2017.8月
退院後の自宅療養は、自身の体力との勝負だった。
筋力の超低下に加え、ちょっとした動作でも疲労感が半端ではないのだ。
気晴らし、運動を兼ねて外出はするものの途中で疲労感が襲ってきて、
へたりこみたい衝動に駆られる。
座り込んでは歩き、また座りと休み休みである。
ウインドウショッピングでもと思うが、たどり居つくころにはもう体力は
残っていなかった。
それでも休み休み歩く。
帰宅するころにはなだれ込む様にソファーへ崩れる。
最初の頃の食欲は久しぶりに対面する食べ物たちに遠慮はなかったが、
慣れてくるとやはり体が反応するのか、便の出ぐあいがおかしくなって
きた。
退院時に処方されていた下剤、ピコスルファートナトリウムの出番が
やって来た。
お腹に溜めこむと、腸内菌がまだ免疫不充分な体を攻撃してくるのだ。
極力溜め込みを防ぐため数滴を服用する。
そんな事の繰り返しだった。
その時の自分の仕事と言えば、時給 ” 0円 ” でいかに普通の生活を
早く取り戻すこと以外なかったのである。