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感謝するカンジャにアンナとチョルスは笑みを交し合った。
「髪になんかは挿さないでよ」
「わかった」
「これからもカンジャのことをよろしく頼むよ」
カンジャの家族は祝いに駆けつけてくれた人たち一人一人に挨拶して回った。
カンジャは自分の好きなドックのそばに来て座る。ドックは困惑しながらも適当に応接する。
ケジュは天を見つめ物思いに耽っている。
アンナはチョルスと一緒にマッコリを飲んで上機嫌だった。
チョルスはジュンソクたちにどんどん食べろと勧めている。
アンナは酔いが回りだしている。
「ほんと、さわがしいわね。何が楽しくて笑ってるの?」
例の調子で息巻くのをチョルスは呆れて眺める。
マッコリを自分でお代わりする。じつは気分がよくなってきているのだ。
そこへカンジャの父親が顔を出してチョルスの肩を叩いた。
「たくさん食べて。…いい知らせがあれば必ず教えてくれよ」
「いい知らせ?」とチョルス。
「そろそろ結婚しないといかんだろ。はっははは」
チョルスはアンナと顔を見合わせた。
「そんなこと~!」
「ダメよ」
隣の席からカンジャが叫んだ。
「サンシルお姉さんは結婚したの」
隣に座ってるドックやケジュはびっくりする。
チョルスも当のアンナもびっくりしてカンジャを見る。
場はシーンと静まり返った。
毅然とした態度のカンジャに母親があわてて駆け寄る。カンジャに代って弁解する。
「おっほほほ、結婚したじゃなく、これからチョルスと結婚するってことよね」
カンジャは母親の説明を受け付けない。
「ダメ。おじさんが泣くから、結婚はダメ」
何のことかわからずチョルスはアンナと目を見合わせる。
「…」
「お姉さん」とカンジャがアンナに言った。「チョルスさんとはダメでしょう?」
「えっ?」
アンナはキツネにつままれた顔になる。
カンジャがとんでもないことを言い出して、場の雰囲気は混乱しだす。父親が収拾に乗り出した。
「カンジャ、何か歌え」
「歌ね、わかった」
カンジャはスックと立ち上がる。直立で歌を歌いだす。手拍子が出始め、場の混乱は元に戻りだす。
しかし、アンナはカンジャの言いだしたことが、実際に自分にまつわる話のように思えたのだった。
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