作業ってなあに?

作業療法士のこと、作業のことなどについて知ってもらいたいと思い書いてみます

作業の力

2022-02-18 22:43:00 | 日記
作業には力があると言われています。
作業の力が高まるには条件があります。

自分で行なう作業を「選び」、実際に「作業に参加する」ことが必要です。
人から押し付けられたり、やりたくない作業をやっても力にはならないのです。
「作業に参加する」とは、実際に体を動かして行なうことだけではありません。例えば、食事を作らなくても自分の食べたいものを誰かに作ってもらったり、味見をしたりすることも「作業に参加する」と捉えることができます。

「作業の力」とはどんなものか?作業が広がっていく、相乗効果がある、というイメージでしょうか?
食べたいものを作ってもらうことで、自分の好きな味にしたい、味見をしたい、作り方を教えたい、食材を選びたいために買い物に行く、といった具合に色々な作業を行いたくなります。買い物に行くようになると身だしなみに気を使うようになり、規則正しい生活を送るようになるかもしれません。違うスーパーに行くためにバスや電車に乗りたくなるかもしれません。

このように一つの作業から他の作業を行なうようになったり、生活そのものが変わることもあります。
作業の力ってすごい!といつも思っています。



作業バランス

2022-02-09 19:56:00 | 日記
作業は「やりたいこと」「やらなくてはいけないこと」「やることを周りから期待されていること」に分けることができます。

 どれか一つに当てはまることもあるし複数当てはまることもあります。
 昨日と今日、若い頃と年をとってから、元気な時と疲れている時では意味が違うかもしれません。
 誰とやるか、どこでやるかによっても変わるかもしれません。
  いつでも、どんな状況でも変わらないものもあるかもしれません。
 仕方なくやっていたことが楽しみに変わることもあります。

 デイサービスに来る方は「周りに期待されて、やりたくないけど仕方なくやっている」作業が多いのでは、と思う時があります。
「やりたいこと」をやれる。そんなデイサービスにしたいな、と思っています。それが作業療法士の役割だから。

自分らしい作業とは

2022-02-02 14:28:00 | 日記
「自分らしい作業はなんですか」と聞かれたら皆さんはすぐ答えがでますか?

作業と人は深く関連しているため、どんな作業をしているかで自分がどんな存在なのかが分かると言われています。「私は作業療法士です」「私は車を運転することが好きです」のように。しかし、作業療法士という仕事を退職したら?免許を返納したら?私という存在はどうなってしまうのでしょう。

作業とは実際に行うことだけが作業ではないのです。私は作業療法士という仕事をしなくなっても「作業」という意味を考えたり「作業」について人と話すことでも自分を作業療法士らしいと思えます。

免許を返納してもネットで素敵な風景を見たり、google mapに保存した「行きたいところリスト」を見るだけでも幸せな気持ちになれます。

作業とはその人が生活してきた過去、現在未来をつなぐ架け橋のような物だと私は思います。病気や何らかの事情によって好きな作業が出来なくなっても、その作業と関係することに少しでも関わることが出来れば自分らしい生活を送ることができるのです。そんなことを考えながら日々デイサービスで利用者様と関わっています。

デイサービスでの作業療法士の役割  その2

2022-01-28 22:52:00 | 日記
デイサービスでは作業療法士以外にも介護士、看護師、理学療法士、相談員など他職種が働いています。また同じ職種でも経験年数の違いや年齢差も大きいのが特徴だと思います。そんな職場で作業療法士としての専門性を発揮するにはどうしたらいいのか?私自身答えを見つけられているわけでも、正解があるわけでもありません。

しかし、一つ言えること。
それは、作業療法士が前を走ってはいけないということです。専門性を押し付けてはいけないし、作業に固執してはいけないと思うのです。若い頃はそれをやってしまい失敗しました。

作業とは個別性があり、意味があり、感情を伴い、環境により異なります。
それを踏まえれば、その方の作業歴や生育歴、文化的背景、家庭環境など広い視点を持っていなくてはいけません。

利用者さんやスタッフの人たちが大事にしている作業は何なんだろう?どういう風に作業を行うことがその人にとって良いのだろう?自分の作業を自分で考えられるように道標となる。それが作業療法士の役割だと思っています。



デイサービスでの作業療法士の役割

2022-01-20 22:30:00 | 日記
作業療法士である私がデイサービスでどのような役割を担っているのか今日は書いてみたいと思います。

年をとったり病気になったりすると、出来ないことややらなくなることが増えてきます。家では「病気の人」や「何も出来ない人」見られてしまいがちです。転ぶと危ないからと、外に出たり今までやっていた役割を取り上げられてしまいます。すると自分でも「私は何もできない厄介者」と思うようになります。

そんな方がデイサービスにきて自分に出来る作業を見つけます。作業療法士はその方が今までどのような作業を経験してきて、そこにどのような意味があるのかを聞きます。
 そしてデイサービスで実際に作業をします。初めは「できない」「立てないから無理」と自信がない方も周りで同じような状況の方がやっているところを見て「自分もやってみようかな?」と思うようになります。
 実際にやってみると「思ったより出来るわ」「前はもっと上手に出来たのに」「疲れた」など、やらないと分からない感情が生まれます。その感情をしっかり受け止めて、次のステップに進みます。無理にやらせるのではなく、自分がやれそう、やりたいと思うことを自分のやり方、ペースで行なっていけるようにします。
 
 作業療法士はあくまでも前に出ず、後ろからそっと背中を押す役割です。そして環境を整えます。