「日本の敵」速報(海外の反応特化)+新型コロナウイルス関連海外の反応等

「日本の敵」&「新型コロナウイルス」に関する情報をまとめていきます

【#朝鮮日報】【寄稿】中国の餌食となった韓国のバランス外交

2020-10-03 04:04:41 | 新聞記事
米中間の経済・軍事衝突が激化、冷戦2.0時代に突入
「バランス外交・中堅国外交」の主張は中国側の肩を持つのと同じ
米による対中デカップリング措置は国内産業にとって新たなチャンスとなる

 2020年は「冷戦2.0」時代に突入した年として記憶されるだろう。中国は、中華民族の偉大な中興を夢見る大国崛起(くっき)をあからさまに見せ付けている。ユーラシアを支配する者が世界を支配するというマッキンダーの理論と、海洋を支配した者が世界を支配するというマハンの理論を同時に借用した「一帯一路戦略」で覇権への挑戦を夢見ている。中国は、経済・技術・軍事・外交の全ての面でアグレッシブだ。中国のアジア支配をこれ以上座視できないと考える米国は、強力な対応を講じ始めた。貿易による報復の次元を超え、中国の繁栄をもたらした世界的なサプライチェーンから中国を「デカップリング(排除)」しようとしている。特に、半導体供給の遮断からも分かるように、中国経済に絶対的に必要な部品の供給を遮断し、技術への挑戦を芽の状態から刈り取ってしまおうというわけだ。また、軍事的な圧力も強めている。中国が領海として主張している南シナ海で米軍艦隊は航行の自由作戦を強化し、軍事基地化しているサンゴ礁に接近する。台湾の近くで中国が大々的な海軍軍事演習を敢行し、米国のイージス艦は台湾海峡を通過する。

 中国は対艦弾道ミサイルの発射で応酬する。一触即発の偶発的な軍事衝突が懸念される。もし軍事衝突が発生すれば、韓半島は日露戦争、朝鮮戦争に続き、大陸と海洋勢力の間における激戦場と化してしまわないだろうか。米中冷戦は朝鮮戦争以来、最も大きな試練となるだろう。このような状況であるにもかかわらず、韓国政府は対岸の火事のように北朝鮮にだけ「全てを投入」している。韓国政府と自主派の人々の考えを整理すると、韓米同盟は冷戦同盟であり、これを解消して南北平和体制を構築し、多国間安保で地域の安全と平和を維持しなければならないというのだ。言葉こそ多国間安保だが、その本質は韓米同盟に代わって中国主導型の秩序を受け入れようということにほかならない。

 もちろん同盟派も存在する。国民の多くは、南北関係の脈略から韓米同盟が重要だと考える。しかし、米中対決において純粋な同盟派は少数だ。安保は米国、経済は中国に依存する構造で、ある程度米中間のバランス外交が必要だという立場が多数を占めている。過去の保守政権も一定部分で米中間のバランスを取ろうとしてきた。さらには、どちらでもない国家との連帯を強化しようという中堅国外交を提起する専門家もいて、米中間で事案別に韓国の国益を反映して立場を決めようといった考えがソロモンの知恵であるかのように提起されている。

 バランス外交や中堅国外交は、果たして可能なのだろうか。韓国が脅威に直面した際に、連帯した中堅国は韓国を助けてくれるだろうか。米中間に立たされて、韓国と連帯する中堅国が果たしてあるだろうか。すぐにでも中国の強力で激しい覇権的挑戦に直面するほか、韓国よりはるかに国力の強い日本やインドもバランス外交を掲げておらず、米国との戦略連帯を強化している。米ソ冷戦の経験から見るなら、事案別に韓国の立場を決めるのも容易でない。バランス外交を横目で見つめつつ、中国はすでに韓国を米国の対中包囲網を破る最も弱いリンクと考え、今も攻略中だ。

 中国がアジアを支配することは、韓国にとって本当にいいことなのか。韓国の歴史は、大国に囲まれている最悪の地政学的環境がどれほど危険であるかを物語っている。中国、日本、ロシアは共に朝鮮半島を支配しようとする野心をちらつかせていた。20世紀には、ロシアの野心により日露戦争と朝鮮戦争が勃発した。周辺の強国が地域の覇権を追求するとき、韓国にはどのようなことが起こったのかを忘れてはならない。ところが過去70年近く韓国は歴史上初めて日中露を忘れて発展し、産業化と民主化を成し遂げ、檀君(タングン、韓国の始祖)以来、最高の繁栄を謳歌(おうか)している。それは、韓米同盟と米国主導の国際秩序がもたらした地域の安定的バランスのおかげだ。大韓民国の国益は、地域のバランスを維持するところにある。米国の国益も伝統的にアジアでの地域覇権を阻止するところにある。日本とロシアを阻止し、今では中国を阻止しようと考えている。

 日本やインド、オーストラリアなど地域主要国の大半は、中国に対する経済依存率が非常に高いが、中国のアジア支配を座視せず、米国との戦略的連帯を強化している。結局、韓米同盟を堅固にし、地域覇権の登場を阻止する国家との連帯を強化することが、韓国の死活的利益となる。

 米中冷戦でどのような姿勢を取るかによって、韓国の戦略的立場は上昇することもあり得る。主力産業では中国に追い越された。ところが、米国による対中デカップリング(切り離し)措置で中国製品に対する国際的なバッシング現象が生じ、LG化学が中国を抜いて自動車バッテリー分野で世界1位に浮上した。サムスン電子は困難だったスマートフォンで首位を守り、ファーウェイに押されていた5G(第5世代移動通信システム)分野で大規模な受注を続けている。未来の世界経済を左右するデジタルプラットフォーム競争で優位に立てる千載一遇のチャンスを韓国は得ているのだ。このチャンスを生かせば、韓国大統領が二度と中国で一人ごはんをするようなことはなくなるだろう。

尹徳敏(ユン・ドクミン)韓国外国語大学碩座(せきざ)教授・元国立外交院院長

【#朝鮮日報】【コラム】米中半導体戦争、居眠りすれば我々が死ぬ

2020-10-03 03:58:25 | 新聞記事
半導体をめぐる米・中・日の神経戦、韓国にあるのは量産技術・工場のみ
グローバル供給網が崩壊すれば無対策での「1位確保」はない…慢心は禁物

 1980年代の金曜日夕方、日本のある半導体工場。近くにマイクロバスが待機している。退勤する日本人技術者たちを乗せるためだ。バスはそのまま近隣の国際空港に向かう。飛行機はソウル・金浦空港に着陸する。技術者たちは韓国企業に半導体のノウハウを伝授すると、日曜の夜には再び日本に戻る。伝説のように語り継がれている韓国の半導体発展史の一場面だ。

 ところで、似たような場面が最近、中国と韓国の間で見られる。中国の半導体企業やディスプレー企業が韓国の人材を引き抜いているのだ。その上、公開求人サイトであからさまに高額年俸を提示し、堂々と技術者を連れていこうとしている。

 韓国の半導体創生期にはほとんど見られず、現在の中国に見られる点もある。国の介入だ。中国政府は数十兆-数百兆ウォン(数兆-数十兆円)の資金を半導体に投入している。最近、中国の各メディアは、ファーウェイ(華為技術)の任正非会長が9月17日に中国科学院を訪れ「国家チーム」が結成されたと報じた。中国科学院は半導体、ソフトウエア、通信、ロボットなどを研究する国の研究開発(R&D)機関だ。きっかけとなったのは、9月15日から始まった米国のファーウェイ制裁だ。

 ファーウェイはスマートフォンや通信設備などでサムスン電子に匹敵する、時にはサムスンの先を行く唯一の中国企業だ。米国は、自国の技術を用いた半導体のファーウェイへの納品を禁止した。これは、「米国の設備に日本の素材を入れ、韓国の工場が生産した半導体を中国が使う」というグローバル供給網が崩壊する可能性があることを意味する。

 米国は半導体製造装置に関する限り、世界で他国を圧倒している。製造装置の製造・運営に必要な技術ももちろん保有している。

 中国は14億人の人口をベースにした巨大な市場を抱えている。1年間に世界で生産される半導体の60%が中国で消費される。大抵の市場では、現地に住む側が「甲」で、売る側が「乙」だ。中国は何としてでも米国に反撃するはずだ。

 日本には素材がある。昨年1年間、韓国を苦しめた半導体の3大素材を見れば分かる。はた目には非常に基礎的な化学物質のようだが、超高純度のフッ化水素などは日本以外で製造している国はない。

 韓国には量産技術がある。製造装置と素材を購入し、ライバル企業より大幅に安い価格で、かつ圧倒的に低い不良率で半導体を供給する。世界の半導体メモリの75%を韓国の工場が供給している。

 最終製品を製造している韓国にはアキレス腱がある。毎年、数十兆ウォンを投じなければならない。投資の時期が市場の需要とずれれば天文学的な赤字が出る。すでに財閥数社が半導体で失敗した。

 短期的には、ファーウェイに対するトランプ政権の圧力はサムスン電子など韓国企業に有利に働くはずだ。サムスン電子は、スマートフォン市場で同社をぴたりと追撃していたファーウェイを締め出すチャンスをつかみ、相対的に競争力の低かった通信設備を米国1位の通信事業者に輸出することに成功した。

 しかし、サムスン電子は最近、喜ぶどころかにわかに緊張しているという。なぜだろうか。毒気を含んだ中国の執ような反撃を恐れているのだ。ファーウェイのスマートフォンが失速しても、シャオミ、OPPOなどがその空白を埋める可能性が高い。中国は、韓国が2-3年は先行している半導体メモリでも、歯を食いしばって追撃に出るだろう。中国政府はその気になればサムスン電子、SKハイニックスの中国工場の中心的な労働者を引き抜くこともできる。成長の可能性がある中国の半導体企業を数社選び、R&D投資を10倍、20倍に増やす可能性もある。中国の半導体メモリが韓国製品のレベルに肉薄すれば、過去20年間にわたって平和だったグローバル供給網の再編が韓国企業に巨大な危機となって襲い掛かる可能性がある。一寸先は闇の時代だ。居眠りすれば死んでしまう。

チョン・ソンジン産業第2部長

【#朝鮮日報】【コラム】韓国軍は下水処理場なのか

2020-10-03 03:54:28 | 新聞記事
 北朝鮮が9月25日の通知文の中で明かした海洋水産部(省に相当。以下同じ)公務員Aさん射殺・焼却事件の全貌には、多くの人が首をかしげた。北朝鮮の一方的な事件説明は、韓国軍が情報収集を通して明らかにした事実とあまりにも異なり、疑惑だらけだった。北朝鮮側の船がAさんと80メートル離れた場所から言葉をやりとりしただとか、非武装状態のAさんが逃走して50メートルの距離で銃を撃ったとかいう話は詭弁(きべん)に近い。むしろ「北朝鮮側は防毒マスク・防護服を着込んでAさんに接近し、射殺した後、遺体に油をかけて焼いた」という韓国軍の情報報告の方がはるかに説得力がある。

 ところが北朝鮮側がこれを全面否定すると、韓国軍はべたりとひれ伏した。韓国軍の高官は、北朝鮮の主張と韓国軍の情報が違うという指摘に「われわれの情報を客観的に見直してみる予定」と語った。「第三者の立場からあらためて関連資料を見たい」とも語った。自ら集めた情報を見直したいと、自己否定をしたのだ。韓国軍内部からは「北朝鮮の一方的な主張に韓国軍の情報をまたこじつけるという事件が起こるかもしれない」という自嘲混じりの声が上がった。

 青瓦台(韓国大統領府)や韓国政府側は、9月27日に北朝鮮が通知文を送ってきた直後から、公々然と韓国軍に責任を押し付けた。韓国政府の高官は「軍が不十分な状況判断で上部にきちんと報告しなかった」とし「北朝鮮の通知書の内容を見ると韓国軍の情報の内容は不正確」と発言した。

 国防部の高官は9月28日「北朝鮮がAさんを救助するだろうと思った」と語った。韓国軍の初期判断の誤りがあったと告白したわけだ。その間、青瓦台や統一部、国家情報院(韓国の情報機関)などは全て後ろに引っ込んでいた。青瓦台は軍から射殺・焼却の報告を受けながら、責任はないかのように知らぬふりをした。北朝鮮との連絡責任がある国家情報院は、国民的指弾が浴びせられている間は終始隠れていて、北朝鮮の通知文が到着すると真っ先に乗り出して自分の手柄にした。韓国国民を守るために北朝鮮とコミュニケーションを取るべき統一部も、南北間の連絡ラインがないとして手を引いた。韓国軍だけが全ての責任を押し付けられている格好だ。

 現政権になって、重大な懸案が発生するたび、韓国軍に全ての責任がなすり付けられるということがしばしば起きている。秋美愛(チュ・ミエ)法相の息子の「皇帝休暇」疑惑が持ち上がると、与党側からは「軍で行政処理を誤った」という声が上がった。請託した人間に誤りはなく、これを抜け目なく処理できなかった一部の軍幹部が誤っていた-というのだ。検察が本格的に乗り出す前から、既に「軍で責任を負うということで結論が出た」という話まで出回っていた。結局、検察は9月28日、実際に請託した補佐官と秋法相の息子については嫌疑なし処分を下し、軍幹部のみ軍検察に送致した。

 韓国政府は、コロナ対策などのため補正予算を編成するたび国防費を数千億ウォン(1000億ウォン=約90億円)単位で削減した。韓国軍内部からは「われわれはかもか」という不満が噴出した。だが韓国軍首脳部は一言の抗弁もできなかった。結局韓国軍が、現政権の下水処理場になったという皮肉を自ら招いたのだ。

梁昇植(ヤン・スンシク)記者

【#朝鮮日報】【萬物相】失踪戦略

2020-10-03 03:50:41 | 新聞記事
 韓国与党・共に民主党は「この全てが李明博(イ・ミョンバク)のせい」という言葉を口癖のように使う人間たちだ。その彼らが政権を取ったのだから、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は確実に自分の責任を取るだろう」と考えていた国民は少なくなかったはずだ。

 ところがどういうわけか、この政権では「大統領が見えない」とよく言われる。責任の所在が明確な問題でも、大統領は沈黙するか、最初から姿を見せないのだ。青瓦台(韓国大統領府)秘書室が警察まで動員し、一糸不乱に「大統領の30年にわたる知己」を蔚山市長に当選させるため、選挙工作を行っていた事実が明らかになった。この深刻な事件によって大統領の側近たちが次々と起訴された。これを大統領が知らないはずがない。ところが大統領は今に至るまでこの問題について一言もコメントしていない。一言もないということは、逆に言えばこれが文大統領にとって最も深刻な問題であると推測するしかない。

 文大統領を「兄」として慕うという柳在洙(ユ・ジェス)元釜山市経済副市長が数千万ウォン(数百万円)の賄賂を受け取っていたが、青瓦台特別観察チームの調査をすり抜け、逆に栄転までした。予想通り政権の実力者たちによる救命ロビー活動が明らかになった。ところが大統領は遺憾の表明さえ一度たりともしていない。世の中の誰もが文大統領の行動に注目しているが、実際のところ本人は遠い山をみつめながら関係ないことばかり口にしている。朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長や呉巨敦(オ・ゴドン)元釜山市長による「権力型性犯罪」についても、国民は大統領の考えが気になっているが、やはり遠い山を見つめながら沈黙を続けた。あたかも大統領がどこかに消え去ってしまったようだった。

 沈黙でなければ幽体離脱の話法もよく使われる。不道徳で破廉恥なチョ・グク氏を任命し、国民を分裂させた文大統領は「肯定的な側面がある」と述べた。不公正と反則の主人公たちを相次いで法務部(省に相当)長官に任命しながら、若者たちには「公正」という言葉を37回も強調した。人事や経済政策での失敗が相次いでいるが、一言の謝罪もなくやはり他人のせいにした。下の人間に責任を押し付けることもあった。自らの記録館建設を決め議事棒までたたいたが、これが問題になると「火のように怒った」として下の人間のせいにするという式だ。

 文大統領が9月28日の青瓦台首席・補佐官会議で、韓国政府職員を射殺し、遺体を焼却した北朝鮮の蛮行について「非常に遺憾で不幸な出来事」「遺族に深い哀悼と慰労の言葉を伝える」と述べた。政府職員が失踪してから1週間後のことで、最初に報告を受けてから125時間後のことだ。北朝鮮軍の蛮行が青瓦台に報告されてから10時間にわたり大統領は知らなかったというのだ。未明に青瓦台で緊急の会議まで開かれたが、大統領だけが知らなかった。このうそを本当だと信じる人間はいないはずだ。大統領は知らなかったことにしたのだろう。野党議員は「大統領はどこだ」として一人でデモをしているが、それでも文大統領の「失踪戦略」は今後変わるとは思えない。

李東勲(イ・ドンフン)論説委員

【#中央日報】【コラム】青瓦台儀典秘書官は大韓民国の大統領なのか

2020-10-03 03:39:58 | 新聞記事
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の哲学貧困論争で一時騒がしかった。元東洋(トンヤン)大学教授の陳重権(チン・ジュングォン)氏が6月、文大統領のことを「他人が書いた演説文を読んで、タク・ヒョンミン(青瓦台儀典秘書官)がやってくれたイベントをする儀典大統領」と批判したのが導火線になった。「哲学はあるのか」と尋ねたところ、青瓦台(チョンワデ、大統領府)前職参謀が反論と話したことが、逆に陳氏の主張に説得力をもたせる結果となった。「自ら鉛筆で加筆している」と言ったり(チェ・ウギュ元演説企画秘書官)、印刷された演説文の原稿を直している文大統領の写真をSNSに掲載したり〔尹永燦(ユン・ヨンチャン)共に民主党議員、元国民疎通首席〕して、結果的に大統領を原稿校正者水準に戯画化したためだ。

面白いのは「他人が書いたものを読んでいるというのは事実でない」(ハ・スンチャン元大統領府市民社会首席)というように、皆一様に演説文だけには反駁したが、「タク・ヒョンミンの儀典」には文句をつけなかった点だ。なぜあきれるような反論さえできなかったのだろうか。先月19日、第1回「青年の日」記念式典でその疑問の一部を解くことができた。

大統領が37回も言及するほど、この日の行事を貫くメッセージである「公正」イシューに対し、タク秘書官はSNSに自分が演出者であることを強調するだけでは飽き足らず、「悩みどころが多かった」として本人の青年時期まで「召喚」した。大統領の行事で、タク秘書官は大統領の国政哲学を少しだけ際立たせるよう具現化する役割を引き受けただけだ。正常な大統領-参謀関係なら、タク秘書官は国民の目には最初から見えてはいけない。ところが行事当日、まるで本人が大統領であるかのように「メッセージの内容について悩んだ」と大騒ぎし、行事に出席した防弾少年団(BTS)が大統領に手渡した贈り物についても「私のプレゼント」と恩着せがましく紹介した。反面、この日の文大統領SNSは単純だった。「政府は機会の公正のために最善を尽くします。青年たちは想像し、挑戦し、夢に向かって力強く走ってくださることを願います」。この2つのSNSを見る限り、タク秘書官が指揮官で大統領はただ演出家の意図を忠実に具現化する舞台上の俳優にすぎない。

実際、この日だけではない。先月12日、鄭銀敬(チョン・ウンギョン)初代疾病管理庁長任命式授与式もそうだった。大統領はこの日、SNSに「青瓦台の外側で高位級政務職の任命状授与式を行うのは初めて」としながら「庁昇格の主人公と共に初代庁長任命状授与式を執り行うことができてさらに意味深いことだと考える。鄭本部長の希望もそうだった」と書いた。ところがすぐ翌日、タク秘書官は本人が悩んだ結果だとまた自慢した。「権威を低くするほど、形式を捨てるほど、儀礼を簡素化するほど権威がより増して形式が共感を得て、儀礼は感動を与える。任命状授与式も少しだけ考えを変えるとこのように感動を与えることができるという事実が、槌となって改めて私を打つ。だからまた悩みが深くなる」

一般の国民は新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)による室内集合禁止措置で結婚式さえ挙げることができなくなっているのに、いま大韓民国で最も忙しい人々が仕事をするところにわざわざ行って、防疫方針に背いて職員を一カ所に集めることはおろか、国民に感動まで強要する。さらに大きな問題は、権威が宿るべきはずの大統領やこれまでの労苦が認められて大きな役割が与えられた鄭庁長は、ただタク秘書官が作り出した作品の中の俳優に転落させられた点だ。「私がこの作品の演出家」として作品の誕生背景を説明するなら、結局その舞台に立った人は演出家の意図のとおり動く俳優、それ以上でもそれ以下でもない。いくら俳優の演技が優れていても、ソン・ガンホやチョ・ヨジョンの『パラサイト 半地下の家族』ではなく、ポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』であるように。

タク秘書官はなぜこうなのか。野党「国民の力」の許垠娥(ホ・ウナ)議員の批判のとおり、ナルシシズムに酔ってこのような不敬を犯しているということか。そうでなければ大統領を俳優のように振る舞わせるということか。何であれ、いま青瓦台はタク・ヒョンミン効果で影に留まらなければならない参謀がたびたび全面に出ている。専門医ストライキの渦中に文大統領が医師と看護師を区別するSNSを掲載して問題になると、「大統領本人が直接書いた」という主張は引っ込み、立ってする演説は誰、座ってするのはまた誰というように、参謀の名前が次々と芋づる式に出てくる。通信費支援の時も、最初は大統領が「政府の小さな誠意」としながら自分が下した決定だと言っていたのに、問題になるとすぐに党・青瓦台が互いに指差しながら大統領の痕跡を消す。大統領の盾を自任しているように見えるが、実は威信だけを失墜させている。これだから大統領の言動に権威を加えることができず、「哲学貧困」という声が出るのだ。尹太瀛(ユン・テヨン)元青瓦台報道官は『大統領の話すこと』で、「〔盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が〕直接作成しなくても魂がこもっていない演説文はなかった」とし「核心は表現ではなくてコンテンツ」といった。果たして今はどうなのか。全国民が知っていることをタク・ヒョンミン式の感性押し売りに浸りきった青瓦台だけが知らないようだ。

アン・ヘリ/論説委員

【#中央日報】【コラム】北朝鮮の挑発に備えなければ韓国の立場狭まる

2020-10-03 03:37:05 | 新聞記事
果たして北朝鮮が米国の大統領選挙の前後に、核やミサイルに関連する挑発をするかは現局面で重要な観察ポイントだ。今の局面は、北朝鮮の核・ミサイル活動停止の約束に基づいているからだ。これが崩れると、今と異なる緊張局面がもたらされる。

一見、北朝鮮が挑発するという根拠と挑発しないという根拠が混在し、混乱している。しかし、綿密に検討すれば可能性の程度を計ることができる。

挑発するという根拠としては第一に、過去の北朝鮮の行跡を挙げることができる。北朝鮮は1993年にビル・クリントン大統領就任直後、核拡散防止条約(NPT)を脱退して以来、米国大統領選挙の前後に挑発を行ってきた。米朝の対話が巡航していたときは例外だった。今、米朝の対話は中断状態だ。第二に、金正恩(キム・ジョンウン)は昨年末、近いうちに新しい戦略兵器を見せると挑発を予告している。

挑発しないよいう根拠としては第一に、金正恩・トランプ間の親交を挙げることができる。金与正(キム・ヨジョン)は7月の談話で北朝鮮がまだ挑発せずにいる背景として、両首脳間の特別な親交が作用していると考えると述べた。第二に、金正恩はバイデン民主党大統領候補よりもトランプの当選を好ましく考えるため、トランプにとって打撃になる挑発は見合わせると推定することができる。

このように、両方の根拠の両方にそれなりの一理があるが、北朝鮮の長年の行動や金正恩が世界を前に述べた公言を考慮すると、挑発する根拠の方に幾分より多くの重みが感じられる。

今まで金正恩はコロナ事態とバイデンの当選可能性が大きくなった状況を考慮して、米国に向け挑発の時期を調整してきたと考えられる。しかし、ことしをこのままやり過ごした場合、金正恩の新年メッセージは虚言になる。金正恩は来年の新年辞で再び米国政権に向けて脅迫的メッセージを駆使しなければならない。ことしのメッセージを空念仏にしておきながら来年の新年辞を企画するというのは北朝鮮式の行動として似つかわしくない。

金正恩とトランプ間の親交とトランプ再選に対する北朝鮮の考慮は念頭におくべき要素だが、ハノイ会談決裂以来広がった米朝間の立場の違いと、これに対する北朝鮮の累積された不満も忘れてはならない。北朝鮮は今、スモール・ディールも実務会談も拒んでいる。首脳会談も米国の態度に変化がない場合は必要ないという。

さらに最近、北朝鮮はトランプ政権の軍事活動と対朝圧迫行為に反感が高まっている。そのため、金与正は米朝首脳間の親交に言及しつつ、続けて米国の危険な圧迫性言動をいつまでも座視することはないだろうと付言している。北朝鮮の立場としては、放置しがたい状況が続いていると言える。

このような事情から、北朝鮮の挑発の可能性はあると見るべきだ。さらに、米国の大統領選挙前にもトランプにとって政治的打撃が少ない方法で挑発する可能性も排除してはならない。これに関連し、北朝鮮が持続的に自主権守護能力を強調している点が注目される。大統領選前に自主権という名分で新型ミサイルを誇示または実験したり、新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載した潜水艦を公開する可能性がある。

大統領選後にはどうなるか。トランプが再選すれば、北朝鮮はトランプ2期に米国の立場転換を牽引するためにさらなる挑発を行う素地がある。バイデンが当選すれば、強度の高い挑発を行い、米国の新政府と新しいゲームを始めようとするだろう。一方、トランプが大統領選の結果に不服を持ち混乱が起これば、北朝鮮はこれを挑発の好機と見るだろう。

このように、北朝鮮の米国大統領選挙前後の挑発の可能性は相当だ。ところが、いざこの問題に対する韓国内の関心は高くない。特に政府側は挑発について聞いたり話したりすることをはばかる雰囲気だ。おそらく、尽力した韓半島(朝鮮半島)の平和プロセスについて不吉な話が出ることをタブー視するためだとみられる。

しかし、耳を塞いで口をつぐんでも、起こるべきことが起こらないわけではない。さらに最近、北朝鮮が漂流中の韓国国民を射殺した事件は、南北関係を一層ぎくしゃくさせている。米国は射殺件に関連して、北朝鮮糾弾に加勢した。この事件が米朝間の雰囲気にも悪材料になる素地がある。

もし北朝鮮が挑発すれば、米国をはじめとする国際社会は制裁圧力を強化する方向に動く。当然、北朝鮮は反発して緊張は高まる。韓国政府の韓半島平和プロセスは任期末に決定打を迎えることになる。韓国の可動域が大きく制約される。だから挑発の可能性を定量化し、それに適した備えをすることが合理的だ。

2006年夏、北朝鮮が長距離ミサイル発射と最初の核実験をしようとしたとき、韓国政府は挑発の可能性を一貫して否定した。挑発の状況があまりにも明確で、ほとんどの国が懸念していたところだった。さらに当時、ある高官が出国の道に空港で記者から北朝鮮のミサイル発射の可能性について質問され、「何を根拠にそのような質問をするのか」と咎めたが、その高官のフライト中にミサイルが発射された。数カ月後、核実験もあった。当時、政府が挑発の可能性を否定する状況認識を持っていたため、韓国の事前・事後対応は現実と距離が生じる他なかった。

今回はこのようなことが繰り返されないことを願う。挑発の蓋然性に合わせて事前に挑発を抑止するなり、または事後対応を徹底するなりして事前に備えなければならない。事前に挑発の蓋然性を否定して現実と遊離した行動をして、事後には介さずに韓国式の交流協力の課題を強行することはあってはならない。

魏聖洛(ウィ・ソンナク)/元韓半島平和交渉本部長、リセット・コリア外交安保分科長

【#中央日報】【コラム】人口・所得・金利ともに停滞する時がくる=韓国

2020-10-03 03:34:10 | 新聞記事
自動車衝突テストは走る自動車を壁にぶつける。このように一定の速度で走る運動量をモメンタム(momentum)というが、停止すればモメンタムがゼロになる。モメンタムがゼロになればその運動量が衝撃量に変わる。車がつぶれて助手席の実験人形「ダミー」が窓を突き抜けて外に飛ばされる。韓国経済も新型コロナ事態以降、持続的に成長してきたエンジンのモメンタムが急速に消えている。

韓国では産業化以降これまで人口が増加し、所得も増えた。金利も1990年以降は下落し、債券の価値が上昇した。すべてのものが増加する慣性の中に暮らしてきた。しかしもうこれが停止するとみられる。モメンタムが消えるということだ。モメンタムが消えれば衝撃を受ける。さらに時間が過ぎれば、金利がまた上がり、1人あたりの所得が減少し、人口が減少するマイナスモメンタムになり得る。この問題を主要経済変数の金利・所得・人口を中心に見てみよう。

最近、ゼロ金利という言葉をよく聞く。国債3年満期の利回りも定期預金の金利も今年に入って0%台に入ったからだ。ここで「ゼロ」という言葉に留意する必要がある。金利にマイナスがないとすればゼロ金利は金利が最も低いということだが、これは金利がこれ以上下がる余地がないという意味でもある。欧州で見られるように金利がマイナスのどこまでいくか分からないという人もいるが、その可能性は大きくない。

さらなる金利低下の可能性が難しくなり、金利モメンタムはほとんどゼロになった。3年満期国債の利回りが現在の0.8%程度からさらに下がっても0.8ポイントがすべてだ。2000年に9%だった国債の利回りがさらに下落する余地はほとんど消えた。金利の低下は利子費用の減少、資産価格の上昇などを通じて景気を活性化させる役割をするが、この手段がなくなるということだ。この場合、慣性的に持っていた観点を疑い、ゼロ金利で世の中がどうなるかを見なければいけない。

不動産が一つの例だ。マンション価格の動きは金利と密接な関係がある。2000年序盤から金利が下落し、韓国のマンション価格が持続的に上がっている。しかし今後の金利下落の可能性が高くない場合、マンション価格上昇に影響を与えた要因が一つが消える。短期的にはゼロ金利のメリットを感じるだろうが、時間が過ぎるほど追加で上昇させるほどの動力が低下する。

◆低金利で負債が膨らんでいく時代
負債を通じた成長にも制約がくる。貸出金利が4%から2%に下落すれば元金を2倍借りても利子の金額が同じだ。同じ元金なら利子が以前の半分水準に減る。1億ウォンを借りた人は利子が年400万ウォンから200万ウォンに減ったり、または1億ウォンを追加で借りても利子の金額が同じだ。しかし金利が追加で下落しにくい状況でお金をさらに借りれば利子が増える。通貨政策という手段の一つが無力化する。資金供給を続ける量的緩和政策があるが、基軸通貨を持たない国には負担になる。

個人の所得も増えにくい。個人所得の停滞は魚雷のように表面には表れないが、経済と社会全般に大きな影響を与える。韓国は通貨危機を経験しながらも、2000年に1人あたりの所得が1万ドル、2010年に2万ドル、2020年に3万ドルと成長してきた。1990年代まで個人所得は台湾を下回っていたが、2003年に追い越した。日本の1970-80年代に見られた雰囲気だった。

しかし今後は個人所得の増加が停滞する見込みだ。製造業の後発追撃者を抑えて先進国と競争しなければならないうえ、全体人口のうち生産可能人口の比率が減少するからだ。日本は90年代半ばに個人所得が4万ドルを超えたが、25年が過ぎた今でも3万ドル後半にとどまっている。イタリアも現在の個人所得は15年前の水準だ。製造業国家が経験する3万ドルの壁だ。

韓国は所得が急成長し、消費市場も大きく変わった。新築の高価な住宅を求めるようになった理由でもある。日本が所得3万ドルを超えた90年代初めにはニューリッチ(New Rich)が新たな消費の主体として登場した。ニューリッチを羨望する大衆のための高級消費財も流行した。しかし所得が停滞すると、100円ショップ産業が急成長した。所得増加がゼロモメンタムに入り、日本の消費市場と住宅市場は急変した。韓国も20年間にわたり所得が急成長した記憶が残っていて、世の中はこの速度でずっと変わるものと期待する。しかしゼロモメンタムはこうした期待とは全く違う世の中を見せる。

◆人口の減少が最大のゼロモメンタム
さらに大きな問題は人口、その中でも生産可能人口モメンタムが消える問題だ。実質的な生産可能年齢の25-64歳の人口は今年から増加傾向が止まるが、2024年から本格的に減少する。10年間に310万人ほど減少し、その後の10年間にも400万人ほど減少する。

過去30年間に1000万人増加したが、今後30年間に1000万人減少する。モメンタムがしばらくゼロになった後、マイナスに転じるということだ。1トン自動車が壁にぶつかるのではなく、同じ速度で向こうから走ってくる1トン自動車と衝突する格好だ。

これほどのモメンタムの変化なら、経済のあらゆる分野に影響を与える。個人所得、消費市場、住宅市場に影響を及ぼす。25歳から64歳の年齢層が主に金を稼いで消費し、家を購入するからだ。今後の人口の推移は、我々がゼロモメンタム社会を脱出するのに困難をもたらすろう。一種の基礎疾患のようになる。

3つのモメンタムがほぼ同時に消えるというのは、経済が受ける衝撃も大きいということを意味する。問題は新型コロナの影響でモメンタムが消える時間が短くなり、衝撃を吸収する余裕を与えない点だ。自動車が衝突してモメンタムが消えながら運動量が衝撃量に変わる時、瞬間の速度変化が衝撃の大きさに影響を与える。鉄の壁に衝突する時は速度が瞬間的にゼロになるが、スポンジに衝突すれば速度がゼロになるまで時間が少し長い。それでスポンジに衝突すれば衝撃は小さい。経済も対応する時間的な余裕がある場合は衝撃が少ないが、その余裕がない場合は受ける衝撃が大きい。

新型コロナで我々は金利・所得・人口の3つの要因が同時にスポンジでなくコンクリートの壁に衝突するということだ。この状況認識が重要だ。

これに対応する容易な道は財政支出だが、財政支出も基軸通貨国ではない場合は問題になる。信用度が低い企業の負債比率が高まれば疑心が強まるのと同じだ。幸い、我々には資産が蓄積されていて、第4次産業革命という技術変化が世の中を変えている。変わる世の中は少なくとも機会は与えてくれる。蓄積された資金をここに流れるようにして変化を図らなければいけない。これだけがゼロモメンタムを克服できる道だ。当局はこの道に進む障害物を片づける役割をする必要がある。

◆革新に向かってこそ韓国経済の無気力から脱出
規制改革はなぜ必要なのか。ピーター・ドラッカーが『見えざる革命(The Unseen Revolution)』(1976)でその理由を示した。ドラッカーは年金社会を例に挙げた。年金社会になれば、資金を安全に運用しなければならない受託者の義務のため、蓄積された資産が革新的なところではなく安全なところに流れることを警告した。このため義務的にベンチャーのような革新企業に一定比率を投資すべきだと主張した。

韓国の国民年金も非上場企業への投資を増やすのがよい。4年後には積立金が1000兆ウォン(約90兆円)に達するため、5%を投資しても50兆ウォンになる。当初、国民年金の株式比率を高めようする時、そして代替資産の比率の拡大にも反対が多かったが、増やした後の成果は悪くない。革新企業への投資は年金の収益だけでなく社会の付加価値も高める。

資金の通路があっても事業の通路がふさがれば資産バブルを引き起こす。会社の成長潜在性が落ちるためだ。新しい酒は新しい革袋に盛れという言葉があるように、一つや二つの規制解除ではなく、新しい時代に合う規制体系全般を考慮する必要がある。お金はないが効率的な規制システムを持つことは、お金がありながらも非効率的な規制システムを持つことよりもよい。政府のニューディール政策は規制に対する全般的な体系変化があってこそ効果を高めることができる。

キム・ギョンロク/未来アセット引退研究所長