Blog ©ヒナ ─半径5メートルの毎日から見渡す世界

ラテンアメリカでの日々(1999〜)、さいたま市(2014〜北浦和:2021〜緑区)での日記を書いています。

電車内でOK Googleが起動するとキツい

2021年06月30日 | 日本で暮らすなかでの日記

ここでも紹介した、新しいスマホをあーだこーだとイジっていると。

「何のご用ですか?」と、Googleが聞いてきた。なんか変なところを押したらしい。

そのときは、わたしは吉祥寺へと向かっていたのだが、電車はまだ高田馬場。

車内なので、当分声を出して話しかけることはできん。

ということで、OK Googleさんは無視、ということで、「どうやったら消せるのだ?」とイジってたら、「こんなことも承りますが」と、例えばこんなこと頼んでみてくれ、の候補たるハッシュタグがいくつか現れる。

なかに「#面白いこと言って」なんてのがある。こんなこと頼んでいいのか?跳ねる画はみえてるんか?

「兄さん、それ無茶ブリ過ぎますやろ」というフットボールアワー後藤の擦れ声が頭のなかに響く。

 

でも、「それやったらやってもらおやないけぇ」、と、ポチッ。

てっきり、冷房がかかりすぎの車内を、さらに凍らせる駄洒落なんぞを言ってくるのかと思いきや。

おもむろに質問される──「ビールとかけまして恋人と解きます。ではその心は」

「?」

「・・・謎掛けやんけ」

 

わからん。

イラチきた。クソおもんないんとちゃうやろな、と思い、ちょっとどれだけのものを整えたのかお手並み拝見、と“その心は”を見る。

「どちらも“あわない”と寂しいでしょう」

・・・ほぉ。なかなかやるやんけ。「泡ない」と「会わない」、ね。

「クソッ」と思った時には、画面下に「#もう一つ」のタグが。「オモロかったやろう?!もういっちょいく?!」との上から目線。ここは認めよう。ちょっとやられた。

「好きな人とかけて嫌いな人ととく」「その心は」?

これ、上手い具合にそのあとがバナー広告で見えないようになっている。「考えてみろや」と言わんばかりだ。再び頭のなかでフットボールアワーが出てきて、岩尾が「カッチ、カッチ、カッチ、カッチ」と言いはじめる。あかん。わからん。

ムカつく。画面を下にスクロール。

「どちらもはなしたくありません」──やはり上手い。答えが「話したく」「離したく」のダブルミーニングだから、面白いと解るまでにコンマ何秒かが必要になる。

ちびっ子には親がドヤ顔で説明してるだろう。

 

ということで、オンラインで繋がっていた同僚に「おい、AI、すげーぞ」と呼びかけ、「プレゼン」をする。

PCは、わたしは頑なにMac派なので、今度はSiriにお願い。「何か面白いこと言って」

麒麟の川島のようないい声の男性が「はい。わかりました」。

で、デーブ・スペクターより冷却効果のあるアメリカンジョークを言ってくる。

わたしが寒いことになってしまった。あまりにも不条理な巻き込み事故だ。そもそもフリの時点での発注ミスだったか。今度は「Siri、何か謎掛け言って」、と限定発注にする。

 

「おじいさんとかけましてテクノロジーとかけます」、

「その心は」「テクテクノロノロジイ」です。

・・・Siri。養成所から入り直してこい。謎掛けに寒い駄洒落はいらない。

 

ということで、謎掛けといえばこの人。根津っちを考える。わたしは大好きだ。こういうのは時代で風化しない、まさに芸人の「芸」だと思う。同じく古典的な芸能であっても、「下ネタ」というアイデアだけでコンテンツはさほど深くない天津木村がイッパツ屋ほぼ確定になったのは、それのみの「出落ち」でしかなかったからだろう。しかも下ネタなので地方の営業も限られる。どうしてるんかなぁ。いまごろ。

さて、メディアに露出している時の根津っちより、このOK Google氏は、なかなかにダブルミーニングをブッ込むので「レベル高いやんけ」と思ってしまいそうだが、よく考えると当然だ。

根津っちの(あくまでもTVにおける)謎掛けは、掛けられて聴衆が考えて、「その心」を聞いて「なるほど!」と愉しむ──そういう構造ではない。あの「整う」速さ。何のお題でもやってのける即効性。これがTVでの根津っちの謎かけのクダリには求められているわけであって、「その心は」のダブルミーニングは、理解に間が生じるので逆に不適切だ。聴衆は「その心」を聞いた途端、「掛かっている」ことにすぐに気付かなければならない。根津っちがTVで、謎を掛けて、聴衆に考えさせる時間を与えることもない。すぐに「その心」を言わなければならない。

 

 案の定、以上を踏まえて、ネットをググったら、『東京新聞』が根津っち公認(のはず)で、「ねづっちの謎かけ道場」なるものを連載してる、読めば解る。根津っち本人はもちろん、そんなことは百も織り込み済みだ。ちゃんと時間さえ貰えれば、季節を織り込んだり、時事を織り込んだり、ふんだんに自在変化な謎を掛けてくるだろう。「謎かけ」の芸人の矜持が完全に看て取れる。深い。その「道場」での、素人の投稿はほぼほぼイッパツ退場だが。

 

 わたしも入門してみようか、と思案していると、さっきから電車が動いていないことに気付く。どうりで少し車内が蒸すわけだ。

 

 ・・・国分寺で特快通過待ちしてる。

 乗り過ごした。

 

 

 

 



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