雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載201)





韓国ドラマ「30だけど17です」(連載201)



「30だけど17です」第23話(新たな旅立ち)⑦


☆主なキャスト&登場人物

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)

★★★

 次の日、ソリはウジンと2人で叔父の墓参りをした。
 ソリは叔父からもらったお札を取り出した。
「これがあれば、必ず、また会えるって言ってたのに―」
 ソリはお札をギュッと握りしめた。膝を叩き続けた。
「なのに、こんなのあんまりだわ」
 ソリは叔父の墓の前で泣き続けた。
「”私を捨てて―””どこかで幸せに暮らしてる”って、その方がよかった。どうして、こんなことになったの。叔父さんが可哀そうでならないわ」
 ウジンが見守る中、ソリは泣き声を上げ続けた。

 墓参りをすませて車に戻る時、ウジンはソリに小さな袋を差し出した。
「これを君の叔母さんから預かった」
 ソリはその場で紙を取り出した。
 何かの鍵も一緒だった。
 ミヒョンはウジンに言づけた。
「メモに書いた銀行でいつでも引き出せます」
 ウジンはソリに伝えた。
「家を売ったお金だって。全額、取っておいたそうだ」
 紙には当該銀行の名が記されていた。
「早く家を売っていれば―叔父さんも苦労しなかったのに」
 ソリはため息をついた。
「私の方が、叔父さんにつらい思いをさせたのね」
 ウジンは落胆するソリの手を取った。

★★★


 部屋からソリの様子を見守っているウジンの横にジェニファーが立った。
「また空に目をやったまま考え込んでますね」
「…」
 ソリはトックを抱いて長椅子に腰をおろしていた。
 朝になるとソリはこうして考え込んでいることが多かった。
「―”負かい悲しみの治療法は動くことである…by ジョージ・ヘンリー・ルイス”」
 ウジンは黙ってジェニファーを見た。


 ウジンは出かける支度をしてソリのそばにやってきた。右肩には例の円筒を引っかけ、左手にはカメラを握っている。
 右肩を揺らすとキーホルダーの鈴が鳴った。
「おっ、おじさん〜、どこかへお出かけ?」
 ソリは明るさを装ってで問いかける。
「うん。野外スケッチに行くんだ」
 ウジンはソリの前に立つ。
「暇なら一緒に行かない?」
「野外スケッチか〜」
 ソリはトックの頭を撫でた。
「ペン、私たちも散歩しようか」
 ウジンの運転する車は右手に海を見ながら走った。
「スケッチをしに行くのに、ずいぶん遠くまで走らせるのね」
「野外だろう。どうせなら…」
 ソリは車窓を解放した。海に目をやった。外の風が頬をなぶる。
 ウジンの心遣いが嬉しい。
 スケッチは心と目…。
 ソリは抱いたトックに海を見せた。
「ペン〜、ほら、海が見えるわ」
 ペンとはしゃぐソリを傍らに感じてウジンの心も晴れやかさを増してくる。
 
 眺めのよい場所で車を駐車させる。
 ウジンはソリたちを引き連れ、砂浜に降り立つ。波打ち際に向かう。
 ウジンは足を止めた。海に向かって大きな声で叫んだ。
「ヤッホー」
 ソリはその姿を見て笑った。
「私のマネしてるの?」
「悪い? 君も叫べば」
 そう言ってウジンはもう一度叫んだ。
「ヤッホー」
 ソリも続いて叫んだ。
「ヤッホー」


 深呼吸をし、2人は海の眺めに充足した。
「息抜きにちょうどいいわね。遠くにやってきて広い海を感じるのは」
 2人は笑みを交わし合い、広い海に見入った。
 その後、ウジンはトックと子供のようにはしゃぎ回るソリの姿をカメラに収めた。
 そして最後にはカメラに携帯をドッキングさせ、自撮り写真にも2人で納まった。


 お気に入りの砂浜で夜がやって来るまで過ごした後、ウジンは円筒の中からソリの似顔絵を取り出した。
 ソリに向かって当時のことやら何やらを説明した。
「…絵の修正はすんでたけど…この染みは消えなかったんだ」
 ソリは笑って抱いたトックの足を画用紙に押し付けた。
「な、なんだ?」ウジンはトックを睨みつけた。「犯人はお前だったのか」
 ソリは笑って言った。
「秘密はもうひとつあるわ」
 上空にかざした自分の手を指し示した。
「指の形が間違ってる」
「これが?」
 ウジンはソリを見た。
「そう言えば…歩道橋で何をしてたんだ?」
 ソリは笑った。
「ちょっと手を貸して」
 両手でウジンの手を握った。
「バイオリンの弓の持ち方よ」
 ウジンは右手をソリのするままに任せた。
「こうして、月に向けるの。ほら」
「あれ?」
 ウジンも思い出した。
 確かにこんな感じだった。
「こうやって”月のウサギ”を取り出せた」
「…」
「ママが教えてくれたの」
 ソリはバッグからグッツを取り出した。例の鈴の鳴るやつだ。
「これもママの贈り物よ」
「そうだったのか」ウジンは合点がいった。「君を初めて見た時、何してるか気になってたんだ」
 その時、トックが鎖を付けたまま逃げ出していく。
 2人が自分をかまってくれなくなったので退屈したらしい。ソリは慌てて逃げ出したトックを追う。
 ソリとトックがじゃれあう間、自分の指をかざして当時のソリの記憶に浸った。


 ふとその鈴がなった。トックを抱いて戻ってくるソリの姿があの頃のソリと重なって見えた。


 夜は現実を連れてくる。
 2人は砂浜に腰をおろして夜の深い海と対峙した。
「いるもそばにいてくれてありがとう」
 ソリの言葉にウジンも応じた。
「いつもそばに居させてくれてありがとう」
 2人はお互いの気持ちを温かく理解し合い、夜が更けるまで暗い海に目をやっていた。





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