
12月4日、U2による1998年3月のポップマート・ツアー以来8年ぶりとなる来日公演を観に、さいたまスーパーアリーナに行ってきました。当初4月4日に横浜日産スタジアムで予定されていたものの、メンバーのひとり(エッジ)の家族(娘さん)の病気(白血病)の為、日本公演を含むワールド・ツアーの残り全公演が延期となっておりまして、この度決まった延期公演は、なんと会場がさいたまスーパーアリーナに変更となり且つ日程も1日限りから3日間に変更となり、今回のVERTIGOツアーでは、全米を除いて海外では初となるアリーナ・ヴァージョンのステージ・セットを観れるという、とても貴重な公演となりました。しかも、私は、アリーナの最前ブロックとなるAブロックのチケットを入手できましたので、今年の締めのライヴとして、物凄い期待を胸に会場へと向かいました。
実は、私は、U2のポップマート・ツアーを、1998年3月11日の大阪ドーム公演だけでなく、1997年8月23日のLondon、Wembley Stadium公演も観ておりまして、その時、オール・スタンディングのWembley Stadiumのアリーナで、物凄い押し合い圧し合いのモッシュ(mosh)を経験したことがあります。ただ、日本ではクラブ・ギグ以外では、フェスくらいでしか、アリーナ級やスタジアム級の会場がオール・スタンディングになることはまずありえないだけに、今回の、アリーナ席は設けない、オールスタンディングの形式の採用は、嬉しかったですが、反面、押し合い圧し合いのモッシュとなるのでは、という不安も抱きました。しかしながら、正直言って、イギリスと違って日本だから、1997年8月23日のLondon、Wembley Stadium公演の時に経験したようなモッシュになることは、さすがにないだろうと高を括っていたのも事実です。
実際、客電が落ちるまでは、整然と待っていた訳ですが、客電が落ちた瞬間から、私の居たアリーナの最前ブロックとなるAブロックの前方は、物凄い押し合い圧し合いのモッシュとなり、右へ左へ、前へ後ろへと為す術も無く押し流され、将棋倒しとならないよう、持ちこたえるだけで精一杯というカオス状況となりました。特に、最初の3曲位の間は、自身が持ちこたえることに注意を払いながらの観賞という緊迫した状況が続いただけに、なかなかライヴだけに専念することができませんでした。
それにしても熱い(暑い)ライブでした。U2のメンバー4人の表情が、はっきりと肉眼で確認できるくらいの至近で観れたということもありますが、日本のU2のファンも、実はこんなに熱かったんだ、ということを実感したライブでもありました。実際、U2のメンバーも場内の物凄い盛り上がりを見ながら、とても嬉しそうな表情をずっと浮かべていたのも印象的でした。そんな中でも、ポップマート・ツアーで初めて生で聴いて以来、CDで聞いてもテレビやビデオで演奏を聴いても、いつもイントロからしてゾクゾクしてくる、正にこれこそがロック・アンセム(rock anthem)と呼ぶに相応しい名曲「Where the Streets have no Name 」は、今回も格別でした。何か降臨してくるものを感じるこの曲は、いつ聴いても鳥肌モノですし、私にとって、ライブで一番のロック・アンセム足る名曲を1曲だけ選べ、と尋ねられたら、迷わず挙げるのがこの曲です。実際、この曲は、CDでもビデオでもDVDでも神聖なものを感じますが、ライブで生で聴くと、それ以上に格別で、何か神聖なものが宿っているとしか感じずにいられないものがあります。また、U2がBrian Enoと共にPassengers名義で1995年に発表したシングル「Miss Sarajevo」では、日本でも世界人権宣言の条文を(日本では和文でしたが)流しながら歌われ、スピーチも(こちらは英文のままで)流されたのですが、Bonoは途中オペラ調の素晴らしい歌唱力も披露し、こちらも感動的でした。また、本編最後の「One」演奏前には、会場のオーディエンスに携帯電話を掲げさせて、光のクリスマス・ツリーを作る、という素敵な演出もあり、実際に出来た携帯電話のイルミネーションによる何とも美しい光景に、これまた感動しましたし、そのまま演奏が始まった名曲「One」を聴きながら、まさに歌詞の中にある(今年Britain's most adored lyricにも選出された)フレーズ「One life with each other: sisters, brothers.」を体現しているようで、本当に心を打ちました。
そして、興奮も冷め切らないうちに、1st Encoreが始まったのですが、ここでは「Mysterious Ways」演奏中に舞妓さん3人が登場するという演出があり、これまた大盛り上がりとなりましたし、その後の1st Encore最後に演奏された名曲「With or Without You」では、淡々と歌う静かな導入部から徐々に高揚していく感じがまた素晴らしく、後半のコーラスは場内大合唱となり、まさに感極まる一瞬でした。
それでも、まだ終わることはなく、続く2nd Encoreでは、最新作『ザ・ベスト・オブ・U2 18シングルズ』に収録されている新曲2曲を立て続けに演奏した後、締めは何と予想外の二度目の「Vertigo」!「イチ、ニ、サン、catorce!」で、場内は再び興奮の坩堝と化したのは言うまでもありません。
とにかく、今回のU2の来日公演は、正直言って、1997年8月23日のLondon、Wembley Stadium公演と比べても全く甲乙つけ難いくらい、演奏もオーディエンスの盛り上がりもとても素晴らしかったですし、過去の自身が見てきた数々のライヴの中でも上位を占めるのは確実なくらい素晴らしかったです。実際、(各国で恒例だったとのことですが)ボノが花道の先端のステージに日本の国旗を持って登場したオープニングから、眩いばかりのLEDスクリーンによる光の中で繰り広げられたライヴは、まさに驚愕でしたし、反戦、人権、貧困国支援、エイズ撲滅といったU2のメッセージもしっかり伝わってくる演出となっていました。ただ、1点だけ残念というか気になったのが、人権を推進・擁護しているにも関わらず、日本公演で日本人拉致問題について一言も触れることがなかったことでした。(実は、この件にはそれなりの背景が色々あるようですが、ここではこれ以上の発言は控えます。しかし、関心のある方は、ウィキペディアの「アムネスティ・インターナショナル」の項目を参考までにお読みになってみて下さい。)とはいえ、今回は、全米を除いては海外で初となるアリーナ・ヴァージョンのステージ・セットをここ日本で観れたというだけでも、とても貴重な公演だったと言えるかと思いますし、U2のバンドのコンディションやオーディエンスの雰囲気、選曲等々、全体的なバランスも完璧なほど素晴らしく、まさに文句なしのステージだったと思います。ということで、今年観たライヴの中では文句なしのNo.1だったと断言します。
最後に、この最終日のセットリストですが、公式サイトによると、下記の通りとのことです:
City of Blinding Lights
Vertigo
Elevation
Out of Control
I Still Haven’t Found What I'm Looking For
Beautiful Day
Angel of Harlem
The First Time
Sometimes You Can't Make It On Your Own
Bad
Sunday Bloody Sunday
Bullet The Blue Sky
Miss Sarajevo
Pride (in the Name of Love)
Where the Streets have no Name
One
(1st Encore)
The Fly
Mysterious Ways
With or Without You
(2nd Encore)
The Saints are Coming
Window in the Skies
Vertigo
※ この最終日はEric Claptonも観に来ていたようで、Backstageの模様が公式サイトのこちらで写真が見れます。
※ Reutersによる初日公演に関するこちらの記事の中で、初日公演の模様が映像で2分52秒見れます。
実は、私は、U2のポップマート・ツアーを、1998年3月11日の大阪ドーム公演だけでなく、1997年8月23日のLondon、Wembley Stadium公演も観ておりまして、その時、オール・スタンディングのWembley Stadiumのアリーナで、物凄い押し合い圧し合いのモッシュ(mosh)を経験したことがあります。ただ、日本ではクラブ・ギグ以外では、フェスくらいでしか、アリーナ級やスタジアム級の会場がオール・スタンディングになることはまずありえないだけに、今回の、アリーナ席は設けない、オールスタンディングの形式の採用は、嬉しかったですが、反面、押し合い圧し合いのモッシュとなるのでは、という不安も抱きました。しかしながら、正直言って、イギリスと違って日本だから、1997年8月23日のLondon、Wembley Stadium公演の時に経験したようなモッシュになることは、さすがにないだろうと高を括っていたのも事実です。
実際、客電が落ちるまでは、整然と待っていた訳ですが、客電が落ちた瞬間から、私の居たアリーナの最前ブロックとなるAブロックの前方は、物凄い押し合い圧し合いのモッシュとなり、右へ左へ、前へ後ろへと為す術も無く押し流され、将棋倒しとならないよう、持ちこたえるだけで精一杯というカオス状況となりました。特に、最初の3曲位の間は、自身が持ちこたえることに注意を払いながらの観賞という緊迫した状況が続いただけに、なかなかライヴだけに専念することができませんでした。
それにしても熱い(暑い)ライブでした。U2のメンバー4人の表情が、はっきりと肉眼で確認できるくらいの至近で観れたということもありますが、日本のU2のファンも、実はこんなに熱かったんだ、ということを実感したライブでもありました。実際、U2のメンバーも場内の物凄い盛り上がりを見ながら、とても嬉しそうな表情をずっと浮かべていたのも印象的でした。そんな中でも、ポップマート・ツアーで初めて生で聴いて以来、CDで聞いてもテレビやビデオで演奏を聴いても、いつもイントロからしてゾクゾクしてくる、正にこれこそがロック・アンセム(rock anthem)と呼ぶに相応しい名曲「Where the Streets have no Name 」は、今回も格別でした。何か降臨してくるものを感じるこの曲は、いつ聴いても鳥肌モノですし、私にとって、ライブで一番のロック・アンセム足る名曲を1曲だけ選べ、と尋ねられたら、迷わず挙げるのがこの曲です。実際、この曲は、CDでもビデオでもDVDでも神聖なものを感じますが、ライブで生で聴くと、それ以上に格別で、何か神聖なものが宿っているとしか感じずにいられないものがあります。また、U2がBrian Enoと共にPassengers名義で1995年に発表したシングル「Miss Sarajevo」では、日本でも世界人権宣言の条文を(日本では和文でしたが)流しながら歌われ、スピーチも(こちらは英文のままで)流されたのですが、Bonoは途中オペラ調の素晴らしい歌唱力も披露し、こちらも感動的でした。また、本編最後の「One」演奏前には、会場のオーディエンスに携帯電話を掲げさせて、光のクリスマス・ツリーを作る、という素敵な演出もあり、実際に出来た携帯電話のイルミネーションによる何とも美しい光景に、これまた感動しましたし、そのまま演奏が始まった名曲「One」を聴きながら、まさに歌詞の中にある(今年Britain's most adored lyricにも選出された)フレーズ「One life with each other: sisters, brothers.」を体現しているようで、本当に心を打ちました。
そして、興奮も冷め切らないうちに、1st Encoreが始まったのですが、ここでは「Mysterious Ways」演奏中に舞妓さん3人が登場するという演出があり、これまた大盛り上がりとなりましたし、その後の1st Encore最後に演奏された名曲「With or Without You」では、淡々と歌う静かな導入部から徐々に高揚していく感じがまた素晴らしく、後半のコーラスは場内大合唱となり、まさに感極まる一瞬でした。
それでも、まだ終わることはなく、続く2nd Encoreでは、最新作『ザ・ベスト・オブ・U2 18シングルズ』に収録されている新曲2曲を立て続けに演奏した後、締めは何と予想外の二度目の「Vertigo」!「イチ、ニ、サン、catorce!」で、場内は再び興奮の坩堝と化したのは言うまでもありません。
とにかく、今回のU2の来日公演は、正直言って、1997年8月23日のLondon、Wembley Stadium公演と比べても全く甲乙つけ難いくらい、演奏もオーディエンスの盛り上がりもとても素晴らしかったですし、過去の自身が見てきた数々のライヴの中でも上位を占めるのは確実なくらい素晴らしかったです。実際、(各国で恒例だったとのことですが)ボノが花道の先端のステージに日本の国旗を持って登場したオープニングから、眩いばかりのLEDスクリーンによる光の中で繰り広げられたライヴは、まさに驚愕でしたし、反戦、人権、貧困国支援、エイズ撲滅といったU2のメッセージもしっかり伝わってくる演出となっていました。ただ、1点だけ残念というか気になったのが、人権を推進・擁護しているにも関わらず、日本公演で日本人拉致問題について一言も触れることがなかったことでした。(実は、この件にはそれなりの背景が色々あるようですが、ここではこれ以上の発言は控えます。しかし、関心のある方は、ウィキペディアの「アムネスティ・インターナショナル」の項目を参考までにお読みになってみて下さい。)とはいえ、今回は、全米を除いては海外で初となるアリーナ・ヴァージョンのステージ・セットをここ日本で観れたというだけでも、とても貴重な公演だったと言えるかと思いますし、U2のバンドのコンディションやオーディエンスの雰囲気、選曲等々、全体的なバランスも完璧なほど素晴らしく、まさに文句なしのステージだったと思います。ということで、今年観たライヴの中では文句なしのNo.1だったと断言します。
最後に、この最終日のセットリストですが、公式サイトによると、下記の通りとのことです:
City of Blinding Lights
Vertigo
Elevation
Out of Control
I Still Haven’t Found What I'm Looking For
Beautiful Day
Angel of Harlem
The First Time
Sometimes You Can't Make It On Your Own
Bad
Sunday Bloody Sunday
Bullet The Blue Sky
Miss Sarajevo
Pride (in the Name of Love)
Where the Streets have no Name
One
(1st Encore)
The Fly
Mysterious Ways
With or Without You
(2nd Encore)
The Saints are Coming
Window in the Skies
Vertigo
※ この最終日はEric Claptonも観に来ていたようで、Backstageの模様が公式サイトのこちらで写真が見れます。
※ Reutersによる初日公演に関するこちらの記事の中で、初日公演の模様が映像で2分52秒見れます。
僕も最終日、アリーナAブロックで、開始直前の押し合いで、酸欠になりそうでした。
でも、ライブ最高でしたね。
U2は、12年振りでした。
その時は東京ドームで2日連続行きました。
その前は、横浜アリーナでBBキングとの共演。
それも素晴らしかったです。
ポップマート・ツアーは、行けなくて、その分今回楽しみました。
是非、又来日して欲しいです。
U2のライブ、素晴らしかったですね。
記事を読んであの興奮が蘇ってきました。
あんな素晴らしいライブは人生初めてでした。
早速のコメント&TBありがとうございました。それにしても、開始直前の押し合いは想像以上で、凄かったですね。正直、このまま2時間続いたらどうなるのだろう、という不安も心を過ぎりましたし。でも、今ではそれも最高の思い出となっています。
>さるみみさん、
早速のコメントありがとうございました。ほんとに、あれほど素晴らしいU2のライヴを、ここ日本でも体験できるとは、正直、思ってもいませんでした。実際、今でもあちこちでブログとか読むと、それだけであの夜の興奮が甦ってきますしね。本当に、観に行けて幸運でした。
http://www.cafeglobe.com/cafe/eco/ec061221.html