韓国ドラマ「30だけど17です」(連載82)
「30だけど17です」第9話(戸惑いと心地よさ)⑧
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
ソリたちの前に公演を終えたリン・キムが姿を見せた。
「素敵でしたわ」
リン・キムにヒスは言った。
「仕事に気を取られ、花束も持たずにすみません」
「とんでもない」リン・キムは笑顔で答えた。「来てくださっただけで十分です。ありがとう」
ソリたちにも笑顔を向ける。
「もしや」
ソリにリン・キムは気づいた。
「彼女が例の…」
「そうです」ヒスは頷いた。「監督が求めていた人です」
「わあ〜」
リン・キムは感激の声を発した。
「ずっと会いたいと思ってたの」
ソリは頭を下げた。
「聴かせていただきました。すばらしい演奏でした」
ヒスが言った。
「彼女もバイオリン経験者なんですよ」
ソリは照れくさそうにする。
「どうりで―話の通じる相手だと思ったわ」
リン・キムは右手を差し出した。
「これからもよろしくね」
ソリは差し出した両手を慌てて引っ込める。恐縮して言う。
「手が汚いので握手は次の機会に。手が命の演奏家に失礼ですから」
「今回の音楽祭を一緒にやれて心強いわ」
ソリは笑顔を返す。
「そうだ。まだ名前を聞いてないわね。お名前は?」
ソリは顔を上げた。高校生の頃のように胸を張って答える。
「私はウ・ソリです」
これを聞いてリン・キムの表情は変わった。
このひと言でリン・キムは目の前に立つ彼女が”あのウ・ソリ”なのを直感した。
ずっと昔、恩師が皆に紹介した”あのウ・ソリ”だと―。
― 選抜大会で私が選んだ子だ。第2バイオリニストとして参加するから―協力してほしい。
― ウ・ソリです。よろしくお願いします。
控室に戻ったリン・キムは鏡の中に昔のウ・ソリを思い浮かべていた。人差し指の爪を親指に立てるクセもぶり返しながら。
無邪気な挨拶もあの時と同じだった―と。
「いったい何故、あのウ・ソリが私の前に…?」
★★★
ソリはウジンとともに家に向かった。
リン・キムの素晴らしい演奏に感激し、十数年の眠りのためにバイオリニストの夢を育めなかった自分の青春を顧みながら、ソリは沈み込んでいる。
汚れたこの手のために彼女とは握手も出来なかった…。
車のハンドルを握りながら、ウジンはソリの手にちらと目をやった。
水に溶かした小麦粉で手指を鍛えていたのもまたバイオリンを弾きたいためだったのだ。
チャンは二階から下におりてきた。これで何度目だろうか。
「トック、おばさんの帰りは遅いな〜傘は大丈夫かな…」
この時、玄関で物音がした。
ソリたちが入ってきた。
「おばさんをこき使い過ぎだよ」
チャンはウジンに愚痴を言う。ソリの手を見てびっくりする。
「何だ!」
ソリの手を取った。
「この手、どうしたのさ」
ソリは手を引っ込めた。
「大した傷じゃないから大丈夫です」
愛想笑いして手洗いに向かう。
チャンはウジンを睨んだ。
「おばさんに何をやらせたの?」
「…」
「バイオリンを弾く手だよ。だのに」
「疲れてるんだ。寝かせてくれ」
ウジンは階段を上がっていく。
「叔父さんってば!」
ウジンは振り返らずに上がっていく。
チャンは頭を抱え込んだ。
「え〜っと、薬はどこだっけ」
チャンはそこら中、薬を探し回った。
「ない。なぜみつからないんだ」
傘を握って雨の中に飛び出した。薬局を探し回った。しかし、薬局は夜がふかまってるのと大雨のためにどこも早じまいしている。
チャンは焦った。ソリの怪我が心配だった。
「ああ、怪我などしちゃいけない手なのに…」
チャンは薬を握って駆け戻ってきた。
「おばさん、薬だよ」
部屋のドアを開ける。
するとそこにはジェニファーの姿があった。
「幸い傷は浅いです。ご心配なく」
ソリはジェニファーの治療を受けて眠りについていた。
チャンは自分の部屋に戻った。可愛がっているピアクの前に腰をおろした。
「ピアカ、お前とおばさんは〜」
チャンは胸を押えた。
「違う…」
今日は色々あった日だった…。
その夜、ソリのことに思案を奪われ、ウジンはなかなか寝付けなかった。
机に座って考え込み、ベッドの上に横たわり、天井を見つめて考え込んだ。
― 今日は…一緒にいて、彼女の心も覗けて、心地よく幸せな気分と心配で時間の長かった日だった…。
ソリは途中で目を覚ました。リビングで玉ねぎの皮を剥きながら涙を流した。きっともっと泣きたい夜だったのだ。
そんなソリの気持ちを慮ってウジンはソリの様子を見に来た。
傍に歩み寄って涙を拭おうとするソリの手を握る。
ソリは顔を上げる。
2人は見つめ合った。ウジンは言った。
「その手で―拭っちゃダメだ」
「ああ、いえ…」
ソリはウジンを見つめ返した。
「泣いてなんかいません。目が痛いだけ」
「…」
「玉ねぎが目に染みて…」
ウジンはそっとソリの頬に手を伸ばした。
― 彼女と…一緒の時でした。一番怖かった瞬間も、一番心地よかった瞬間も、彼女がそばにいました。
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