<script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?cb=googleTranslateElementInit"></script>
google-site-verification: google3493cdb2db9edecf.html


韓国ドラマ「病院船」から(連載125)
「病院船」第12話➡あなたを突き放す理由①
★★★
「受けるとも」
ウンジェの前でキム・ドフンは答えた。
「父君の命が懸かってるんだから―私情抜きに受けるのが当然だ」
「教授…」
「しかし、困ったな。手術の予定が詰まってて時間を取れない。以前は君がいたから、時間を作ることもできたが、今は到底無理だ」
「教授…」
「他の医者を当たれ」
キム・ドフンは席を立った。
「どうかお考え直しを」
足を止めてキム・ドフンは答える。
「残念だが、どうにもならない」
「教授」
「帰りなさい」
ウンジェは突然跪いた。頭を下げた。
「お願いします」
キム・ドフンは再び足を止める。
「どうかお願いです」
ウンジェは顔を上げた。
「父を助けてください」
キム・ドフンはウンジェを見下ろした。
★★★
ウンジェは願いと思いをぶつけた。
「どんな形であれ、必ず恩返しします。ですので、どうか…」
「ソン・ウンジェ、いい加減にしろ。私がいかにも非情で悪いヤツに見えるだろが」
言い置いてキム・ドフンは部屋を出た。

部屋を出るとキム・ジェファンが立っている。
「教授、ひどすぎます。ソン先生にこんな仕打ちはないでしょう」
「何を言い出すんだ!」
「時間は取れるのに執刀したくないのでは?」
「キム先生」
部屋を出て来たウンジェが口を挟んだ。
「何の真似? あなたが意見する筋合いじゃない。黙りなさい」
「ソン先生」
「教授に謝って」
「できません」
ウンジェはキム・ドフンに頭を下げた。
「お騒がせしました。私に非があります。ですのでジェファン先生は大目に見てください」
キム・ドフンはウンジェの表情を窺い、ジェファンを睨みつけて立ち去った。
ウンジェは厳しい目をジェファンに向けた。

何の収穫もなく落胆してウンジェはエスカレーターをおりる。キム・ジェファンが後を追ってくる。
「先生、待ってくれ…」
エスカレーターをおりてもウンジェは足を止めない。ジェファンは追いついた。
「私は先輩として失格ね」
ウンジェは歩きながら言う。
「じゃあ、なぜ」
ウンジェは足を止める。振り返る。ジェファンを睨む。
「私がそんな風に教えた?」
「…」
「”上司を疑え”とどこで教わったの?」
「…」
「あなたがキム教授の立場なら、時間に余裕があっても気に食わない患者なら執刀を拒むの?」
「まさか…」
「なのに教授を疑うの?」
「それは」
「覚えておいて。キム・ドフン教授は、あなたの師であり上司よ。医者同士、信頼関係がなければ―手術で息が合わず患者を救えない。どういうことか分かるわね?」
「はい」
「なら、いいわ」
ウンジェはさっと背を返す。ジェファンが声かける間もなく遠ざかる。ウンジェの足取りはジェファンが追うのを拒んでいた。
ジェファンにああは言ったもののウンジェの落胆は大きかった。
病院の外に立つと待っていたようにため息が出た。



付きっきりのウジェの前で父親が急に苦しみだす。ウジェは慌てて誰かを呼んだ。
介護士が飛び込んでくる。
すぐにコードブルーがかかった。112号室に向かって医者たちが走る。
ジェジュンの容体異変はウジェからウンジェに携帯で伝わった。
「姉さん、大変だ!」
「どうしたの?」
「父さんの様子が変なんだ」
メソメソ声だ。
「ウジェ、落ち着いて。先生はもう呼んだ?」
ウンジェはタクシーを拾って空港に向かった。
「ウジェ、よく聞いて。今、そっちに向かってる。気をしっかり持つのよ」
「わかった。姉さん、早く来て」
「大丈夫よ。何事もないはずだわ」
携帯を切ってもウンジェは1人繰り返した。
「無事なはず、大丈夫なはずよ…運転手さん、急いで」
「急病人ですか?」
「…どうか無事で…大丈夫よ…運転手さん、まだ着きませんか?」
「それより最終便がもう発ったはずです」
「えっ?」
ウンジェは動揺していた。冷静さを失っていた。
「運転手さん、どこかに少し止めてもらえませんか?」
タクシーを降りるなり、ウンジェは道端でこみ上げる何かを吐いた。吐瀉物はなかったが、気持ちは少し落ち着いた。