ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◇『不思議屋 風待ち』  西村友里 作  文研出版



イギリスに、何百年も続く侯爵家の一人娘の名前がエリーゼというのはない。
エリーゼはドイツゲルマン系の名前だ。
意味は、「神の約束」「神は誓った」という。

ここは、何百年も前のイギリス(そして、スコットランドでもウエールズでもアイルランドでもないだろう)なら、やはり、エリーゼの英語名になるエリザベスでしょう。

物語の細部が、やはりちゃんと描かれていないと、作品の魅力がやや損なわれる。

先祖代々か秘密裏に伝わる、絵の世界に入ってけいるという不思議なパワーを持った少女の設定は、ファンタジーの設定としては、面白い。

ただ、細部に拘って欲しかったという一点が残念。

例えば、ピーター・ラビットの名前も
ドイツでは、ペーター
オランダでは、ピーテル
フランスでは、ピェール
ロシアでは、ピョートル
この違いって、私は大事なことだと思う。


因みに、あさのあつこは、江戸時代の灯り、行灯を手作りし、畳の上に、夜も更けてから灯心に火を灯してみたという。
鉛筆、萬年筆、ボールペン、硯の墨、それぞれの文字を、その灯りの下で見た時、硯の墨の文字だけが、その灯心の灯りを反射して読めたという。
江戸時代の夜半、行灯で、文字が読めるかどうか、確認したのである。
それが、作家というものだろうと、私は思っている。

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