ピンポン玉や硬貨、すごいのになると金魚を飲み込んで客のリクエストに応じて吐き出す芸人もいるそうだ。ま、金魚は一番先に出してやって欲しいものだ。また、硬貨を自由に出せれば財布が要らんなぁ(笑)。でもこれで払われたら受け取る方がたまらん。幸いなことにぼーずはやってみたことも無ければ、やりたいとも思わない。ぼーずの首は太いが喉の中は華奢なのだ。
うん十年前、レントゲン検査の結果、重度の胃潰瘍と診断された(らしい)。らしいというのは結果を聞いたのは上司だったからだ。今なら個人情報漏洩で訴えられかねないが、当時はおおらかなものだ。それに、肝心の本人がいないのに産業医が気付き、いつ出社すると聞いたところ『ぼーずは旅行中ですから1週間は戻りません』 慌てて上司に行き先を聞いてきたのだった。
当時、重度の胃潰瘍とは胃がんを意味することが多かった。早とちりした上司は旅行先へ電話を掛けまくり、執念でぼーずを叩き起こした。すぐに帰って来いと言われホイホイ帰るほど素直でないぼーずに上司はトドメを刺した『胃潰瘍がかなり進行している。こちらには設備も検査結果も揃っているのですぐに治療出きる。さっさと帰ってこい!!死んだらどうする。』ここまで言われて、旅行を続行するほどに神経は図太くなかった。
ぼーずが逆らうのにも訳があった。旅行とも言えない里帰りの途中だったが、実は新婚旅行を兼ねて、あちこちに寄り道しながら関西に里帰りするつもりだったのだ。その晩はカミさんの具合が悪くなり、飯の途中で退場。一人で2食分を平らげた後だったので・・・胃潰瘍!?・・・胃拡張の間違いじゃないのか・・等とぶつぶつ言いながらも、取って返す言い訳を考えていた。
『会社で緊急事態発生。対応する要員が足りないのですぐ帰ることになった』誰が聞いてもなんじゃそれという理由だったが、まだ純情だったカミさんあっさりと信じた。(この手はまた使えるなぁ・・)しかし、いざ眠ろうとすると『死んだらどうする』が重くのしかかって来た。やっぱガンかなぁ?今なら入籍してないし・・・横で寝息を立てているカミさんの顔を見ながらついそんなことを考えていた。
ここに続く
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