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雨の記号(rain symbol)

春のワルツ 第4話 「帰郷」


春のワルツ 第4話 「帰郷」

まずはNHKの案内ガイドから

ザルツブルクでのコンサート後のパーティー会場で、イナはチェハに韓国でのCD発売を持ちかける。イナがレコード会社の理事であることをその時初めて知ったチェハは、「韓国には行かない。CDも興味ない。僕は君が覚えているチェハじゃない」と、冷たく断わる。イナはひどくショックを受け、動揺を隠せない。そんなイナの姿を見たチェハは、イナを「大切な友人」として参列者に紹介する。喜びを隠せないイナ。そこへ、フィリップに連れられてウニョンがやってくる。「僕の彼女」と紹介するフィリップ。フィリップが冗談で言った言葉が原因で、チェハはウニョンを、男を誘う軽い女だと思い込んでしまう。ウニョンもそんなチェハの態度に腹を立て、二人の関係は険悪に。
その夜、チェハたちの泊まるホテルに、フィリップに連れてこられたウニョンも泊まることに。翌朝早く、ウニョンは黙ってクリスタル博物館へと発つ。フィリップへのお礼にと残されていたのは、手作りの貝殻細工。それを見たチェハは・・・。

【1】ウィーン
チェハたち4人の男女の最初の出会いの地、ウィーンはオーストリアの首都。ヨーロッパの東西と南部を結ぶ十字路に位置し、豊かなウィーンの森を背景に二千年の歴史に育まれてきた。
音楽と芸術の都であり、多彩な料理とワイン、ウィンナー・コーヒーやケーキでも有名。

【2】ザルツブルク
チェハのコンサートが開かれたザルツブルクは同名の州の州都であり、ザルツブルク・フェスティバルとモーツァルトの生誕地として知られ、美しい街のたたずまいには中世が息づく。
ウィーンからは特急で約3時間。この車内でチェハとウニョンは衝撃的な出会いを果たす。

第4話より【3】ハルシュタット
オーストリアを代表する景勝地ザルツカンマーグート(湖水地方)にあり、ダッハシュタインと共にユネスコ世界文化遺産に指定されている。町はハルシュタット湖西岸に広がっており、人口は2000人足らず。チェハが常宿としているホテルはここにある設定となっている。

【4】ヴァッテンス
オーストリア西部、チロル州の一都市。チロル州はアルプス地帯の一部に含まれ、古くから伝わる独特の文化や習慣がいまなお色濃く残っている地域。
州都インスブルックからはバスかタクシーで約20分。ここにあるスワロフスキー・クリスタルヴェルテン(クリスタルワールド)は、作中では、「クリスタル博物館」として登場し、ウニョンが最も行きたがっていた場所である。7つの幻想的なクリスタルの部屋があり、魅惑の世界を体験できる。ここで繰り広げられるウニョンとチェハのすれ違いは印象的。


 チェハ、ウニョン、イナにフィリップを加えた四人は、ウイーンで出会い(チェハとイナは知り合った状態で再会。チェハとウニョンはザルツブルグに向かう列車内でお互いを知らないまま顔を合わす)、特急で三時間の場所ザルツブルクで互いのふれあいは始まる。
 その数百キロに及ぶ距離移動の中で、チェハとウニョンを出会わせておくユン・ソクホ監督のお手並みは見事なものである。ウイーンに始まり、ザルツブルク、ハルシュタット、ヴァッテンスに至るステージで、二人をどんな風に出会わせるかがこのドラマ序盤の最大のポイントだったはずである。
 二人をロマンチックにしかもしっかり出会わせるとなれば、これがけっこう難しい。チェハはコンサート活動でオーストリアの各地を移動してまわっている。ウニョンはクリスタル・デザインコンテストで優勝して初めてこの地にやってくる設定である。
 一見、それは楽勝のように感じられる。オーストリア全土の名所旧跡が該当してくるからだ。二人が出会う場所はどこを使ってもロマンチックで絵になりそうに思える。
 しかしたくさんありすぎてかえって難しいのだ。しかもそれらに囚われすぎると逆に観光案内ドラマの安っぽさを滲み出させてしまいかねない。
 どこにするか、スタッフたちはさんざん悩み、意見を戦わせたに違いない。そうして出てきたのが特急電車の中だった。だがサスペンス物や事件物ならそれもわかる。人と人が入り乱れ、目まぐるしく交錯する場面を描くには外の景色が邪魔になることだってあるからだ。
 これはそんなドラマには入らない。若い男女の痛みをともなった初恋の記憶と再会のラブストーリーだからだ。
 長い時を経て二人を異国の地で再会させようとすれば、飛行機(イナとウニョンに使った)、空港(フィリップがイナとウニョンを勘違いさせるのに使った)、街角(フィリップがイナと勘違いしたウニョンを見つけたのに使った)、ホテル、レストラン等、ありとある場所がその候補地となってくる。スタッフたちはどれにするかで決めかねたはずである。いくら美しい景色を入れたところで登場人物が活き活きしてこなければドラマは力を失う。
 そこで切り出されたカードは特急電車の中だった。
 対比の妙というべきか、ウイーンのさまざまの景色を撮る時は旅なれないウニョン一人の姿を追うことで異国のイメージを強める一方、二人を再会させる時はそういった景色から二人の心へ移していく。それをやるにおあつらえ向きなのが電車の中だったのだ。二人の濃密な関係や時間を作り出すにはそこがまさに打ってつけだった。
 二人にとってはかんばしくない出来事となりつつ、ドラマを鑑賞する者にとってそれは印象に深い場面となって残った。

 ドラマはコンサートを終えたチェハが常宿地としている湖水の町ハルシュタットのホテルへ向かう一方、フィリップに一目ぼれされたウニョンもその地で宿を取ることとなる。
 運命の引き合わせとはそういうものか。たまたま同じホテルに泊まった二人は別々の部屋ながら、遠い記憶の痛みと悲しい別れの同じ夢にうなされる。
 翌日、朝早く目覚めたウニョンは町中に散歩に出る。町には雪が降り積もっている。ウニョンは雪を集め、湖水に面した欄干に並べたり、雪の上に積み上げたりして雪玉遊びのひとときを過ごす。部屋のバルコニーからそんな彼女を眺めるチェハがいた。湖水の町の早朝を楽しんだ後、ウニョンはフィリップにお礼の手紙と貝殻細工をプレゼントに残して出発する。ヴァッテンスのクリスタル博物館へ向かうためだった。
 フィリップはウニョンのつくった貝殻細工に見とれながらチェハらがやってくるのを待った。チェハを連れてやってきたイナはすぐ貝殻細工に興味を示す。一緒に泊まった女がプレゼントで残していったのだとフィリップは答える。貝殻細工に見覚えを感じながら話に聞き入っていると、ウニョンという言葉が耳に飛び込んできてチェハの表情は変わった。
 チェハは三人で乗るはずの車に急いで乗り込んだ。二人を置き去りにしてウニョンの後を追ったのだった。
 そして、駆けつけた「クリスタル博物館」でウニョンとすれ違ったチェハは祖国韓国の地を踏む決心をしたのだった。
 現実の時が動きながら、思い出の世界をたぐりよせるオーバーラップの手法は、少女時代のウニョンのかわいさもあって見る者の心にどんどん迫ってくる。
 地で行ってるのか演技力なのか、ウニョンの透明感ある存在がすごく魅力的だ。彼女の魅力にイナは遠く及ばない感じである。

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