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韓国ドラマ「青い海の伝説」第2話⑫
Korean drama "Legend of the Blue Sea" Episode 2 ⑫
第2話⑪…
自分を言語障害にされては今後何も話せなくなる。
女は軽く笑みを覗かせて口を開く。
「こんにちは。お初にお目にかかります。今日は暑いですね」
そう言っていたずらっぽい目を天に向ける。
周囲の人たちはきょとんとなった。
彼らの心ではカラスが「カアカア」と鳴いて飛び回った。
★★★
相棒との筋書きが狂わされかけて、ジュンジェは慌てて女を会場の外へ連れ出した。
誰もついてこないのを確認して女に訊ねた。
「どうなってるんだ? 急に話し出したじゃないか。話せるのか?」
女はジュンジェを見た。
「あなた、私の声が聞きたいみたいだったから」
クスッ、と笑う。
ジュンジェは苦笑する。
「そうは言ったが…それは」
「ところで”ワイフ”って何?」
「…」
「私はあなたのワイフ?」
「それは…」ジュンジェは答えをそらす。「友達って意味だ。友達」
「友達…」
女はちょっと違う表情も見せながら頷く。
「そうなんだ…」
「今まで話せないみたいだったが、そうじゃなかったんだな」
女は答えに困っている。
「俺をからかってたのか?」
「あなたがくれた板、あれを見てて覚えたの」
女はノートパソコンの映像を楽しんでいるうち、映像が言葉のリードで動いているのを知ったわけだった。
「板って…あのノートパソコンのことか?」
ジュンジェは目を丸くする。
「お前は新人類かよ」
女はジュンジェの目を覗き込んでくる。
「何見てる?」
「目ん玉」
「目ん玉の墨(瞳)が…キラキラしてる」
女の褒め言葉にジュンジェは照れた。
「アッハ」ジュンジェは歯を覗かせた。「これは生まれつきなんだよ」
「きれいだわ」
顔を突き出した女の前にジュンジェも顔を突き出す。
「そうだろ。そうなんだ…小さい頃、母親は俺を連れて出かけるたび、周りの人たちに抱かせろと言われ、騒ぎになったそうだ」
女はジュンジェの自慢話を楽しそうに聞いている。
「だがな、目ん玉じゃなくて”目”。墨じゃなくて”瞳”だ。しかし、一晩でそんな言葉まで覚えたのか? 少しは教材を選べよ。いずれにしろ、すごい記憶力だよ」
そこに後ろから声がかかった。
「おーい、こっちへ来てくれ」
戻ってきてジュンジェは言った。
「金は用意できそうか?」
「当然だ」詐欺仲間は応じる。「俺もお前に負けない天才詐欺師なんだ。そんなの朝飯前だ」
「助かるよ」
「助かるって何だ。タダとは言ってないぞ」
ジュンジェは舌打ちする。
「俺にどうしろと?」
「とにかく見てくれ」
詐欺仲間は一転詐欺の仕事モードに入った。
「さーて、最終リハーサルを始めましょう。まずはシャノンさん」
仕事仲間の女が手を合わせて語り始める。
「まさに神の祝福です」
…まずは女が教会のステージに立ち、神の恵みを説く。
「トレーダーのデビッドさんに導かれ株で利益を上げ、今月は1万ユーロも納められました」
拍手の嵐が起きる。
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彼はジュンジェたちに筋書きを熱弁する。
「デビッドは何者なのかと信者たちがざわめき始める。みんな仲良くなりたい。そこで本人が登場するわけだ。はい、次、謙虚な発言を」
次の仲間に指示を出す。
…男は穏やかな表情で語り出す。
「私はヒーローではない。啓示を受けただけだ。すべては神のお告げだと思う…」
ジュンジェは腕組みし、女は前で手を合わせて聞いている。
「とやれば、失敗してもそれなりに言い訳ができる。よし、そこでリアクションだ。ハレルヤ」
これをやる仲間は思いのほか大勢集められている。
「ハレルヤ!」
「それで上手く行くのか?」
とジュンジェ。
「ああ、特殊な空間だからな」
「俺に何をやれと?」
「簡単なことだ」
「…」
「歌で信者たちを恍惚状態に導いてくれ」
「歌か…」
ジュンジェは女を見て呟いた。
ジュンジェは女を見て呟いた。
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