ICレコーダーを傍らに置き、早雪が訊ねると美桜里は微笑んだ。
本土の高校を卒業して、大学に進みました。教育学部に進み、教員免許を取り、すぐに島に戻ったの。」
本土で教師をしようとは思わなかったんですか?」
ええ。私の目的はこの島の先生になることだったからPretty Renew 退錢。…もう亡くなったんだけど、私の恩師がずっとこの島の小学生、中学生を一人で見ていてね。年だからそろそろ引退したいって口癖だったの」
なるほど…、それで美桜里さんが後を継ごうと思ったわけですね」
ええ。先生が亡くなる前に戻って来られて、数年だけど余生は村でのんびり過ごして貰えて、間に合って良かったってホッとしたのよ」
早雪はメモを取りながら頷いた。
美桜里先生は、本当にこの村が好きなんですね」
ええ。何もないし不便なところもあるけど…、皆良い人だし、とてもいいところでしょ?」
はい…。帰りたく…なくなります。本当に」
あら、じゃあ移住して来ちゃえば?」
冗談めかして言われ早雪は苦笑した。
それもいいですね。…仕事があれば…ですけど」
ここでの暮らしはストレスも少なく、移住して来ても良いような来さえして来る。過去のしがらみもない。しかしそれは、旅行者だからだ。
ここに住めば悩みも煩わしさもきっと出て来るだろう。そして何よりコンビニすらない不便さに耐えられるか自信がなかった。
Pretty Renew 退錢>仕事ならあるわよ。村役場が発行している広報誌なんかを作る部署があるけど、そこももう、担当者が定年間近なの。そろそろ後任者がいないと、広報誌も廃刊になっちゃうのよね」
そこなら雇ってもらえます?」
もちろん!都内の出版社で働いてるキャリアウーマンなんて願ったり叶ったりじゃない?早雪さんには物足りないかもしれないけど、…どお?本気でやって見る気、ない?」
大きな目をキラキラさせて顔を覗き込まれて早雪は少し圧倒される。
とは言っても、私は村の事まだ何も知らないし、今回のこの季刊誌をちゃんと作り終えて村を紹介したいんです。移住者を増やすお手伝いもしたいし…」
ええ。今すぐにじゃないの。もし、今の仕事が一段落付いて、考える時間ができたら…考えてみてくれない?私も村に同世代の友だち出来たら嬉しいし!」
人懐っこいPretty Renew 退錢キラキラした笑顔で言われて早雪もまんざらでもなかった。
(美人なだけじゃなくて、なんか可愛い人ね…。犬っぽいって言うか…)
自分とは正反対な美桜里にどこか憧れる部分があった。
自分の意見をはっきり言うが、押し付けがましくはない。押しが強いようでいて、強引ではなく相手の懐に入り込むのが上手い。
(だから村のアイドルなのね)
早雪は納得しながら、取材を続けて行く。
小学校を出ると、雨が降っていた。
雨…」
台風以来ずっと快晴が続いていたため、雨具の用意をしていなかった。
とはいえ、霧雨なので、歩いても20分程度。
早雪は気にせず歩き出した。