6月3日、今年で2回目の映画を観に行った。というよりこの作品を観ようと上映スケジュールを探していて『まだなんで、これ先に観るか』と行ったのが前回だ。見たかったのはドキュメント映画 “まちの本屋”というJR立花駅から少し離れた所にある小林書店を描いた作品。5月26日に友人がやった素人寄席を聞きに行った本屋さんである。↓ 写真は改装前というか・・・サンサン劇場の元になった大昔の塚口東映。こんな頃は筆者も知らん。
寄席に行くまでこの本屋を知らなかった訳ではない。映画化と小説化、どちらが先かは覚えていないが、新聞で取り上げられ興味を持っていた本屋だった。寄席に行ってようやく記事と小林書店がつながったという所か。映画はドキュメンタリーに良くある過剰な演出が感じられず、小林書店の経営者ご夫婦の姿を淡々と描いており、好感のもてる作品だった。
調子に乗り、単行本迄買い求めてしまった。本についてはドキュメントではなく小説になっているが、いわゆるライトノベルとでも言うのか肩の凝らない作品になっている。出版取次会社に新卒で入社した大森理香という女性を狂言回しにして小林書店とのやり取りを語ると言ったところか。
正直に言わせてもらうと、書店から学んだものを大きく見せる必要があるので、この新卒女性を余りにも未完な人間にしてしまっているのが気になった。今時の女子社員はもっとしっかりしてる。まぁ筆者の勤めていた会社で実習後に『本社以外の辞令が出たが、私は青山に通いたかったの!』と言って会社を辞めた有名なバカ女(こう呼んだのは人事担当)もいたから、絶対存在しないとは言えんけどね(笑)。
本の中ではエピソードという名を付けた部分がノンフィクションと判るように成っていて、そのいくつかは映画と重なる。書店に行った時、本棚に傘が置かれているのを不思議に思ったが、ある傘メーカーの製品に書店の奥さんが惚れ込み、『小売りはしない』と渋るメーカーから大量の傘を仕入れ、そのほとんどを売り切ってからもずっと置いているという話が面白かった。
書店継続の為、会社を辞めた旦那さんも勿論えらいのだが、この物語での白眉はまさにこの奥さんだと思う。良い意味で、大阪の肝っ玉オカン。知れば知るほど、通いたくなるお店だったな。今年の5月でお店を閉めたのが残念だ。研究所時代にここ立花出身の気の合った上司がいたが、この書店知ってたかな?同級生の中島らもクンと通ってたりして(笑)。