日々新化、ランニングする整形外科医

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マラソン3時間切りを目指す整形外科医の日常から想うことを中心に発信していきます。

骨格って変えられるの?

2023-07-04 07:08:44 | 骨格

以前正しい骨格の話をしました。基準が難しいのはありますが皆さん何となく猫背は良くない、反り腰も良くない、がに股も内股も過ぎるのは良くないなど何となくこれはさすがに良くないよなという感覚は持っていると思います。何が正解かと言われると難しいですがさすがに見出しの画像は正常とは言えないと思うのではないでしょうか?

 

これを治そうと思って時に見た目に丸まっているから伸ばしましょう、はうまくいかないことがほとんどです。本人の感覚では丸まろうとして丸まってきている訳ではないからです。それでも丸まってきてしまうのは左右バランスの崩れの方が先に来て左右バランスを保つために丸まる体勢を取るようになってきたという方が近いです。

 

さらに感覚としては本人も一生懸命顔を上げて上を見ようとしているのです。本人が見上げようとしている時に背骨のレベルでは後ろの弯曲の頂点には届かずそこより上のレベルに働いてしまうので逆にその下の後弯の頂点レベルではさらに後弯を悪化させてしまう力が働くという悪循環を起こしているのです。後弯の頂点に作用させるには背骨自体がたくさんの関節の連なりになっているので適切な位置で適切な方向に力を作用させるのが難しいのです。

 

あくまで見た目を治そうとするのでなく感覚を変えることが骨格を正しい方向に導くことに繋がります。なぜならその人の骨格として適切な位置を取れていなくてもなんとも思わず生活している、言い換えれば異常な骨格であるのにそこが普通と思ってしまっているからです。もちろんあまりにも変化が強ければ限界を超えて痛みを出してきますが少し崩れた程度では痛みも感じず、その積み重ねが骨格の異常を増大させ、ずれているところが正常という感覚を作っていってしまうからです。

 

ですから骨格を正しい方向にもっていくための動作改善トレーニングでは、その人がこんなところで良いだろうと思っている所に正しい骨格で動くという答えはないのです。これって変じゃないですか?と思うところに正しい骨格運動があるのです。

 

こういう骨格の違いがあるのに感覚が同じはずないですよね。後者の方が前者の体勢に無理やりさせられたら痛いですが徐々に積み重ねて出来上がっていくというところにポイントがあると思っています。ですがその感覚を利用して動作改善のポイントを攻めていくのが骨格を変えるためのポイントではないかと思っています。

 

それではまた。

 

 

 

 


正しい歩行とは?

2023-07-02 14:10:20 | 骨格

そもそも正しい歩行とは何でしょう?

 

答えはないかもしれません。前回動作の評価の話をしましたが、歩行という動作自体が関節可動域をそこまで出さなくてもできてしまうので自分の使いやすい方向に代償作用が起きているのではないかと思っています。私自身も勝手に得意な方だけ動かして一部を動かさないようにしていると思います。走る位大きく動かすと改善した方が良い部分も見た目に分かりやすくなると思います。ですから私見にはなりますが走動作のフェイズを歩行動作に落とし込んでも良いのではないかと思っています。ですから歩行動作でも明らかに改善すべきところが分かりやすい時はそもそも走ること自体難しくなっているかもしれません。逆に走動作の判断の難しいところは動きが速いので動作解析で一部を見にくいところです。

 

とにかく正しい歩行は敢えて言うならその人の関節の動く中心で動ける関節の数がどれだけ多いかではないでしょうか?関節もたくさんありますし、形もいろいろですのでどう動くべき関節であるかは形状に由来します。

 

以前からしつこくお話ししていた股関節は

こんな形をしていますが、形状的には球関節です。丸い受け皿に丸い骨頭がクルクル回る構造をしています。クルクル回るとは極端に言えば

こんな感じでとらえると、受け皿の中心でズレずに球体が回ることが関節に負荷をかけずに動けていることになります。ですが他の関節と共同して動く時、容易に中心からずれて動く可能性があります。意外と関節の中心で動くというのは難しいことが分かると思います。動きが小さければ多少ずれていても目立たなかったり、一部を極力動かさないで悪影響を最小限にできますが、本質的には中心で動いて、全体的な動きの中でバランスを取れて動いていることが一番無駄なく効率的に動いているのだと思います。

 

人によって球関節の回旋の大きさは異なると思います。それは骨格の特性によって異なっているのでしょうね。今回はここまでにしておきます。

 

 


運動連鎖と正しい骨格運動とは?

2023-06-28 13:27:04 | 骨格

運動連鎖と正しい骨格運動の関係についてお話ししたいと思います。

 

運動を起こすためには筋肉が必要です。骨格は筋肉によって動くと言っても良いと思います。筋肉には起始、停止と骨のどの部分に付着しているかを分かる必要があります。見出し画像で出したように例えば下肢ですが、大まかにポイントとなる筋肉を赤で示しています。

 

そうなるとこの筋肉の引っ張り合いのバランスが崩れる時どうなっているか考えてみます。逆に骨格がどう動くかを見てもらうのも良いと思います。

例えば②と③が緩んでいると膝は伸びすぎて後ろに落ち込んでしまうバランスになると思います。2次元ですので少し無理がありますが反張した(伸びすぎた)膝になり、伸びすぎて曲がる時にぶつかる膝が想像できると思います。④の筋肉も働きにくくなります。

 

それでは②が緩んで③が硬くて短くなった場合どうなるでしょう。膝関節で大腿が前面に押し出されます。伸びにくくなった膝になり、最終的には曲がる時もぶつかって曲がりにくくなってしまう膝が想像できると思います。

 

膝のズレ方は病態によって異なりますが、足関節のズレはどちらの病態も前が開いて動きの支点が後ろに移動してしまっています。これは①が拘縮、短縮してしまっているからです。ここの病態は似ていても(2次元では)、この上の病態が違うと膝の変形も変わってきます。実は先日お話ししたO脚、X脚もこれが関わっています。ですから足関節前側が開いて支点が後ろに行っていると言っても実際は横方向には違う方向にずれています。あくまで図は2次元の話ですが膝関節は比較的2次元に動くので説明が成り立ちやすいです。

 

人の骨格は複雑に絡み合って動きます。骨格が先か筋肉が先かの問題はありますが、図から動きが繋がって骨格が崩れることは理解できる部分もあるのではないでしょうか?

 

ですから正しい骨格運動が出来ている時、正しい運動連鎖をしていると言え、運動連鎖が繋がっていく時、正しい骨格運動をしているといえるのです。どうでしょうか?少し分かりやすくなったと思っていただけたら幸いです。

 


自分の背骨、久しぶりに撮ってみました

2023-06-18 00:54:43 | 骨格

写真は駅伝のスタートです。初めて1区走った時でしたが、競争があって楽しかったです。襷のつけ方すら知らない陸上初心者ですが襷を繋ぐってつながりの中で頑張っていると感じられて楽しいですね。

 

関係ないですがちょっと走りの変化を感じられるようになってきたので、久しぶりに全脊椎X線撮影してみました。

時系列ですが、左から1年前、半年前、最近です。半年前の時、ひょっとして悪くなってる?と思ってましたが、今回の変化に触れて途中経過だったと分かりました。変化していることは分かると思いますが、順番や、変化の意味することを理解するのは難しいと思います。

 

いつもそうなのですが実際撮影してみると変化は思っていた事と異なり、最近ずっと股関節の動きを攻めていたので骨盤、腰椎アライメントが変わってきている事に期待してましたからむしろそこは変わっていないので正直あれ?という感じでした。

 

因みに私の脊椎アライメントの特徴は骨盤過前傾、腰椎過前弯、胸椎過後弯と分かりやすく言えばS字カーブがきついのが特徴です。

 

今回骨盤、腰椎はあまり変わって見えませんが、胸椎後弯の頂点位置が上にずれてきているのがはっきりしてきました。肩甲骨と胸椎の位置関係が変わってきたとも言えますね。そういう意味で半年前も肩甲骨の位置は変わろうとしている過程と捉えています。いずれにしても感覚的に重心位置が高くなってきている結果の変化と言えるのではないかと思っています。その部位のアライメントが変わっていないと可動域が変わっていないように見えますが、動きの中では変わっている(特に走った時)ので静止画の見た目では分からないですね。でも重心が高くなると以前より脚が高いところ、極端に言えば背中から脚が生えているような感覚になる場合があります。そんなことは実際起きないので感覚を極端にお話ししていますが・・・。以前から気にしている骨盤が過前傾ということ、あくまで結果であってそこが変わるのは最後なのかもしれません。

 

感覚と実際起きていることってだいぶ違うところ。一番自分で自分が難しいです。

 

 


自分の骨格は大丈夫でしょうか?

2023-06-15 12:05:11 | 骨格

皆さん、自分の骨格は正しく動けているでしょうか?

 

これがなかなかできている人はいません。子供の頃からの癖と言うか、無意識のうちに一定方向の動きを好んでしまいます。そのためその癖が重なると骨格の崩れが強くなっていきます。その強さの度合いは人によって異なりますが、癖がない人がいないように骨格の崩れがない人はなかなかいません。

 

癖って人によりますが、長い経過でどんどん強くなります。例えばがに股の人はどんどんがに股に、内股の人はどんどん内股になっていきます。子供の頃のがに股より、大人のがに股の方がはっきりしていますよね。癖は年齢とともに積み重なってくるのです。そのような身体の使い方をしてしまう癖が年齢とともにどんどん骨格変化を助長していきます。少しずつ変化で他の骨格とバランスを取って変化するため相当量変化するまで痛みを感じることがないのです。

 

 

分かりやすい骨格変化の代表として外反母趾を挙げてみます。外反母趾とは上記のように足の親指が付け根から小趾方向に捻れて曲がってしまう病態を言います。実は私も少しあります。まだまだ走り方がダメなので😓。皆さん、外反母趾があっても痛くないからといってほっといてませんか?知らず知らずのうちに徐々に進行していないでしょうか?なかなか治すのも難しいですが、歩くのは毎日する訳ですから外反母趾になる動きをしているという事は、他の病態の原因にも繋がっていきます。

 

本来足の重心の圧センサーはおおよそ上記のようについていきます。このつき方がヒントになります。外反母趾の人のつき方には特徴があります。これが分かるとそういうつき方している所から正しいつき方をしていけるように逆算した動きを指導していけば良いという事です。

 

簡単に言いましたがそれが難しいのはあります。悪くなるのにそれなりの年月をかけて来たのですぐに戻る訳ではありませんし、要素はひとつだけではありませんので、他の骨格の崩れも考えて個々人にあわせて治していかないといけません。ですが少しずつでも良くなるなら頑張ってみるのが良いのではないでしょうか?

 

たかが外反母趾と思わずに少しでも興味を持っていただければ幸いです。