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韓国ドラマ「青い海の伝説」第13話⑫
韓国ドラマ「青い海の伝説」第13話⑪
★★★
かがり火を焚いてヤン氏らは人魚が現れるのを船上からじっと待ち構えた。
都事に会うため、人魚は必ずやって来る…!
ヤン氏の読みは当たっていた。やがて風灯に照らされる海面にうごめくものを感じて目をこらした。
人魚だ!
どよめく配下たちをヤン氏が制す。
船の下に現れたのは人魚に間違いなかった。ヤン氏は配下に合図を送る。
「今だ、やれ!」
船上からさっと網が打たれる。
空に浮かぶおびただしい風灯を見ているうち、タムリョンに胸騒ぎが走った。ふと思い起こした。自分が乗船を命じられた時、かがり火を持ち港の磯伝いを進んでいく一団がいたことを…。
タムリョンは船の指揮を執る官吏に声をかけた。
「引き返せ!」
「何を言っておられます?」
管理をじっと見てタムリョンは言った。
「引き返してくれ。自分にはやることが残っている」
「できませぬ」
法に忠実な官吏は答えた。
「私の愛する者の命がかかっている」
「恐れながら、それはできませぬ」
「私も承服できぬ」
タムリョンは信念で言った。
タムリョンは官吏の腰の剣を抜いた。首元に突き付けた。
官吏の部下はタムリョンに剣を向けた。
二人はしばし睨み合った。
「私の用がすめばすべて従うと約束する」
「…」
「頼む」
「…」
「あの者を救えねば―生きる意味はないのだ」
タムリョンの言葉に打たれ、官吏は部下たちに剣を下ろすよう命じた。
★★★
官吏は続けた。
「この方は私の父を死の淵から救った恩人だ。剣を下ろせ。後は私が責任を取る。船を引き返せ」
船頭は船を引き返す態勢に入る。
タムリョンは黙って剣のつかを官吏に向けた。
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網を打った後、海の中は静かになった。
「かかったのか? よく確かめろ!」
ヤン氏が指示を出す。
配下たちは互いの船から目を見交わし、網を水中から手繰り上げていく。
セファは投げ込まれた網から逃れようとする。何とか網をかいくぐる。
タムリョンへの復讐心に燃えるヤン氏の声は怒りでたぎっていた。
「逃れたか…。矢と銛を使い、殺してでも捕らえろ。捕らえた者には大金をくれてやる」
大金の声に配下たちは海中に向けて矢を打ち、銛を投げ入れ始める。
ついに一発の矢が彼女の腕の皮膚を切り裂いた。彼女は顔をしかめた。血の流れ出ようとする傷口を手でふさぐ。
手ごたえを感じ取ったヤン氏は配下に言った。
「銛をこっちによこせ」
配下から渡された銛を握り、ヤン氏は海中を逃げ回る人魚に狙いを定めた。掛け声とともに力いっぱい投げ入れた。セファはかろうじてその銛をさけた。
この時、背後のひとりが呻き声をあげて倒れた。振り返ると倒れた男の向こうに船が現れ、タムリョンの姿が見える。
ヤン氏はもう一度握った銛を足元に投げ捨てた。
「どなたかと思えば、県令様…じゃないな」
「…」
「絶島安置を命じられた元県令様じゃないですか」
「そこまでだ」
「状況が分からんようだな。誰に口を利いておるのだ、罪人の分際で!」
タムリョンの後ろからタムリョンを護送中の官吏(役人)が顔を出す。
「これより取り締まりを行う。夜更けにこのような沖合で何をやっておられる?」
「漁師が海で魚を捕っているだけのこと」
ヤン氏は平然と答える。
「何か問題が?」
ヤン氏の背後でひとりが叫んだ。
「血を流してるぞ」
ヤン氏は振り返って叫ぶ。
「何をしておる」ヤン氏は配下に命じた。「殺してでも捕らえるのだ」
ヤン氏の声に触発され、配下の者たちはいっせいにセファめがけて矢を放つ。銛を投げ入れる。
これ見よがしの笑いを向けてくるヤン氏にタムリョンはこみ上げる怒りを抑えきれなかった。
握った剣を両手で八双に持ちかえてヤン氏の船めがけて飛んだ。
タムリョンは怒りの鬼となって手向かう相手を切り倒していった。しかし乱闘となってタムリョンも背後からの一撃を頭に受けて動けなくなった。
次の攻撃を受けなかったのは都からの官吏が加勢してくれたからだった。立とうと必死のタムリョンの前で火の手があがった。それは一気に燃え広がった。
タムリョンは薄れそうな意識でヤン氏の動向を気にかけた。しかし視野にはいない。
ヤン氏は乱闘には加わらず、銛を握ってセファだけに狙いを絞っている。
セファを見つけて不気味な笑い声とともに銛を構えた。
この時タムリョンは背後でヤン氏が銛を打ち込もうとしてるのに気づいた。
瞬間、大きな声で叫んだ。
「セファー〜ッ!!
タムリョンの声は海中のセファの耳にも届いた。
セファが身を翻した時、ヤン氏の銛は海中めがけて投げ入れられていた。同時に船上にタムリョンの姿もなかった。
銛より先にタムリョンはセファのもとに辿り着いた。両腕で抱き上げた瞬間、海中を潜ってきた銛はタムリョンの背中を貫いた。
タムリョンに抱かれて沈みながらセファは目を開ける。命果てていくタムリョンを見つめながら、セファは決心した。タムリョンの背中に刺さった銛で自分の身体をも貫いた。強く抱き合ったまま二人は海中深く沈んでいった。
かがり火を焚いてヤン氏らは人魚が現れるのを船上からじっと待ち構えた。
都事に会うため、人魚は必ずやって来る…!
ヤン氏の読みは当たっていた。やがて風灯に照らされる海面にうごめくものを感じて目をこらした。
人魚だ!
どよめく配下たちをヤン氏が制す。
船の下に現れたのは人魚に間違いなかった。ヤン氏は配下に合図を送る。
「今だ、やれ!」
船上からさっと網が打たれる。
空に浮かぶおびただしい風灯を見ているうち、タムリョンに胸騒ぎが走った。ふと思い起こした。自分が乗船を命じられた時、かがり火を持ち港の磯伝いを進んでいく一団がいたことを…。
タムリョンは船の指揮を執る官吏に声をかけた。
「引き返せ!」
「何を言っておられます?」
管理をじっと見てタムリョンは言った。
「引き返してくれ。自分にはやることが残っている」
「できませぬ」
法に忠実な官吏は答えた。
「私の愛する者の命がかかっている」
「恐れながら、それはできませぬ」
「私も承服できぬ」
タムリョンは信念で言った。
タムリョンは官吏の腰の剣を抜いた。首元に突き付けた。
官吏の部下はタムリョンに剣を向けた。
二人はしばし睨み合った。
「私の用がすめばすべて従うと約束する」
「…」
「頼む」
「…」
「あの者を救えねば―生きる意味はないのだ」
タムリョンの言葉に打たれ、官吏は部下たちに剣を下ろすよう命じた。
★★★
官吏は続けた。
「この方は私の父を死の淵から救った恩人だ。剣を下ろせ。後は私が責任を取る。船を引き返せ」
船頭は船を引き返す態勢に入る。
タムリョンは黙って剣のつかを官吏に向けた。
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網を打った後、海の中は静かになった。
「かかったのか? よく確かめろ!」
ヤン氏が指示を出す。
配下たちは互いの船から目を見交わし、網を水中から手繰り上げていく。
セファは投げ込まれた網から逃れようとする。何とか網をかいくぐる。
タムリョンへの復讐心に燃えるヤン氏の声は怒りでたぎっていた。
「逃れたか…。矢と銛を使い、殺してでも捕らえろ。捕らえた者には大金をくれてやる」
大金の声に配下たちは海中に向けて矢を打ち、銛を投げ入れ始める。
ついに一発の矢が彼女の腕の皮膚を切り裂いた。彼女は顔をしかめた。血の流れ出ようとする傷口を手でふさぐ。
手ごたえを感じ取ったヤン氏は配下に言った。
「銛をこっちによこせ」
配下から渡された銛を握り、ヤン氏は海中を逃げ回る人魚に狙いを定めた。掛け声とともに力いっぱい投げ入れた。セファはかろうじてその銛をさけた。
この時、背後のひとりが呻き声をあげて倒れた。振り返ると倒れた男の向こうに船が現れ、タムリョンの姿が見える。
ヤン氏はもう一度握った銛を足元に投げ捨てた。
「どなたかと思えば、県令様…じゃないな」
「…」
「絶島安置を命じられた元県令様じゃないですか」
「そこまでだ」
「状況が分からんようだな。誰に口を利いておるのだ、罪人の分際で!」
タムリョンの後ろからタムリョンを護送中の官吏(役人)が顔を出す。
「これより取り締まりを行う。夜更けにこのような沖合で何をやっておられる?」
「漁師が海で魚を捕っているだけのこと」
ヤン氏は平然と答える。
「何か問題が?」
ヤン氏の背後でひとりが叫んだ。
「血を流してるぞ」
ヤン氏は振り返って叫ぶ。
「何をしておる」ヤン氏は配下に命じた。「殺してでも捕らえるのだ」
ヤン氏の声に触発され、配下の者たちはいっせいにセファめがけて矢を放つ。銛を投げ入れる。
これ見よがしの笑いを向けてくるヤン氏にタムリョンはこみ上げる怒りを抑えきれなかった。
握った剣を両手で八双に持ちかえてヤン氏の船めがけて飛んだ。
タムリョンは怒りの鬼となって手向かう相手を切り倒していった。しかし乱闘となってタムリョンも背後からの一撃を頭に受けて動けなくなった。
次の攻撃を受けなかったのは都からの官吏が加勢してくれたからだった。立とうと必死のタムリョンの前で火の手があがった。それは一気に燃え広がった。
タムリョンは薄れそうな意識でヤン氏の動向を気にかけた。しかし視野にはいない。
ヤン氏は乱闘には加わらず、銛を握ってセファだけに狙いを絞っている。
セファを見つけて不気味な笑い声とともに銛を構えた。
この時タムリョンは背後でヤン氏が銛を打ち込もうとしてるのに気づいた。
瞬間、大きな声で叫んだ。
「セファー〜ッ!!
タムリョンの声は海中のセファの耳にも届いた。
セファが身を翻した時、ヤン氏の銛は海中めがけて投げ入れられていた。同時に船上にタムリョンの姿もなかった。
銛より先にタムリョンはセファのもとに辿り着いた。両腕で抱き上げた瞬間、海中を潜ってきた銛はタムリョンの背中を貫いた。
タムリョンに抱かれて沈みながらセファは目を開ける。命果てていくタムリョンを見つめながら、セファは決心した。タムリョンの背中に刺さった銛で自分の身体をも貫いた。強く抱き合ったまま二人は海中深く沈んでいった。