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「チャン・チョルス」
アンナはびっくりする。
アンナの行動を一部始終を見守ってきたチョルスは笑っていう。
「今日はお前がおごってくれ」
「ここだとどうしてわかったの?」
「通りすがりにお前が目についたのさ。知らない振りするわけにもいかないだろ」
「せっかくだからごちそうするわ」
一人で居心地も悪かっただけに気分をよくしながらアンナは言った。
二人は大口開けてジャージャー麺を口に送り込んだ。
そして二人は帰路のバス停にやってきた。
「携帯、とうとう見つからなかったわ」
「いなくなった時のために買ったのに…どうしたらいいかな」
「今日も私を見つけたじゃない。どこにいても捜しだせるのは…コッスンよりはましのようよ」
「捜してなんかいないよ。たまたま見かけただけだ」
「そうなの? じゃあ、遠くへ行けば目につくこともないわね」
チョルスはアンナを見た。
「記憶を取り戻し、以前の私に戻ったら…遠くへ行くつもりよ」
「…」
チョルスはアンナがいなくなった時の自分を思った。自分の周りの景色を思った。アンナをめぐる騒々しさが消え、仕事一途に励んでいる自分を思った。その時の寂しさを思った。
「遠くにいれば…あんたの目につくことも、会うこともなくなるもの」
「…」
アンナはチョルスを見た。
「その時がくれば、チャン・チョルス――あんたをやめられるわ」
「…」
バスがやってきた。
アンナが先に席を立ち、バスを待った。
チョルスはアンナのその背を見つめた。
バスは煌々とライトを照らして近づく。
「捜しに行くよ」
チョルスは言った。
バスが止まり、ドアが開く。
アンナはチョルスを振り返る。
チョルスは立ち上がった。
「どこにいても、どんなに遠いところでも、俺はお前を…必ず捜しに行くさ」
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