雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載21)

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韓国ドラマ「30だけど17です」(連載20)


「30だけど17です」第2話(美しい縁)⑩


☆主なキャスト&登場人物


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)


★★★


 自分の善意に束の間の充足を覚えたソリだった。だが、その順番が空腹の地獄と天国を分けた。
 順番を譲った男は、
「たくさん下さい。たくさん下さい」
 の言葉を繰り返しながら、食べ物を食器に盛ってもらっていた。 
 食器を持ったソリが食べ物を盛ってもらう順番がやってきた。
「お願いします」
 ソリは食器を差し出した。
 しかし…、
「困ったわ」
 ご飯を盛るおばさんの第一声だった。
「もうご飯がないのよ…!」
「ええっ!」
 ソリは順番を譲った男の顔を見た。テーブルで食事する男はソリと目が合うと、慌てて食事を急いだ。取られまいとするかのように…。 
「ごめんなさい」
 ご飯盛りつけのおばさんはソリに詫びた。
「今日は人が多くて…ごめんなさい」
 自分の一人分が足りないなんて…。
「いいえ、大丈夫です」
 気丈に応えたもののソリの空腹は一層増してしまった。
 おばさんもソリの分だけご飯を欠いたのは、”気遣いを欠いていた”と思ったらしい。懐から何かを取り出した。
「これをどうぞ」
 銀紙に包まれた洋菓子だった。ソリは両手でそれを握った。
 トイレで汚れた顔を洗い、髪を整え、少しは元気になって街中に戻った。


★★★


ソリは道行く人たちが憩いを取っている場所にやってきた。ベンチを見つけて腰をおろした。包み紙を剥がし、チョコを巻いた菓子を口いっぱいに押し込んだ。
 その時、道路わきの立て看板が倒れるのを目にする。ソリは口に入れた菓子を戻した。包み紙にのせてベンチに置き、立て看板をもとに戻しにいく。
 ウジンが巻き尺を手にベンチの前に現れた。足を止め、ベンチの寸法を取りにかかる。
「1メートル15センチ…」
 菓子に気づかず、今度はベンチをまたいだ。腰をおろすと巻き尺でベンチの幅を測る。
「30センチ…」
 立て看板を元に戻してベンチに戻ったソリは困惑した。菓子をおいた場所に見知らぬ男が座っていたからだ。
 ベンチの周りを探すが菓子は見つからない。
 ソリはウジンに声をかける。

 返事がないので肩を指でおす。
「あの…すみません」
 ウジンは渋い顔で聞き耳を立てる。
「ここにあったチョコパイはどこに?」
「知りません」
 煩わしそうな返事だ。
「わかりました…」
 あきらめて行きかけるが、虎の子の菓子だけに諦めがつかない。
 男の尻の下が気になってならない。
 もう一度男に歩み寄る。
「たびたび、もうしわけないですが…本当に知りませんか? 確かそこに置いた…」
「知らない。見てません…!」
 相手の顔も見ず、煩わしさを態度に出しながらウジンは答えた。



韓国ドラマ「30だけど17です」(連載21)


「30だけど17です」第3話(期限付き同居の始まり)①


☆主なキャスト&登場人物 


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)


★★★


「そうですか…」
 ウジンはカメラを構え、前方を写真に収めだす。
 邪険さがあまりにひどい。
「”自分が食べ、バツが悪くてシラを切ってるのでは?”」
 ソリにあらぬ疑いの気持ちまで芽生えだす…。
「すみません!」
 ウジンは強い調子でもう一度声をかける。
 それでも返事がない。ソリはウジンの前に飛び出した。
 「あっ!」
 ウジンは同時的にシャッターを切っていた。
 その時にウジンはソリの顔をやっと見ていた。
 そりは横にのけた。
「あなたを疑うわけではありませんが…食べたのなら正直に言ってください」
「…」
「チョコパイに足が生えてるわけでもないですし…」
 ソリはウジンに斜な目を向ける。
 ウジンはソリのペースに巻き込まれていた。
「僕が拾い食いをやったと…!」
 ソリは目を落とした。俯いたまま言った。
「しませんよね…大人の方がそういうのなら正しいのでしょう」
 ソリはペコンと頭を下げた。
「初対面で失礼しました」
 その時、ウジンはまじまじとソリを見ていた。
「初対面?」
 ウジンは顎に手をやった。このせいかと気づいた。
 しかし、それでもかまわないと立ち上がる。

 ソリの口から軽い悲鳴が漏れる。
 ウジンのジーンズのお尻からチョコパイが剥がれてベンチの上に落ちたのだった。
 ソリは叫んだ。
「私のチョコパイが…!」




 イ・リアンが通りかかり、友達の手を取った。
 また写真を撮りだしたジーンズ男のお尻を見て言った。
「ちょっとあれ見て…ウンコじゃない?」
 2人は手を取りあってそばを駆け抜けていった。


「やっぱり、そうだったのね。そうだったわ」
 ソリはウジンの後ろに立って訴える。
「おじさん~、おじさん~ってば!」
 振り向いたウジンにソリは泣きながら訴える。
「わざわざ、チョコパイの上に座るなんて~あんまりです」
 ジーンズの後ろを見てウジンもようやく得心した。
「気づかなかった。本当にすみません。これの代わりを」
「やっと食べられると思ってたのに…」
 ソリは恨めしそうな目をウジンにぶつけた。
「すみません。弁償しますので」
「いいんですか?」
 ソリは立ち上がった。
「はい」
 ウジンは財布を取り出す。
「いくらでしょう?」
 ソリは笑顔で答えた。
「お金は結構ですから、同じ物を買ってください」 


 
 やむなくウジンはソリを連れてチョコパイを買いに向かった。ソリは大人しくウジンに従った。
 だが、ウジンのお尻を見て、多くの人たちが勘違いを起こした。
「あの人を見て。ウンコ漏らしてるよ」
「いい大人の人が汚いわね」
 それらのヒソヒソ声が気になり、ソリはウジンの背中を人差し指につついた。
「すみません」
 ウジンは足を止める。振り返る。
「何ですか?」
「ウンコを漏らした人のように見えます」
 ウジンは辺りを見回して答えた。
「別に構いません。行きましょう」
 気にしないで歩き出したウジンにソリは追いつく。再び背中をつついた。
「今度は何?」
「ほんとにウンコが付いてるみたいに見えます」
「そう見えても、全然、構いませんから」
「…」
「ですから早く行きましょう」

 さっさと歩き出しウジンを見て、ソリは自分のカーディガンを脱ぎ取った。腕の部分を両側からウジンの腹に回した。前で結んで”ウンコ”に見える部分を後ろから見えないようにした。

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