忘れがたい教えとして『一飜(いーはん)つける』という言葉があります。
私が社会人一年目のときに、当時お世話になっていたまちづくり会社の社長の言葉です。
その社長は世が世であればお殿様という家柄で、有名国立大学大学院を修了後にまちづくりの仕事をされていたのですが、どことなく浮世離れした泰然とした雰囲気の方でした。
その社長が都市計画出身ということもあり、私のような建築畑の人間を可愛がってくれたということもあったようです。
その会社は〆切で納品した後、よくみんなでお酒を飲みに行きましたが、その飲み会は深夜まで続き(笑)、その際にしばしばためになるお話をいただいていたように思います。
「一飜(いーはん)つける」とは麻雀の言葉なのですが、麻雀は役がひとつつくことにより、点数が上がる仕組みになっています。
例えば、リーチのみ(りーのみ)や平和(ぴんふ)のみなどのときは1500点、リーチ+平和の場合は二飜(りゃんはん)で何点というように役がつけばつくほど、点数が上がっていく仕組みです。
私は学生時代には友人と麻雀はしたことがありますが、それほど詳しくはなく社会人になってからはしておりませんが、この仕組みくらいは理解しておりました。
「一飜(いーはん)つけていきなさい」
当時私は一級建築士を取得したばかりだったように記憶しておりますが、建築士を取得した=一飜がついた、一つ役がついた、ということ。
この建築士にプラスして、例えば「英語が喋れる」という役をつけることができれば「英語が喋れる一級建築士」ということで二飜(りゃんはん)になるわけです。
この世の中に建築士はごまんといる、英語が喋れるひともごまんといる、でもね、英語が喋れる建築士は何人いるだろう?
もっと三飜、四飜と役をつけていけば「英語が喋れて、〇〇ができて、△△ができる建築士」となって、君の存在は数少ない建築士になれるのではないかな?
社会人になりたての私にとりましてはとてもありがたい言葉でした。
その社長の言葉があったからこそ、
『人工的な化学物質に精通した』、『電磁波の影響のない空間を提案できる』建築士になることができました。
そして10年ほど前からは『電気・ガス・水道を自給自足するにはどうしたらよいか?』という知識や技術、ひととのつながりをもつことができ、
そしてここ最近、有機農家さんのお手伝いをさせていただくことにより、いままで絵に描いた餅でしかなかった『安心な食糧(野菜)を自給自足する家』の知識やひととのつながりももつことができました。
『一飜(いーはん)つける』いまさらながら感謝です。
ひと・すまい・くらし
新井 伸宏
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