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45年前の空気

Hj1121031

もうずいぶん前の事・・・知り合いの人が、引っ越しをされたマンションに伺った。 そのマンションは 1967年築(今年で築45年)の11階建て。

管理がとてもよくされていて、一見 古さはあるけれど、とても気持ちいいマンションだ。

1965年(昭和40年)に多摩ニュータウン計画が始まり、日本はめざましい経済発展に突き進み始めた、まさに 戦後日本の若々しい時代。その時期に作られたそのマンションも、当時は 時代の先端で 人々の憧れの住宅であった事だろう。

建設は、発足まもない 東京都住宅(供給)公社。 技術者達が、まじめに 「人間が住む 衛生的で 快適な 住空間の創造」 に熱い想いを掛けた時代。

当時は大量に良質の住戸を作る事が目的であったはずで、ディテール や モジュール、住戸プランの標準化に多大なエネルギーがそそがれていただろう。

写真の階段室の手摺も、デザイン的に凝った というものではなく、禁欲的に 「標準化」に向かった「仕様」のひとつだったと思われるが、とは言っても、職人の手作業によるもので、いわゆる「工業製品」ではない。

人の手が触れる手摺部分は木製で、大きな長方形の断面形状だが、わずかに菱形のような形になるよう設計されている。こんな部分にも、当時の設計者の、まじめなデザイン が見てとれる。

今となってはなんという事もない、ただ機能一辺倒のように思われてしまう建築だが、そここに、設計者・技術者・職人達の心意気のようなものが、その場の空気には感じられる。

禁欲的で 面白味のないような簡素な空間 ・・・ でも実は、思いの籠った 温かい建築 なのだ。

好きだな~ こうゆうものが。。
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