長年「アイリス」に対抗してきた"声の主"がヒョンジュン(イ・ビョンホン)に送った画像には、彼の枕元に立つペク・サン(キム・ヨンチョル)とサウ(チョン・ジュノ)が映し出されていた。"声の主"は殺され、ヒョンジュンは彼の最後の言葉をヒントに、あるIDと鍵を手に入れる。
その頃、テロの真の目的が南北首脳会談の阻止ではなく、ソウルの中心地で核テロを行うことであることを知った北朝鮮の要員・チョリョン(キム・スンウ)は、上司のヨン・ギフン(チェ・ジョンファン)に異を唱える。核テロが近いことを察知するも詳細が分からないでいたヒョンジュンは、"声の主"が残したIDと鍵の手引きで大統領チョ・ミョンホ(イ・ジョンギル)と会い、「アイリス」とペク・サンの正体、そして核テロの危険を伝える。
一方、ペク・サンとサウの行動に疑問を感じたNSSの室長は、スンヒ(キム・テヒ)と共に独自捜査に乗り出すのだが!?
ファン・テソンの話から、サウの行動に疑念を持ったソンヒョンは、このことをペク・サンに報告をあげるが、ペク・サンは巧みな応接でこれを握りつぶす。
チン・サウは自分の狙撃した墜落機からヒョンジュンを助け、彼をバックアップし続けようとする<声の主>の隠れ家をついに見つける。ペク・サンを案内して隠れ家を襲撃する。隠れ家はたちまちサウの一隊の手に落ちた。
電話が通じなくなって不安を覚えたヒョンジュンらは<声の主>のところへ向かった。そこへ携帯電話が入る。携帯に映し出されたのは<声の主>の現場映像だった。そこにはペク・サンとサウの姿も映っていた。
<声の主>と感情のこもらないやりとりをした後、ペク・サンは相手の顔に柔らかいものをおしあて銃を打ちぬく。
ヒョンジュンはむなしい叫び声をあげた。
(第12話より)
ヒョンジュンとソンファが声の主の隠れ家に駆けつけた時、ペク・サンとサウの一隊はユ・ジョンフンらを始末し、すでに立ち去ったあとだった。
声の主の遺体を見て呆然とするヒョンジュン。
「人の血を流した者は、自身も血で償う」
声の主がペク・サンに言った言葉(創世記 9章 6節)が気にかかったヒョンジュンは、部屋の机上から旧約聖書を探し出す。そのページの後ろ側から(ERHARD)と書かれたカードとキーが出てきた。それを持ってヒョンジュンらは引き揚げる。
その殺害現場にはサウがいた。ヒョンジュンの胸には空しさが去来していた。彼はソンファにペク・サンの陰謀によって、親友サウと自分の陥った運命について話す。
この後、ペク・サンとサウの苦い祝杯があり、妻との買い物シーンがある。陰謀の日々に忙殺される彼にも、里忍(草)のような家庭的な(擬似)生活はあるわけだった。
殺し屋ビックはNSSの天才ハッカー、ヤン・ミジョンとの交流を強めていた。誘い出し、彼女に情熱的なキスをしたあと、自分の部屋に誘った。ビックにはクールな観察の目が覗くが、ミジョンはもう彼に首ったけのようである。
パク・サンヒョンは声の主を襲ったペク・サン主導の銃撃事件をNSS内で扱おうとするが、ペク・サンは地元の警察に任せておけ、と一蹴する。
チョリョンは、ソウルの中心地で核テロ攻撃をもくろむヨン・ギウンに異論をとなえるが、ヨン・ギウンは受け付けず、説得を続けていた。
チョリョンを部屋に呼んだヨン・ギウンは最後通告で耳ざわりのいい言葉を並べ、半ば脅迫で説得を始めた。
ヨン・ギウンの説得を聞きながら考え続けたチョリョンは、「委員の意図に従います」と答えた。「核爆発の実行はいつですか。それまでソウルにいられません」
「この間、チン・サウが骨格の比較を求めてきた。92パーセント確率で一致する人物を見つけた。その遺体が今、私の部屋にある」
オ・ヒョンギュの話から、ペク・サンに疑いを覚えたパク・サンヒョンは、内部監査の担当室長を呼びだし、サウに関する監査の手続きが踏まれているかどうかを訊ねる。
「ない」と室長は答えた。
パク・サンヒョンはサウとペク・サンの監視を始める。
ペク・サンは河のほとりでヨン・ギウンと非公式に会っていた。その場でペク・サンは、
核攻撃を行う前にキム・ヒョンジュンを始末してくれ、とヨン・ギウンに申し入れる。
その命令はすぐドチョルのもとへ伝えられた。
核攻撃の準備は大詰めを迎えていた。攻撃チームから外されたヒョンジュンとソンファはその日が近いのを感じる。
パク・サンヒョンはスンヒのもとを訪ね、ヒョンジュンの話をした後、もう、目の前で起きていることが何がなんだかわからない、とこぼす。首をかしげるスンヒに、NSS内に裏切り者がいて、それはチン・サウとペク・サンだと報告する。スンヒは驚きに見舞われた。
時間がないと感じたヒョンジュンは、声の主の残したカードとキーを手がかりに某ホテルを訪れる。925号室に案内されたヒョンジュンはそこでツールを手にする。駐車場に出たヒョンジュンを最新式の車が待っていた。
電源の入ったナビーに人差し指をあてがうと目的地が表示された。ヒョンジュンの車はそこに向けて走り出す。しかし、ヒョンジュンには尾行がついていた。
尾行をまいてたどり着いた先で待っていたのはチョン・ヒョンジュン大統領秘書室室長だった。二人はヘリコプターに乗り、某所へ向かう。
ものものしい警戒がしかれた中、ヒョンジュンもきびしい身体チェックを受けた。たどりついた先で待っていたのはチョ・ミョンホ大統領だった。
秘書室室長の紹介に、大統領選挙遊説の時、私を助けてくれたNSS要員ではないか、と大統領は笑顔になる。
「今もNSSに所属しているのか」
「違います」
その言葉に秘書室室長は顔を曇らせる。
「スパイ容疑を受けて、今は死亡したとされています」
「こんな立派な人間が死亡処理とは・・・それにスパイ容疑とはどういうことだ」
ヒョンジュンは答えた。
「ユン・ソンチョル委員長を狙撃したのは私です」
ヒョンジュンはペク・サンがユン・ジョンフンを射殺する模様を映し出す携帯を持ってきていた。秘書室室長がそれを大統領に見せた。
「アイリス」とは何かがそこで議論された。
大統領の動きに異変を感じた広報企画官ホン・スジンは、この様子をペク・サンに伝える。ペク・サンはこの話を上(ヨン・ギウン)にあげた。配下は下調べでソウルの街中に繰り出している。核攻撃は予定通り行うとの答えが返ってきた。
パク・サンヒョンと組んでスンヒも再び動き出す。ヒョンジュンに会って、いろいろと質さねばならないことがあるからだ。
自分がテロリストらに捕まった場所探しからスンヒはヒョンジュンの足取りを追い始めた。
ドチョルには忠実に従いながらも、ソンファに親しみを感じている要員の一人が彼女にチョリョンから連絡が入ったことを教える。ソンファはチョリョンに連絡を取り、会う約束をする。
約束の場所に出向いたチョリョンは何者かに捕らえられる。手を回したのは意外なことにヒョンジュンだった。
少し古くなりましたが、(イ・ビョンホン)のインタビュー記事を載せます。
―本日はどうぞ宜しくお願いします。まず本作『アイリス』にご出演なさろうとした決め手は何でしたか?
この作品は、ドラマとしては制作費がかかったブロックバスターで、ドラマのテーマも、今まで韓国で取り上げたことがない“スパイ作品”です。
世界で唯一、南北に分断されている国家・朝鮮で、スパイ作品はどういう風に描かれるのだろうと、個人的にも興味がありました。
また、実力派の作家さんや俳優さんが出演していて、こういった作品に参加出来る機会はあまりないと思いました。
こういった色々なことが、出演を決めた理由ですね。
―なるほど。さて、今回演じられる「キム・ヒョンジュン」という役柄についてですが、彼はどういった人物なのでしょうか。
簡単に説明をしますと、ヒョンジュンは天才的な人で、肉体的、精神的にも努力はあまりしない人です。けれど、肉体的な能力・知能でいつも抜群の実力を発揮します。
ヒョンジュンは国のために NSS(国家安全局)で仕事をしますが、ある事件から自分のアイデンティティを失い、迷います。その復讐のための行動を起こすことで、物語が展開していきます。
―その“ある事件”については、オンエアをお楽しみに、というところですね。本作は日本の秋田や、ハンガリーのブタペストなど、海外での大規模ロケも特徴的な作品だと伺っていますが、アクションシーンのロケが満載だった、ハンガリーでの撮影はいかがでしたか?
ハンガリーは美しい景色も多く本当に素敵なところでした。また、悲しい痛みも感じられました。歴史が古いからかもしれませんが、とても良かったです。
けれど撮影スケジュールはタイトでした。
あまりにも忙しい撮影スケジュールだったので、一日も休めず、ほとんどずっと大変でした。
それに危険なシーンも多かったのですが、最後まで無事に終えることができました。
本作の脚本家は「絶対にこれ(ハンガリーでの撮影)は、全て撮影し終えられない」だろうと思っていたそうです。自分で書いた脚本の分量から計算しても、絶対に何日か…あるいは、1週間か10日くらいは撮影が延びるだろう、と考えたそうです。
ところが、我々がスケジュール通りに撮影を終えて戻ってきたのを見て、驚愕したそうです。本当にビックリしたんだそうです。「この人たちは、只者じゃない!」って。
―脚本を書いた張本人が驚いていたのですか…。それは物凄いですね(笑)。その方の驚いた姿が目に浮かぶようです…。さて、日本でもいよいよ来週から『IRIS』が地上波のゴールデンタイムで放送開始となりますが、『IRIS』を視聴される方へ、「こういうところに注意して見ると、より面白くなる」といった、お薦めの鑑賞ポイントがありましたら、教えてください。
はい。一つは今までのドラマとは違った「スピード」です。この速いスピードの展開が、視聴者の皆さんには魅力的に感じられると思います。スピード感に注意して視聴して頂くと、より楽しめると思います。
また、スパイ作品なので海外のロケ地も多く登場します。海外ロケでの素敵な映像も見どころですし、更には華麗なキャスティング、大規模なアクションシーンなども、お薦めの鑑賞ポイントだと思います。
―なるほど。是非それらのポイントを踏まえながら、本作を楽しんで頂きたいですね。
―さて、いよいよ第一話が放送となりました。派手なアクションシーンには度肝を抜かれました。本作に向けて、アクションの準備やトレーニングの時間は充分用意されたのですか?
いえ、アクションを練習する時間は多くはなかったんです。何か正確なアクションを習ったというより、撮影へ入る前に俳優みんなでアクションスクールへ行って、固くなった体をほぐすウォーミングアップを沢山行いました。ですから、撮影現場ではほとんど瞬発力でアクションをしなければなりませんでした。
―準備期間をあまり用意出来なかったと仰る割には、銃器の扱いも含め非常に素晴らしいアクションをされていたと感じたのですが。
かなり昔の話ですが、私は『ポリス』というドラマに出演したことがあって、その時警察大学の射撃場へ行き、銃に関して習ったんです。
また射撃の姿勢なども習ったことがあります。
映画『G.I.ジョー』の撮影に行ったとき、共演したアメリカの俳優たちとともに、山の中のシューティングレンジへ行って、そこで再び詳細に射撃の姿勢など、いろいろなことを習いました。
―なるほど。今までの積み重ねが、今回のアクションシーンへと繋がっているのですね。ところで、これだけハードな撮影が多い中、撮影現場の雰囲気はいかがですか?
撮影現場の雰囲気は、とてもよかったです。例えば秋田のロケでは、スキー場でクランクインをした事もあって、俳優もスタッフも、真っ白なスキー場を喜んでいました。大人も子供も雪を見ると嬉しくなるんですよね。寒くて皆大変でしたが、
僕もスノーボードに乗るのが好きなのですが、この何年間ボードに乗る機会がなくて、久しぶりにボードに乗れたので楽しかったですね。とても楽しく撮影が出来ました。
―その秋田でのシーンが、いよいよ来週登場しますね。
はい。僕は「日本の静かな田舎や雪が降る温泉地へ行って、ゆっくり休みたい」とよく言っていました。今回撮影した場所がまさにそうですね。
(秋田は)いつか一度は訪れてみたかった日本の場所なので、雰囲気もよくて穏やかな気分になれました。撮影現場でも、ファンの皆さんは撮影が始まる時から終わるまで、ずっと見守ってくださって、手を振ってくれるのがとても力になりました。
―雪景色と湯煙が幻想的な秋田のシーンは必見! ですね。それでは最後になりますが、ファンの方へメッセージをお願いします。
みなさんとても期待してくださっているようで、序盤ではつらくプレッシャーも大きかったのですが、期待に応えられる作品に仕上がっていると思いますので、楽しみにしてください。
本当に面白いドラマになっていると思いますし、私たちも楽しみにしています。
素敵なドラマで、必ずみなさんのもとを訪れます。
ありがとうございます。
―こちらこそ、本日は大変有難うございました!
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