雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載64)




韓国ドラマ「30だけど17です」(連載64)


「30だけど17です」第7話(内職に励む)⑥


☆主なキャスト&登場人物


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)



★★★

 そこへ公園管理の人がやってきた。路面に張り付けてあるように見えたパネルを拾い上げた。
「また外れてるじゃないか」
 そう言って飲料水の場所にパネルを戻して張りつけた。
 ウジンは叫んだ。
「だから、飲むなと言っただろ」
 ソリは口に含んだ水をドバーッと吐き出した。そうして泣きっ面になった。
 ウジンは大笑いした。
 この後、ソリはお腹を気にして歩いた。
「痛いようなかゆいような…」 
 内職の袋はウジンが背負っている。
「何だかお腹が」
「痛いの?」とウジン。
「お腹がすいたようです。キュルキュル鳴ってます」
 ウジンは笑った。
「あっ、靴下の袋は?」
 ウジンは戻ろうとするソリの手を掴んだ。袋を背負った姿を見せて前を歩いた。
 ソリは不思議そうにウジンについて歩いた。
「なぜ見てるんです?」
「間違いないわ」
「何が?」
「やっぱりおじさんはいい人に間違いないです」
「…」
「でも、少し変わってる」
「よく言われるよ」
「そうじゃなくて…いい人だってことをわざと隠そうとしてるみたい」
 ウジンは足を止めた。
「何ていうか…」
 今度はソリが前を歩く。
「心をギュっと奥に閉じ込めてる感じ…そう見えたりします」
 その時、ウジンの携帯が鳴った。
 ソリは振り返った。ベコリと頭を下げる。
「また勝手に解釈してごめんなさい」
「はい、コンです」
 パーキング管理のスタッフからだった。
「カフェの駐車場に車を置きっぱなしですよ」
「すぐに取りに戻ります」
 携帯を切り、ウジンは言った。
「車を取りに戻ります。先に戻ってください」
「分かりました」
 ソリは内職の袋を受け取った。
 2人は背を向け合った。
 ウジンは立ち止まり、ソリを振り返った。


― いい人だってことをわざと隠そうとしてるみたい


 ソリの言葉が強く耳の奥にまつわってくるのを覚えていた。


 ウジンが歩き出すと今度はソリがウジンを振り返った。
 ウジンは音の出ないイヤホーンを耳につけて歩いていく…。

★★★


 ウジンは車を取りに戻ってきた。
 係員は車のキーを差し出しながら言った。
「車に乗って帰るのを忘れないでくださいな」
 ウジンが詫びると係員は頷いて戻っていった。
 ウジンは頭に手をやった。
「いったい何をやってるんだか…」
 ソリの言動についてはいろいろと不思議で気になることがある。
 車に乗り込んでまた思い出した。
 同じ世代なのに自分を”おじさん”呼ばわりするのもそのひとつだ。


「何でいつも自分をおじさんと呼ぶの?」
 今日も決まり文句のようにソリは反応した。 
「だっておじさんは、担任の先生と同い年―、あっ…」
 ただ、今日は我に返るしぐさを見せた。
 軽く目をつぶって自分の習慣を否定した。
「そうか、今の私は30歳だった…」
「担任? どうして…30歳?」


 夜、チャンは育てている鶏のヒナと庭に出てベンチの上で体力の強化に努めた。暇を持て余してるのもあるし、ボート部のキャプテンをして大会の優勝を強く意識しているせいもある。
 そしてもうひとつ…。
 チャンは後ろ手に頭をおいてひと息ついた。夜空を見上げた。月が出ていた。月と一緒ににソリの姿を思い浮かべた。
「無邪気なところは17歳どころか、まるで7歳だよな」
 育てているヒナの巣箱に目をやった。鳴き続けているヒナを見て軽く笑い声を立てる。
「”月のうさぎ”だって…純粋だな」
 ふっとまた笑みがこぼれ出る。
 それから腕を伸ばした。親指と中指で輪をつくった。
「やり方はこうだったっけ…」
 手を止めた。
「またかゆくなった。何だろな…?」


 靴下の内職に励みながら、ソリは昼間のウジンのことを思い浮かべていた。
 怖いお兄さんたちに連れ出されながら、自分の名を必死に叫んでいた姿がしっかり目に焼き付いている。
「ウ・ソリ、出てこい。ウ・ソリ!」
 ソリは顔を両手で覆った。
 ウジンの叫び声をなぞりながらソリは幸せな気分に浸った。これまで自分に冷たい態度を取っていたから、別の彼に触れた気もしている。
 あんなに自分を心配してくれた人は両親や叔父さん夫婦以外には思い出すこともできないほどの出来事だった。 
 ついつい鼻歌が口をついて出る。


 仕事の資料をあさりながらウジンは足元に目をやった。装飾のほどこされた女性用の靴下をまだはいている。なぜか男性用の靴下とはきかえる気持ちはおきない。今までの自分ならすぐはきかえていただろう。
 ウジンは噴水用の水を吐き出したソリの姿を思い起こした。鼻先に笑いがきた。
「あんな水を飲むなんて…」
 靴下に手をやった。
 自分を必死に庇ったソリの言葉が蘇る。
「おじさんは変態でもありません。ただの職業病なんです」
 甚だしい勘違いだったが、今となっては悪くない気分だ。
「ああ、もう…、ガムを踏んじゃってる〜」
「…」
「靴下があります。履き替えましょう」
「…何だか、かわいい気もしてきた」
 ウジンはソリと一緒に顔を出した天窓に目をやった。窓の枠内に月がかかっている。
 ウジンは月に向かってほほ笑んだ。月に向けた何年振りかの笑顔だった。

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