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韓国ドラマ「30だけど17です」第1話⑥







韓国ドラマ「30だけど17です」第1話⑥
Korean drama “30 but 17” Episode 1⑥



「30だけど17です」第1話(人生を揺るがす出会い)⑥

☆主なキャスト&登場人物 
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)


★★★

 何年もの歳月が流れた。
 コン・ウジンはアルプスのマッターホルン・キャンプ場で休暇を過ごした。


 キャンプ場にやってきたグループがBTSの音楽流しながら、仲間と焚火を囲んで楽しい夜を過ごしている。
 空からは直に雪が舞い降りている。
 飲み物で乾杯しながら一人が言う。
「楽しい夜だな。来週も来よう」
「いいね。乾杯!」
 1人が立ち上がる。
「俺は用足しに行ってくる。焚火を消さないでくれ」
「アラッソ~。ごゆっくり」
 笑い声が起きる。


 用足しで木立の中に入った青年は、何かの気配を近くに感じて足を止めた。手にした明かりを高くかざした。
 長髪で髭もじゃ顔にふかふかの毛皮をまとった男と間近で遭遇して青年は思わず動転した。
「雪男だ!」
 と欧米言語で叫びながら仲間のところへ逃げ戻った。
 髭もじゃ男は13年後のコン・ウジンの姿だった。


★★★


 ウジンはキャンプ場の部屋に戻った。ふかふかのオーバーコートのポケットから、室内犬を取り出す。
「トックよ、大丈夫だったか?」
 ウジンは犬の餌を取り出した。紙のフタを取り、銀紙を剥がした。
「美味しいから食べな」







 郊外にあるのぞみリハビリ病院はうっすら雪化粧している。
 看護師らが話を交わしている。
「13年も?」
 長期入院中のウ・ソリは病院でも話題の女性だった。
「数えで30歳だから、17歳の時からここに?」
 ベッド脇には”ウ・ソリ” 女29歳”と患者名を印した札がかかっている。
「そんな若さでかわいそう」
「食事の世話など家族の人は大変だわね」
 ひとりが手を止めて言った。
「見舞うならね」
「それって、まさか…」一人は点滴を取り換えている。「家族に見捨てられた? ここでは珍しくないけどさ」
「家族がいないのか、いても来ないかは―わからない」
「じゃあ、お金だけ送って寄こすってこと?」
「匿名だから家族じゃなさそうよ」
「匿名って…家族以外の誰が?」
 ひとりは脚の世話に移った。
「たまに男性が様子を見に来るけど、その人じゃないらしい」
「男性? その人は何者?」





 その人は病院勤務の医者だった。”脳神経センター・神経外科”の診療室前にやってきたところで、彼は立ち止まる。後ろから声をかけた者を振り返る。
「キム・ヒョンテ先生」
 彼を追いかけてきたのは同僚だった。
「お断りします」
 彼は歩き出しながら言った。彼はついて来る。
「なあ、そこを何とか頼む。臨月の妻をおいて海外奉仕は無理なんだ」
 ヒョンテは立ち止まる。
「僕もここにいないといけないんだ」
 答えて歩き出す。
「電話も通じない奥地なんだよ。頼む。俺の代わりに行ってくれ」
 ヒョンテは取り合わないで行ってしまう。
「薄情なヤツめ」同僚は愚痴を飛ばした。「そんな医者になるために3浪もしたのか!」
 ヒョンテは足を止めた。歩き戻って言った。


「ペルーに行きます」
「…!」
「その代わり、例の件をもう一度、科長に頼んで」
「またかよ?」
「ええ」
「うちは相当のコネがない限り、長期入院は無理だ。分かってんだろ」
 立場は逆転した。
「先輩の力でそこを何とか」
 先輩医師は仕方なさそうにヒョンテを見る。
「いったい誰を連れて来たいんだ。家族でもないんだろ?」
「それは…」
「移送は出来るのか?」
「お願いします、先輩」




 匿名の人は今日もウ・ソリの様子を見にこっそりやってきた。
 そこにウ・ソリの健康管理を担当する看護師がやってきた。彼を見かけて声をかけた。
「どちら様?」
 声をかけられると彼は帽子を目深にかぶり直した。顔を見せもせず立ち去った。
「何なのあの人…ひょっとして会いに来る男性?」
 
 ウ・ソリは今日も目をさまさず眠り続けている。だが、彼女に関わる人は絶えたわけじゃなさそうだった。


 日が差してきたところで介護士が窓のカーテンを引いた。さっと外の光が流れ込む。続いてドアも両側に開け放つ。外の冷たい空気も流れ込んだ。
 そうしておいて介護士は病室の掃除を始めた。
 その途中、彼女は腹部に手をあてがう。
「何だかここが…」
 彼女は急いで病室を出ていった。





 冷たい外気に触れてウ・ソリの身体も反応した。
 誰かの引くバイオリンの音色が窓から病室に流れ込んで来る。音符(♪)が部屋のあちこちに貼りついていく。
 その音色は耳や皮膚を通してウ・ソリの脳内にも流れ込んでいった。
 それらの信号を受けて彼女の目や睫毛、ほっぺなどがかすかな反応を見せだす。
 皮膚や体中の神経を通して彼女の脳内へと伝わり流れていく。そして脳内で光を集め、映像をつむぎ出した。
 誰だろう…? 誰かが歩いている。誰かがバイオリンを弾いている。笑い声も起きている。

 鈴の音も発生した。坂道を歩く誰かの背中…その音が響くのはカバンだ、カバンの背中からだ。
 ソリのまぶたは鈴の音色に連動してピリピリ動く。
 やがて、ウ・ソリの目に身体の外の光が流れ込んだ。
「ここはどこ…?」


― これは何…? 私は誰…? そうだ―昨日、事故に遭ったんだ。叔父さんたちも驚いたよね。あっ、スミは無事だったかしら? あれ? 脚が動かない! ケガしたのかな? 手は? ケガしちゃいけないのに? ん? おかしい。声も出ない。私、どうなっちゃったんだろう…? 
 
 そこへ介護士が戻って来る。寒さを表情に出しながら急いで先ほど開け放った窓を閉めた。
 ウ・ソリは目を開き、生まれたばかりのひよこのように
彼女を見つめていた。
 介護士は彼女と目を合わせ、びっくりして病室を飛び出していった。
「誰か~っ! 誰か来てくださ~い。目を覚ましました~っ!」



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