雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載168)






韓国ドラマ「30だけど17です」(連載168)




「30だけど17です」第19話(愛の告白)⑧


☆主なキャスト&登場人物

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★


 クク・ミヒョンは店の事務所内を歩き回る。気持ちは落ち着かなかった。
 ソリの身体は回復していた。ミヒョンにとって自分の所在を彼女に知られることはストレスでしかなかった。
 ミヒョンはあらためて花の予約票に見入った。
 やっぱり記憶にあるソリの筆致に間違いないように感じる。電話番号を見て再び思い悩む。
 しようか、すまいか悩んだ末、ミヒョンは電話の受話器を握った。
 電話番号をプッシュし終わったのに、回線が相手先につながった瞬間、ミヒョンはとっさに受話器を戻してしまう。
 どう切り出すか、ソリの前から行方をくらました経緯をどう説明するかに、自信が持てないからだった。大人になったソリにどう説明してもただの弁解にしか受け止めてはもらえないだろう。
 ミヒョンは肩で大きく息をする。
 その前に…しばし考えてもう一度受話器を握った。
 ミヒョンがかけたのは”のぞみリハビリ病院”だった。
 ミヒョンは切り出した。
「少しお聞きしたいことが…ウ・ソリという患者は患者は回復したんでしょうか?」
 受付の看護師は辺りを見回した。怪訝そうに訊ね返した。
「どなた様ですか?」
「回復しましたか?」
 看護師はきっぱり答えた。
「個人情報はお答えできません。患者とのご関係は…?」
 訊ね返す途中に回線は切れてしまう。
 
 ウ・ソリに関する具体的な情報を得るのを諦め、ミヒョンは店を閉めて表に出た。
 そこに声をかけた者がいる。
「クク・ミヒョンさん?」 
 コン・ウジンだった。


★★★


 先日、手帳の件で会った人…ミヒョンは戸惑った。
 ウジンは訊ねた。
「ソリの叔母さんですよね?」
 ミヒョンはすぐに答えられない。ウジンを見つめ返すしかなかった。
「いいえ、違います」
 ミヒョンはためらった末に否定する。 
「人違いです」
 しかし、ウジンはもろもろの心辺りから確信していた。
 立ち去ろうとするミヒョンの背中を言葉で追った。
「ソリがあなたを捜しているんです」
 ミヒョンは思わず足を止めた。うな垂れてしまう。それでも前を見つめたまま答えてしまう。
「そんな人、私は知りません」
 そのまま立ち去ろうとする。
 ウジンは叫んだ。
「叔父さんはどこですか? 会いたいと願ってます」
 しかしミヒョンは無視して車に乗り込んでしまう。ドアを閉め、走り去った。
 ウジンは目を潤ませて車を見送った。
 ため息をつきながら手にしたミヒョンの名刺を見つめた。
 彼女はどうしてこうまで、”叔母”であるのを否定するのだろうか…。


 車を走らせながら、ミヒョンは涙ながらに、自分の取った行動をむりやり納得させた。
「そうよ。しかたなかったのよ…!」
 何度も自分に言い聞かせた。
「私は悪くなかったのよ…」
 しかし、涙はさらにあふれ出て来る。
 ミヒョンは申し訳ない気分と罪悪感にさらされ、車を道路端に寄せた。グスグスと泣きじゃくった。
 


 何とかバイクでドライブを続けてきたウ・チャンたちだったが、いつしか燃料切れに追い込まれてしまった。
 走力を失ったバイクは止まってしまい、チャンとソリは道路上に投げ出されてしまった。
 転倒から立ち上がったチャンは転んだソリを心配する。
 「大丈夫、平気よ」
 そう答えたソリはバイクを見て言った。
「タイヤがパンクしたみたいよ」
 チャンは指でタイヤの圧力を調べる。タイヤはペコンと凹んでしまう。
「ほんとだ」
 チャンはため息をつく。
「どうしよう」
 呆然と辺りを見やる。
 すでに夜のとばりもおりている。
「とりあえず…」
「…」
「だから…」
 どうしたらいいか分からず、チャンは頭に手をやった。
「ああ、まいったな…お腹すいてますよね」
「大丈夫よ」
 ソリは元気よく答えてあげる。
「気にしないで」
 チャンは顔を上げた。
 すると向こうから屋根のランプを光らせながらパトカーが走ってくる。


 警察で事情聴取を受けた2人のところにウジンが駆けつけてきた。
 ウジンはチャンを見て言った。
「いったい、何を考えて、こんな行動…」
 すかさずソリが2人の間に割って入る。
「私が誘ったんです」
「…」
「だからチャン君を叱らないでください」
 ソリの弁解にチャンはそうじゃなさそうな表情をする。
 ウジンはチャンを見て言った。
「ともかく、家に帰ろう」
 大人しくウジンに従って歩き出したチャンは左足を庇って転びかける。
 ウジンは怪訝そうにする。。
「怪我でもしたのか?」
 黙っているチャンにウジンはしゃがんだ。足の踝を見てびっくりする。そこはびっしりテーピングされていたからだ。
「これはどういうことなんだ?」
 ソリは思わず口を両手で覆った。
 隠していた怪我を見つけられ、チャンは観念した顔になった。


 チャンはウジンらと一緒に病院へ出向いた。
 踝の辺りを診察したドクターは診察の結果を答えた。
「じん帯断裂です。痛みはいつからですか?」
 チャンは渋々答えた。
「2週間前からです」
 ウジンは呆れた。
「そんなに前からか?」
 診察にあたってドクターは言った。
「数日、入院して、手術するかどうかを決めましょう」 
 チャンは殊勝に頷いた。
 それからソリを見やった。
 チャンの視線に気づいてソリは彼を見つめ返す。
 するとチャンはソリの視線を避けた。
 それから顔を顰め、ため息をついた。


― なぜ、今日なんだ…ソリさんに顔をあわせられない。





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