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舞台 エン☆ゲキ06「砂の城」※追記

2022-11-10 13:00:00 | レポート


初見でめちゃめちゃ情緒かき乱されて帰ってきたので、落ち着いた心でもう一回観たくて、二日後の休みに急遽当日券取って向かいました。ジャニさん絡んでるからDVDも配信もなさそうなので、そして平日の大阪昼間なので交通費が比較的安く行けるのでできたことでしたが、マジで良かったです(語彙力……)。

いつものごとくネタバレ考慮してないので、これから観に行く人は見たあとにどうぞ。

即興音楽劇ってなんぞ?というあたりは公式さんの方で調べてください(丸投げ)
毎回違うメロとダンスになるとのことでしたが、大まかには同じ気がしました。アンサンブルのところはアドリブたくさん入ってそうですけどねー。



とりあえずざっくりとあらすじを書きます、そのあとに私の感想やらなんやら書きなぐりますので、見た人はあらすじ飛ばしてください。著作権的に台本は見ずに、記憶の中のセリフやあらすじなので飛ばしてたり間違ったりしてるかもだけど、ご容赦を。


冒頭で主人公テオの歌とダンス、中山さんさすがキレのあるダンスでさすがだなぁって思いました、が、歌詞の内容が不穏。とおもったらいきなり首吊り台の上にと言う衝撃的なシーンから始まりました。
舞台設定はギリシャ、ローマ辺りの地中海沿岸の温暖な地方、全員衣装は白のみ。王政と奴隷制度のある古代っぽいかな。領主の娘エウリデュケと結婚して幸せなテオが如何に冒頭のようになるのか、が本筋です。
余談ですが昔読んだ「車輪の下」を思い出しました。主人公が死に至るまでの残酷で美しい壊れた世界を見せられ続けるあの感情を思い出しました。

お城では大王崩御に始まり、王太子ゲオルギウスと執政官バルツァの腹の探り合い、遺言により王位継承権を得た奴隷のレオニダス(きずっち!)の存在が明らかに。
決して交わることのなかったはずのテオとレオニダス、レオニダスが領主の屋敷の使用人であったために互いを認識することになった二人。

しかし、お城で時期大王としての教育や贅沢をさせられたレオニダスだったが、謀略によりゲオルギウス襲撃の主犯として捕らえられ、爵位を剥奪された後、城を放逐される。
「なんでこんなことをする!勝手に奴隷から引き上げておいて!叶わない夢ならば最初から見させるな!」
と言うレオニダスの絶叫は、一度救われた事でより辛く感じた心の表れで、見ていて理不尽に心が熱くなる。

行くあてもないので、かつての領主の土地を通りがかった折に、羊小屋で雨露を凌いでいた。
テオは何もかも上手く行っているように見えて、家族の中で一人だけ自分の居場所がここじゃないと感じていて、夜一人になり、羊たちの様子を見にてレオニダスと再会する。
領主の家に居場所のないテオ、城の中で居場所のなかったレオニダス、同じ疎外感
同じ痛みを感じている二人がやがて惹かれ合い、互いが世界に唯一の理解者だと思うようになる。

義父であり領主であるアッタロスが亡くなり、エウリデュケの悲しみを本当には理解できないテオ。中身のない空っぽの嘘と偽りの良い人な自分を無意識に演じていたテオは彼女に優しくしようとするがそれも作り物だと拒絶される。
屋敷に居場所のなくなったテオは、夜はずっと羊小屋のレオニダスと過ごすようになる。彼の前では素の弱い自分をさらけ出すことができる。そしてレオニダスの分不相応な夢、王になる夢、それを共に見ることで何者かになれる自分を見出すテオ、他者の夢に縋りようやく自分を保っていけるようになることに気がついて、自分の居場所はレオニダスと共にあるのだと思い込む。

悪夢にうなされるレオニダス、悪夢と現実のあやふやなまま心配するテオを押し倒してキスをしてしまう。
「僕は君が好きなんだ、気持ち悪いだろう?俺は狂ってる、化け物なんだ」
「いいよ」
レオニダスを肯定するテオ。
「君を好きでいいのか?」
互いの存在でしか自分の存在を維持できない二人はそのまま激しく愛し合う。

城でのレオニダス断罪の策略は進み、ついにレオニダスは城に召還されてしまう。けれど愛を知ったレオニダスは毅然と、王太子として堂々と城へと向かう。それは死への行軍であり、テオとの永劫の別れ。止めようとするテオを助けるため、バルツァには
「俺とあの者とはなんの関係もない」と一蹴する。そしてテオにはわざと冷たい態度と身を隠すのに都合が良かったからとだけ告げるのだ。

やっと自らの存在意義を見いだせたと思ったのも束の間、それは砂の城のように崩れてしまった。絶望したテオは、まだエウリデュケがいると屋敷に戻るが、そこで見たのは親友アデルと妻の浮気現場。テオとレオニダスの関係を知り、それでも彼が幸せならと思っていたエウリデュケと彼女を愛し身を引いていたアデル、自然と支え合い心の拠り所となっていた。
二人にも裏切られ、テオは感情を抑えることができなくなて壊れてしまった。躁鬱、怒鳴りつけた直後に優しい言葉をかける、そしてまた感情が昂り怒鳴り今度はごめんなさいと謝り倒す。一貫性がなく相手に合わせて嘘をつく偽りだらけの入れ物、それがテオ。壊れてしまった人間関係は、入れ物であるテオも壊してしまった。

断頭台に向かうレオニダスは本当の愛を知れて幸せそうだった。愛の有り様を弟のゲオルギウスに伝えて、彼は死んだ。

戴冠式の知らせのビラを見て、壊れたテオは「そうだ、明日にしよう」と死ぬことを思い付く。
冒頭のシーンが再現され、縄を手にしたその時、王冠を被り堂々とした身なりのレオニダスが現れる。
「来てくれたんだ!」
「一人は辛いだろう?」
「一人になるかもしれないのが怖かった。だからいつも確認しなきゃならなかった」
「化け物でも狂ってても何をしてても傍にいて寄添ってほしかったんだろう?」
膝を抱えて蹲るテオを優しく後ろから抱きしめる。
「うん」
「君に頼みがある。僕を殺して欲しい」
そうして彼の首にゆっくりと手をかけ殺すテオ。それから自らも首を吊る。
それまでと打って変わった明るい音楽と全員が手を叩き祝福と喜びを歌う中、テオの体がゆっくりと樹の下で揺れる。祝福の中彼は旅立った。

ゲオルギウスは戴冠式の時に毒殺される。それまでにバルツァは法を定め後見人たる自分が至尊の冠を戴くために。



こんな感じです。伝われ………。
登場人物誰一人として幸せになっていません。ツラぁ。
でも見終わったあと爽やかさすら感じていたのも事実で、テオは幸せに死んでいったのかなぁって思いましたよ。世界観が美しいからかな。お互いが唯一無二の存在、初めて愛することを知る二人、世界でお互いだけが真実のふたりぼっちの二人。切なく悲しく美しい愛の様子でした。

なんというかじわじわと壊れていく世界に、押しつぶされていくテオの様子が哀しいです。特に終盤の躁鬱感情の切り替わりが激しく、完全にぶっ壊れる寸前のギリギリのラインでとても痛々しかった。それを演じた中山くんもとても素晴らしかったです。偽りの夫、偽りの親友、良い人を演じているテオの様子を、2回目は演技として複雑な様子を感じ取れたので、すごいなぁっておもいましたよ。もちろん歌もダンスも素敵だった!キレキレ!さすが!

さてさてきずっちも奴隷の卑屈で怯えた様子、王太子としての堂々とした佇まい、テオに対する優しさなどなど、もーね、すごい良かった!感情的に叫ぶ所も、優しく語りかけるところも良かったなー。そして顔がいい(大事)。あと背が高いから、手足も長いのでバレリーノ風のダンスは本当に映える!ダイナミックに見えるし、ABCあまり大きくないホールなので舞台の端から端まで手足で届いてるんじゃないかって思ったし、さすが股下5mの男! 

他の方も歌がとても感情的で良かったなぁって思いました。私あんまりディズニーやミュージカル苦手なんだけど、違和感無く見れました。それは決められた歌というよりは、ある種即興故の役者の感情の吐露だったからなのかなぁって思います。
ゲオルギウスとバルツァの腹の探り合いはかなり好きな部類。ワクワクしながら観てました。どっちも腹黒い。でもゲオルギウスは最後薄々死を悟りながら戴冠式に向かって行った気もするので、レオニダスと同じ運命かな。最後にこの人もイイ人になって死んだのか。レオニダスと同じく、身分制度を撤廃したいという分不相応な夢を抱きながら。
あれ、結局バルツァくらいかな、幸せというか夢を実現できたの。

あとね、アンサンブルのダンスも素敵だった。多分ここが一番即興入ってるんじゃないかな?(笑)
大まかなところは同じだと思うけれど、たまに役の感情に寄り添っててあれ違う?って思ったところがあるので。背景?を表現してるのも面白い映像だったし、ついつい目が行ってしまうのでたまに役者側見てないことも(笑)。一応精霊って役どころみたいなので、その場にいるのに目に見えない感じなのかな。でもたまにテオがじゃれてたりするし、ひょっとしたらテオには「視えて」いたのかな?ギリシャ神話の絵画な感じと思うとイメージしやすいかしら。

退場するときにステージを間近でよく見たら前半分は砂場になってて本物の砂がまいてあるの。その後ろは斜めの坂道になってて、石造りの入口と大きな木がある。ラスト殺されたレオニダスの頭から王冠が落ちて、それがそのまま舞台に残されてたのがとても象徴的で、タイトルの砂の城が崩れた後に残された王冠とか、とてもとても叙情的でした。……と思ったら2回目の時は残ってなかったから、単なるプリセットミス?!?!(笑)いや、でも、余韻的には王冠残ってた方が良かったなー。絵になる。ナウシカのラストみたいなイメージ。

即興の部分はあまり分からなかったかな?印象的な部分のダンスは2回とも同じにおもえたし。
万が一にもDVD出てくれるなら、嬉しいことこの上ない。絶対欲しい〜〜〜!!!
と思ったけどやっぱりDVD出ないのね……残念……。

池田純矢さんのTwitterより
「終われば跡形も無く消えて無くなる。
映像にも残らない、再演も無い。
泡沫に揺蕩う砂の城、残された公演はあとわずか…どんな景色があるのだろう。
本日は最後の平日公演です。当日券のご用意も御座いますし、土日公演の当日引換チケットの販売も御座います。
是非、共にこの儚い刻を過ごしましょう。」
そして舞台セットのお写真も載ってましたので、舞台みてない方はぜひイメージだけでも。
すごく良かったから沢山の人に見てほしいなと思ったし、自分もまだ見たかったけど、もう今週は休みがないので2回観れたのが奇跡だと思って大事にしたいと思います。平日の客席の入りは半分くらいだったので、本当にもったいないなぁって感じました。パンフと台本を購入したので、映像を思い出しながら読みたいと思います……。

パンフレット

台本!ありがたい!これで脳内再生がいつでもできる!!



全然関係ないけど、会場まで歩いていく途中で見つけた壁ぶち破ってる長いネコ



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