雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載167)





韓国ドラマ「30だけど17です」(連載167)




「30だけど17です」第19話(愛の告白)⑦


☆主なキャスト&登場人物

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★


「インターミッション!」
 ソリはリン・キムに合わせた。
 2人は笑みを向け合った。
 ソリは言った。
「舞台に立った時、いろいろ気づかされました。監督のおかげです」
 それを聞いてリン・キムは横のバッグに手を伸ばした。
 小物を取り出してテーブルに置いた。
「これ」
 ソリの前に手で押した。
「バイオリンケースに付けてください」
 ケースの中から出てきたのはバイオリンのミニチュアだった。
「素敵!」
 ソリはミニチュアを手にした。
「どんな形であれ」
 リン・キムは言った。
「音楽を続けていって」
 ソリは笑みを返した。
「今まで―」
「…」
「ごめんなさい」
 ソリは怪訝そうにする。
「なぜ、謝るんですか?」
 ソリの無邪気さにリン・キムは戸惑う。苦笑する。
「乗り遅れるから行きます」
 バッグを握りかけて彼女は言った。
「次に会ったら一緒に弾いてくれる? ”2つのバイオリンのための協奏曲”を」
「はい」
 ソリは快諾した。
「しっかり練習しておきます」
 リン・キムは席を立ちバイオリンケースを肩にかけた。
「じゃあ、また会う日を楽しみに」
 カフェを出て行く時、リン・キムの携帯が鳴った。母親からの電話に彼女はにっこり微笑んだ。
 リン・キムのバイオリンケースに今くれたケースがかかっているのを見て、ソリも微笑んだ。
 
「レストランも予約した。あとは…」
 その頃、ウ・チャンはソリとのデートの準備に余念がなかった。


★★★


「これでOK」
 スクーターのサドルシートを叩く。満足そうに頷き、ふぅ〜と息をつく。
「ついにこの日が来たけど、胸がどきどきする」
 もう一度ため息をつき、胸を押える。
「心臓よ、どうか落ち着いてくれ」
 チャンは自分をスカウトしてくれた実業団の言葉を思い浮かべた。


― うちに来てくれたら、厚遇するよ。


「そうさ。数か月後は俺も高給取りの大人だ。ビビる必要はないんだ」
 チャンは自分に言い聞かせた。


「チャン君〜」
 その時、遠くから女性の声が届く。
 こっちに向けて駆けて来るのはソリだった。
 チャンの前で足を止めて訊ねた。
「すくーたー?」
「乗って」チャンは言った。「用意したんです」
 ソリは怪訝そうにする。
「ジャーン」
 すかさず目の前にかざす。
「免許証だよ」
 ソリは思わずそれを手にする。免許証を用意して来るとは思わなかった。
「チェジュ島ではよく乗っているんだ。だから心配ないよ」
「…」
「そうだ」
 チャンは用意したシートを胴に巻いた。
「腰を掴まれてもこれで大丈夫、くすぐったくない」
 準備万端なチャンを見てソリは思わず笑った。


 スクーターによる2人のドライブが始まった。
 スクーターを走らせながらチャンは歓声をあげた。ソリも一緒に歓声をあげた。
 スクーターに乗って頬に受ける風の感触は心地よかった。腕を回したチャンの身体から伝わってくる熱気はソリの青春を蘇らせた。
「ああ〜、ほんとに気持ちいいい」
 ソリはチャンに訊ねた。
「どこへ行くの?」
「期待してて」
 チャンはそう答えてスクーターを走らせる。
 ソリは頷いて行先を任せた。
 だいぶ走ってから、チャンの顏から不安そうな表情が覗きだす。
「2時の方向ってどっち?」
 そう口にした瞬間、夕暮れのドライブ感覚で走るチャンは、目の前の道路の車線変更を間違えてしまった。


― ルートを外れました。


 ナビ―は進行方向の間違いを指摘する。
「いけない。行先を間違えたか〜?」
「どうしたの?」とソリ。
「ああ、ナビーは不慣れなもんだから」
 ソリにも不安な表情が浮く。
「大丈夫。俺を信じて」
 焦りの生じだしたチャンの視野は次第に暗くなった。前方の道路も信号も見ていながら見えていなかった。道路上の尖ったビスを見落としたのもそのせいだった。
 スクーターはそのビスを踏んづけて走り抜けた。


― 間もなく右折です。


 ナビーは案内を続ける。
「右折? 右折なら…」
 迷っているチャンに、ソリが大きな声で叫んだ。
「右に曲がるのよ」
「ああ、そうか」
 しかし、チャンがそう思った時はスクーターはまっすぐ走り抜けていた。
 またしてもナビーは進行方向の間違いを指摘した。


― ルートを外れました。


 チャンはナビーを見た。ナビーは答えた。


― 検索を再構築します。 


 チャンは落胆しつつ答えた。
「心配ない。俺を信じて。信じてて」
 しかし、ソリの不安顔はどんどん強まって来て…。
 


 クク・ミヒョンは店の事務所内を歩き回る。気持ちは落ち着かなかった。
 ソリの身体は回復していた。ミヒョンにとって自分の所在を彼女に知られることはストレスでしかなかった。
 ミヒョンはあらためて花の予約票に見入った。
 やっぱり記憶にあるソリの筆致に間違いないように感じる。電話番号を見て再び思い悩む。
 しようか、すまいか悩んだ末、ミヒョンは電話の受話器を握った。
 電話番号をプッシュし終わったのに、回線が相手先につながった瞬間、ミヒョンはとっさに受話器を戻してしまう。
 どう切り出すか、ソリの前から行方をくらました経緯をどう説明するかに、自信が持てないからだった。大人になったソリにどう説明してもただの弁解にしか受け止めてはもらえないだろう。
 ミヒョンは肩で大きく息をする。
 その前に…しばし考えてもう一度受話器を握った。
 ミヒョンがかけたのは”のぞみリハビリ病院”だった。
 ミヒョンは切り出した。
「少しお聞きしたいことが…ウ・ソリという患者は患者は回復したんでしょうか?」
 受付の看護師は辺りを見回した。怪訝そうに訊ね返した。
「どなた様ですか?」
「回復しましたか?」
 看護師はきっぱり答えた。
「個人情報はお答えできません。患者とのご関係は…?」
 訊ね返す途中に回線は切れてしまう。
 
 ウ・ソリに関する具体的な情報を得るのを諦め、ミヒョンは店を閉めて表に出た。
 そこに声をかけた者がいる。
「クク・ミヒョンさん?」 
 コン・ウジンだった。



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