「今日は友達に会いに行かないのか?」
「友達って誰? カンジャのこと? 友達じゃないわ」
「カンジャじゃない。ジャージャー麺の友達のことだ」
アンナは電話帳の中に埋めていた顔を出した。見下すように言った。
「チャン・チョルス…あんた、カッコ悪いわよ」
「何が?」
「彼に会うんじゃないかと思って偵察にきたんでしょう?」
「誰が?」
チョルスは動揺した。アンナはさらに言った。
「今のあんたは…花束女を止めに行った私と同じよ。見苦しいわ」
「お前を偵察するだ? 見苦しいだと? はっはは」チョルスは精一杯余裕をつくろった。「やるわけないだろが。あっはははは…」
バカ笑いしながら自分の部屋に入って行った。
部屋に入りドアを閉めるとチョルスの顔から笑みが消える。ドアの外のアンナをうかがうような表情でつぶやいた。
「見苦しいか…まいったな」
「どうだ、何か見つかったか?」
ビリーの問いかけにコン室長は答えた。
「見つけました。釜山に一週間かかる工事があるんですが、請負賃を高くつけたのでチャン・チョルスなら必ず食らいついてくるはずです」
「チャン・チョルスめ…一週間だけアンナから離れてるんだ。その間にアンナの心をつかみ、アメリカに連れて行く」
チョルスは部屋から出てきた。
見たらアンナはいない。電話帳の探索を中止し、席を外したようだ。
「またどこへ行ったんだ? まさか・・・ジャージャー麺の友達と?」
アンナは気分転換で、コッスンを散歩に連れ出していた。
携帯はそのへんで落としたんじゃないかと探しに出たのだった。
「コッスン、鼻が利くんでしょう? あんたも犬の端くれなら携帯を見つけ出しなさい。見つけたらエサは大盛りであげるわよ。少しは集中しなさい。ほら、ちゃんと探して。何してるの、そうじゃないでしょ! ちゃんと探すの」
アンナを探しに通りまで出てきたチョルスの表情はやわらいだ。
「はっはは、コッスンを頼ってあいつも何考えてんだか・・・」
「もういいわ。あんたにはがっかりよ。いいから、戻りなさい」
アンナはコッスンの手綱を離した。
「ああ、もう…どこで失ったんだろう」
一人でまた今来た道を戻りだす。
チョルスはアンナの後をついていった。
「ピンク色の携帯を拾ったら私のところに持ってきて」
近所の子供たちを集め、落し物の依頼を徹底した。
「他人の物を盗んだらあなたたちの未来はないからね」
「は~い」
「遊びながら探すのよ」
「は~い」
チョルスはアンナの子供たちとのやりとりがおかしくてならなかった。愉快でならなかった。
「あっははは」
アンナのこういう素朴さ純粋さが彼は好きなのだった。
アンナはとうとう町まで出た。自分の足取りをたどって携帯を探し続けた。
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