ガラス作家 辻 和美
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いろんな人が作った、透明なガラスのコップが並んでいて、
どれが自分のかすぐわからなくても、
その中から誰かが
なんだかこれがいいなと思って手に取ったのが、自分のだったら
うれしいな
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「住む。」NO.22 より
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作家というものは、自分のオリジナルを作る人。
でも、きっと一番難しいのは、その「もの」の、一番「普通」な形を作る事だと思う。
ガラスのコップ、茶わん、皿、はし、机、イス、服・・・・
ひとがモノを選択する場合、少なからず「名前」が基準の一つになる。
作家、デザイナーや会社。。。
でも、それをいっさいはずしたとき
最後は選ぶひとの感覚だけ。。
たくさんのものの中から
「なんだかいいな」って
手にしてくれる・・・
家に帰って、それを見るたび それを使うたび
「なんだかいいな」って思ってくれる
作り手にとっては最高の喜びだし
最高に「いいもの」を作った事になると思う。
でも、その喜びは・・・
うれしいな
に尽きる。それが全て。。。
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建築として、完璧な「作品」を作りたいとも思う。
ただ、「作品」となってしまった時、なんだかつまらなくなってしまう気がする。
飾っておくにはあまりに大きすぎる。
「透明なガラスのコップ」のように
毎日使えるものがいい。
毎日でなくても、ときどき
「なんだかいいな」って思ってもらえるものがいい。
そんなものを作りたい。。