雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「青い海の伝説」第18話⑦










韓国ドラマ「青い海の伝説」第18話⑦




韓国ドラマ「青い海の伝説」第18話⑥




★★★


 イルジュンの弔いを終えたモ・ユランのところへカン・ソヒがやってくる。
 ソヒはユランを一瞥して横に並ぶ。
「親が親なら子も子ね。音信不通だったあんたの息子もあの人が死んだ途端、騒ぎ出した」
「…」
「お金のためでしょ? あんたが現れたのも…」
 横から覗き込むようにユランを睨みつける。
「おこぼれ目当てよね?」
 ユランはソヒに向き直る。
「少しは恵んであげようと思ってたけど、あんたたち相手にそんな気遣いは無用ね」
 張り手がいきなりソヒの頬を見舞った。ソヒは顔をしかめ頬を押さえた。
「あんた! 何するのよ!」
「おこぼれ目当てはそっちでしょ」
「…」
「十分、恵んでもらって満足すればいいものを…今度は家を乗っ取ろうなんて、あんたは泥棒よ」
「泥棒ですって?」
 張り手を飛ばそうとしたソヒの手を誰かがすかさず握り取った。
 セファだった。
「何するの!」
「あなたが叩ける立場?」とセファ。「
「誰よあんたは? 口出ししないで」
「言葉を慎みなさい」とユラン。
「あんたの知り合い?」
「…」
「どうりで…」
 ソヒは握られた手を振りほどこうとする。しかし、振りほどけない。
「ちょっと離しなさいよ」
 いくらもがいても手は離れない。
「何なのよ、もう!」
「確かめたいことがあるの」
 セファは手洗いの壁にカン・ソヒを押し付けた。
「確かめたいって何を…」
 セファはソヒの手をつかんだまま彼女の記憶の中へ滑り込んだ。


 ―次々のソヒの疑わしい場面や行動が巻き戻されていく。その世界ではマ・デヨンも登場した。…


 カン・ソヒのすべての記憶を読み取ってセファは彼女の手を離した。
この時、カン・ソヒは放心状態になっている。
「ジヒョンさん、どうしたの?」とユラン。
「…私に何をしたの?」とカン・ソヒ。
 セファは答えた。
「できることをしないであげたの」
「…」
「あなたには何も忘れさせない。いつまでも覚えておきなさい」
「…」
「これほど罪を重ねてきたのに何も得られなかったことも一緒にね」
 セファはユランを見た。
「行きましょ」


★★★


 ジンジュは振る舞いの席に1人ぽつんと座っていた。だが、自分のそばに誰も姿を見せない。
 手持無沙汰を感じて立ち上がる。辺りをうろうろしていたら、客から声をかけられた。
「もっとおかずをくれ」
「私も客です」
 すると横から声がかかった。
 ジンジュの友人たちが手伝いでやってきて愛想よく動き回っている。ジンジュについていた連中だ。手のひらを返し、カン・ソヒについたらしい。
 カン・ソヒが姿を見せると愛想を見せて駆け寄っていく。
「奥様、このたびは大変でしたね」
「お辛いでしょう…」
「すっかりやつれちゃって、心配だわ」
「でも、お美しいです、奥様…」
 連中はソヒの後をぞろぞろついていく。
 ジンジュは舌打ちして連中を見送った。
「ほんと、見てられないわ…でも、羨ましい」
 とため息をつく。
「私は誠実すぎるから損してるのね」
 髪に手指をかき入れ、辺りを見回す。
「こんな時にユラン姉さんはどこへ? 私も配膳、手伝おうかしら…」




 ジュンジェは病院のロビーにいた。そこへナムドゥがやってきた。
「証拠は出たのか?」
「まだだ」
「葬儀には行かないのか?」
「行かない…」
「行った方がいい」
「行ってどうするんだ? 父さんの死因もまだ分からないんだぞ」
「やるのか?」
「何を?」
「解剖だ」
「何だと!」
「すんだことだろ。真実を暴いても死人は生き返らない」
「…」
「向こうを刺激するより、少しでも遺産をもらった方が―」
 ジュンジェはあらぬ方へ目ををやった。
「俺は得だと思うぞ」
「よくもそんなことが言えるな」
 ジュンジェは声を荒げた。
 ナムドゥは渋い表情をする。
「何か間違ってるか?」
 ナムドゥは立ち上がる。
「よく考えてみるんだな」
 ジュンジェの傍から歩き去ろうとする。そこへセファが現れた。
 ナムドゥはセファを無視して歩き去る。
 セファは塞ぎ込んでいるジュンジェの前に立った。
 ジュンジェは顔を上げる。
「話があるの」
 ジュンジェはセファを乗せてドライブに出た。
「お前は俺に関わったせいで厄介ごとに巻き込まれ続けてるな」
「私はあなたを守れてうれしいわ」
「お前が俺をか?」
「できないとでも思ってる? 陸では変人扱いされてるけど、海ではイケイケだったのよ」
 ジュンジェは笑った。
「イケイケねえ…」
「そうよ。私は数少ない人魚の生き残りよ。人間が幅を利かせてる海では並の強さじゃとても生き残れない」
 セファの話を聞いてるうちにジュンジェは少しずつ元気を取り戻してくる。
「サメにも襲われたりするし、それなり厳しい世界なのよ」
「サメに襲われたらどうするんだ?」
 セファは目を剥いて自信満々に答えた。
「サメだって私には敵わない」
 ジュンジェは快活に笑った。スペインでの大逃走劇を思い出しながら言った。
「さすがじゃないか。すごいぞ」
 髪をなでてやると嬉しそうにした。ジュンジェも気分がよかった。
 ジュンジェを見てセファは言った。
「やっと笑った。その笑顔も私が守ってあげる」
 セファを見つめ、ジュンジェは前方に目をやった。
「そういうのは俺が言うべきセリフだ」
「ずっと守ってあげる。ずっとず-っと…」
 ジュンジェは舌打ちする。
「俺のセリフだって言ってるのに」
 2人は手を取り合った。セファはジュンジェの手に何度もキスした。




 ジュンジェたちがイルジュン宅に出向くとホン刑事が待っていた。
「まいった。証拠がぜんぜん出てこない…」
 ホン刑事の言葉にセファは反射的に思い出した。カン・ソヒの過去の世界だ。あの場面はこの家での出来事に間違いなかった。
「こっちよ」
 そう言ってセファは歩き出す。
「どこへ行く?」
「地下室か?」とホン刑事。「もう調べたけどな」
 しかし、ジュンジェとホン刑事はセファについて行く。3人は階段を下りていく。
「地下室なんて昔はなかったのに…」とジュンジェ。
「ここはもう調べた」とホン刑事。
 確かあそこにカラクリのドアがあった。
「あそこよ」
 セファは壁に近づいて行った。記憶してる場所を押すと壁に隠れていたドアが開いた。
 中に入ってすぐにジュンジェは見つけた。ゴミバケツに捨てられた草花の束を…。
「トリカブトだ」
 近づいて草花に触ろうとするジュンジェにホン刑事が叫んだ。
「触るな。指紋が残ってるはずだ」
 2人のやり取りの間、セファは壁の絵にじっと見入っている。
「これは? 人魚じゃないか?」
「マ・デヨン…マ・デヨンがここにいたのよ」
 ジュンジェは言った。
「証拠が見つかったな」


 ジュンジェとホン刑事らは急いでホ・イルジュンの葬儀会場に出向いた。


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