雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載158)





韓国ドラマ「30だけど17です」(連載158)




「30だけど17です」第18話(初めてのキス)⑥


☆主なキャスト&登場人物


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★

 レースに向けてチャンたちは円陣を組んだ。
「成金の息子として満足して生きてきたけど、メダルを取りたい。取れないと泣く」
 ヘボムの言葉にチャンは言った。
「取りたいじゃない。取るんだ」
「そうだな―ところで、こいつはさておきドクスは静かだな」
 ドクスは答えた。
「緊張で尿意が…19年の人生でここまで切実なのは初めてだ」
「…」
「ああ、トイレに行きたい」
「ともかく落ち着け」とチャン。「今までの練習を信じて、いつもどおりやればいいんだ。OK?」
「ああ」
 チャンは顔を上げて叫んだ。
「ドント・シンク・フィール!」
 ドクスらも続いた。
「ドント・シンク・フィール!」
「テサン高、ファイト!」
「テサン高、ファイト!」


 チャンたちはボートに乗り込んだ。
 各校のボートがレーンに並んだ。


 競技開始のアナウンスが会場で流れる。
「これより、第15回ボート競技大会初日、団体戦を始めます」


 そして、スタートは切られた。

★★★

 テサン高校はスタートで躓き大きく出遅れる。

― 現在、プンジン高がトップ、テサン高は出遅れました…

 コーチは岸辺の道に自転車を走らせながら、ゲキを飛ばす。
 コーチを追い抜いて、チャンの自称”恋人”のイ・リアンもゲキを飛ばす。
「テサン高、ファイト! 頑張るのよ」
 レースは中盤から後半に入る。

― テサン高が追い上げてきました。先を行く2チームを追い越し、3番手に浮上。… 現在、トップはプンジン高、次いでスソン高、テサン高です。

 コーチの前を走りながら、リアンは声を枯らしてゲキを飛ばす。
「きっと優勝できるわ。チャン、頑張って!」  
「何だ、あいつは」リアンの後ろを自転車で走りながらコーチは呆れる。
「コーチにでもなったつもりか」
「その調子よ。水をつかめ。キャッチだ」
「…」
 リアンの声が聞こえたか、テサン高はモーレツな追い上げを見せる。 

― テサン高が猛スピードで追い上げています。

「行くぞっ!」とチャン。
「おおっ!」


― ゴールまではあと少し、ラストスパートです。…ラインを通過しました。1位、プンジン高校。2位、スソン高校。3位、テサン高校…。

 テサン高校が3位に入ったのを見て、リアンとコーチは両手を上に掲げ合い、小躍りしあった。
「やった、やった、やったよ〜!」
 リアンは両手をコーチから離した。我に返った。
 この人、誰? ああ、コーチだった。
 チャンたちの方を向き直った。大きな声で叫んだ。
「やったよ、おめでとう!」

 ドクスはヘボムと握手した。チャンは空を見上げた。
「銅メダルだ〜!」
 全員で歓喜に咽んだ。
「やったぞ〜!」


 リン・キムはステージから届く演奏と音響に顔を顰めた。
 音響スタッフの所に出向いて注文をつける。
「この音響ではダメです」
 音響エンジニアも難しい表情を返す。
「言っておられることは分かりますが、ホールではなく野外ですから、この程度で妥協してもらわないと〜」
「妥協できません」
 リン・キムは即座に突っぱねる。
「出来るはずです。最終リハまでに完璧にしてください」
 
 リン・キムは苛立った気分で控室に戻ってくる。
 納得いかない顔でため息をついていると、ドアがノックされた。入ってきたのはウ・ソリだった。
 ソリはリン・キムを見て切り出した。
「きちんと降板の件を伝えていませんでした」
「…」
「ご迷惑をおかけしました」
 ソリは頭を下げた。
「そこまで切実じゃなかったのね」
 リン・キムはさっきの不満な音響を耳に残したまま言った。
「簡単に諦めるなんて」
 ソリは首を横に振った。
「切実だからこそ、悩んだ末に決めました」
「…」
「ずっと好きでいたいから」
 リン・キムは背けていた顔をソリに戻した。
「大好きな音楽を―何かに追われるみたいに続けたくないんです」
「…」
「私は音楽を楽しみたいので」
 リン・キムは預けていた腰を台から離した。ソリときちんと向き合った。
 ソリは言った。
「心から楽しめる日が来たら、また始めるつもりです」
「…」
 リン・キムの表情は真剣だった。
 ソリは下を向いた。苦笑を浮かべて言った。
「監督みたいな人にはバカげた考えですよね」
「…私みたいな人って、どんな人?」
 ソリは思ってることを正直に答えた。
「監督は完璧な人です。成功を収めて羨むものもない」
「私が?」
「監督の独奏会に行って感動し、大泣きしたんです」
「…!」
「舞台での監督がステキで羨ましくて」
「ソリさんは私が羨ましい?」
 
 ウ・ソリの
引き揚げた後、リン・キムは思案に沈んだ。
 さっきの音響エンジニアへの注文といい、ソリの言葉といい、シム・ミョンファン先生の言葉といい、何かに急き立てられてきた自分の像がふいに見えたような気分に囚われていた。
 その時、携帯が鳴った。
 母親からのメールだった。
「完璧な舞台にしてね。ママはあなたが誇らしいわ」
 彼女はふっと息をついた。 これだったのね〜、自分をいつも追いつめていたものの正体は…。
「あなたが完璧なら―指揮者も一般高校の子に興味を示さない…」
 彼女はシム先生の言葉を思い起こした。


― 私は彼女の演奏が好きだ。それは正確でなくても楽しんでいるからだ。他人と較べる必要はない。


 次にウ・ソリの言葉を思い起こした。


― 監督は完璧な人です。成功を収めて羨むものもない。…何かに追われるみたいに続けたくないんです。私は音楽を楽しみたいので。


 息苦しさを感じて彼女はシャツの胸元のボタンを引きちぎった。
 ふうっ〜と息を吐いた。



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