優しい母の味

絶えて久しく忘れていた母の味を
最近思い出し、作る様になった。

ドウって事無い豆腐を使った単純な料理なのだが
余り体調の良くない時など持って来いなのだ。

ある日、冷蔵庫の中に豆腐の買い置きがあった。
さあ、どうしようかなと…

あ、そうだ、

アレ、作ってみようかなとフト思い立ったのだ。

私が子供の頃母が良く作ってくれたっけ。

ふわふわとして、ほんのり甘い。

「炒り豆腐」

豪華なおかずなど用意出来るような
裕福な家庭ではなかったけれど
母の心づくしの慎ましやかな夕餉。

肉が嫌いだった私に
何とか、代わりになる様なものを食べさせたくて
母が考えてくれたのだ。

そんな母の気持ちを知ってか知らずか
幼い私は、喜んで食べた。

作り方など知りはしないが、
あてずっぽうで作ってみた。

１回目より２回目、
作る度に、不思議な事に
昔母が作ってくれた味に近づいていく。

母に食べさせたら、
「美味しい。mamaちゃんも、こんな物を作る様になったんだねぇ」と
感慨深げに独りごちた。

そうだよ。お母さん、
貴女の味は代々引き継がれていくんだよ。
特別に教え無くたってね…

毎回同じ味には出来ないけれど、
今でも、ソレは私の好物に違いない。


私の炒り豆腐の作り方。
①豆腐の水気をとる。
②鍋に少量の油をしく。
③豆腐をぶち込む。（日本酒も少々加えると良い）
④木ベラで丁寧に混ぜながら、豆腐を炒る。
⑤丁寧に水分を飛ばすように炒る事。
⑥とき玉子と出汁の元を少量加える
⑦砂糖、醤油で味を整える


ふんわり