…56センチ」
 チャンは後ろに歩み寄った。
「何してるの?」
「トックの別荘を作ってやるんだ」
「愛してるんだね」


 そこにおめかししてイ・リアンが玄関から顔をだした。手にはプレゼントを持っている。
 しかしチャンはウジンとの話に夢中だ。
「だったらついでにヒヨコの家も作って」
 話し相手を見てリアンは思う。
「あの方が将来の義叔父様ね」
 リアンは髪を整え、あの方に目を凝らした。
 しかし…スケールで何か測量してる姿に”まさか”の予感を覚える。
 そして口に手をやった。声のトーンと合わせてそれは現実だと気づいた。自分が足蹴にし、リュックを投げつけた男だ、と…!
「ヤバイ! もうおしまいだわ」
 部屋に上がることなくリアンはそこから逃げ出してしまった。 
 
 夜中、工作中にウジンは手を止めた。誰かの泣き声のようなものを耳にした。
 泣き声かどうかはしかと分からない。何か怨念のこもったような不気味な声は耳の奥にしがみついて離れない。
 ウジンは腰を上げた。
 チャンも同じだった。その声が気になって部屋を出た。

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