本のハコ トラウマ克服哲学部

部員1名、活動不定期。

『サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ

2020-07-15 15:23:37 | 
読み終わった。のんびり読んでたから、随分時間がかかってしまった。

下巻、社会と宗教との関係性について、こんなかんじで書いてあった。
社会秩序とヒエラルキーはすべて想像上のものなのでとても脆弱だ。社会が大きくなればなるほど脆くなる。宗教はこの脆弱な構造に超個人的な正当性を与えて社会を安定させる。

著者が言うには、自由、人権、平等、企業、法律、国家などの全てが虚構。
最初はちょっと衝撃だった。神話や宗教が虚構なのはわかるけど、自由や人権まで!?そーなん??
いや、そうかも・・・。
人間が長い時間をかけてベストの虚構を模索し続けた結果、自由とか人権みたいなありがたい虚構が完成したんだろうか。

数年前に校区の子供会が崩壊した。
うちの校区には地区別に7つの単子があり、それぞれが独立して子供会を運営していた。けれど入会を拒否する親が増えてきたため、単子での運営がたちゆかなくなってしまった。そこで単子を全部合併して校区子供会としてまとまろう、という案が出た。更にPTAを抱き込んで全世帯強制加入を狙う方向で動くことに。実現すれば役員負担の軽減になるからね。
これらは全て子供会を仕切るOBのおじ様方の策である。
1年かけて合併が実現し、子供会が地区単位ではなく学校単位になったとたん、大量の退会者が出た。強制加入どころか会員数が激減したため、各地区のラジオ体操まで維持できなくなってしまった。
地区内の保護者の目と、夏休みのラジオ体操というストッパーが一気になくなるんだもん、そりゃやめるよね。そもそも強制加入とか・・・絶対ムリだと思ってた。

子供会も虚構のひとつだ。しかも義理と惰性だけで維持されてる集まりだから脆弱だ。大きくなるほど脆くなる、ってほんとだなあ。
小学校区子供会が弱体化してしまったので、今度は中学校区子供会の合併案が出ているらしい。デジャブ。
けれど、人数が絞られたぶん、本当にやる気のある会員たちが集まるようになるんだろうな。それはそれで楽しい会になるかもしれない。私はやめちゃったけど。

『サピエンス全史』を読むと、あれもこれも、なにもかもが虚構で、人間を幸せにしてくれるものはセロトニンだけですよ、人ひとりの人生になんて何の意味もありませんよ、って言われてるような気がしてくる。
自分は、たくさんの虚構の中で、自分だけの物語を生きてるんだとして、その個人的な物語がどこまでいってもやっぱり全部虚構でしかなくて、本当の本物じゃないんだとしても、いや、自分はこれでいいんです、これがいいんです!と言い切れる強さがほしいなと思った。



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