作業ってなあに?

作業療法士のこと、作業のことなどについて知ってもらいたいと思い書いてみます

作業の満足度

2022-01-12 20:06:00 | 日記
作業は健康と深く関係があると言われています。生活は作業の積み重ねで行われています。生活満足度はその人が幸せと思えるかどうかに影響を与えます。満足度が高ければ健康になるし、低ければ不健康になります。

では生活の中で得られる満足はどのような作業をした時に得られるのでしょう。ある研究では「つながり」「承認」「貢献」「努力」「楽しさ」「上出来」などを感じた時に満足するとの結果が出たそうです。

私はウクレレやピアノを弾くことが好きで時々カフェのイベントで演奏します。
他のメンバーと一緒に演奏することで一人で演奏する時とは違った楽しさがあります。仕事以外のつながりを感じます。演奏した後拍手をもらったり「素敵な演奏だったね」と言われると嬉しいです。イベント前には練習をします。難しい曲が弾けるようになると達成感があります。

しかしネガティブな感情もあります。練習時間が思うようにできないと「上手に演奏できるかな?」と不安になります。「こんなレベルで人前で演奏していいのかな?」とも思います。練習の時は上手くできたのに本番で失敗することもあります。

作業の満足度はこのような作業の経験を積み重ねることで自分らしい生活が送れるようになるのではないでしょうか。
皆さんの自分の好きな作業を行う時にどのような感情が起こるのか考えてみてはどうでしょう?


作業の力

2022-01-06 20:41:00 | 日記
「何をするか」「何をしないか」でその人が将来どんな人になるか、どんな生活を送るかが決まります。作業にはその人の人生や生活を左右する力があるのです

好きな作業ができなくなると不健康な生活になってしまいます。

病気になったり年をとったりすると、できなくなる作業があります。買い物が好きだった人が移動手段がなくなったり、家族から「危ないから外に出てはいけない」と止められてしまうことで買い物に行かなくなることがあります。
買い物に行かなくなると、化粧をしなくなったり、人と話すことが少なくなります。外出のための洋服を買うこともなくなり、一日中部屋着で過ごすようになるかもしれません。
買い物という作業を一つ行わなくなることで生活全体が大きく変わったしまうのです。

作業療法士は、その人にとって買い物にどのような意味があったのかを探ります。
外の空気を吸うためだったのかな?
季節の商品を見たかったの?
買ったものを誰かにあげたかったの?
途中に会う人とお話しすることが楽しかったの?
など買い物にはその人にとっての目的や意味があったはずです。
買い物という作業ができなくなっても、同じ意味や目的を叶える作業ができればその人の生活は変わるかもしれません。

作業療法士は好きな作業、やめてしまった作業ができるように一緒に考えていくことが仕事です。

作業の意味

2022-01-01 20:25:00 | 日記
作業とは「やりたい」「やっていること」「周りからやることを期待されている」ことを言います。作業が上手く出来ているかはその人がどう感じているかが大事です。周りから見た感じと、その人がやってみている感じには差があることもあります。

例えば私は車を運転することが好きです。目的はあまり決めずただひたすら走ります。渋滞や信号待ちがあまり好きではないので高速や空いていそうな道を走ります。サービスエリアや観光地には寄りません。
人から見ると「ガソリンの無駄遣い」「疲れないの?」「せっかく遠出したのに寄り道しないの?」と思うかもしれません。
でも私にとっての「車を運転する」という作業には「一人の時間」や「景色を見る」ということが大事な意味を持っています。

目には見えない意味やこだわりが作業にはあります。それは作業をやっている人に聞いてみないと分からないのです。

皆さんも自分の好きな作業にはどんな意味やこだわりがあるのか一度考えてみてはどうでしょう?もしかすると今まで気付かなかったことに気づくかもしれませんよ!

「食事」という作業

2021-12-26 11:53:00 | 日記
同じ作業でも「いつ」「誰が」「どのように」行うかで意味が変わってきます。

例えば、食事という作業。
出勤前に慌ただしく食べる食事。
休みの日に1人で好きな音楽を聴きながらゆっくり食べる食事。
家族で一日にあったことを話しながら食べる食事。
栄養がつくように補助食品を食べさせてもらう人。
体の調子が悪いので軟らかくしてもらって食べる食事。

施設や病院では、必要な栄養をしっかり摂ること、ムセないよう安全に食べること、時間内に食べることに意識が向きすぎていませんか?もちろん、それも大事です。

しかし、
その方にとって「食事」がどんな意味を持つのか。どんな場所で、誰と食べたいのか。何が好きで、何が嫌いなのか。どんなこだわりがあるのか。
食事が楽しみなものか、義務的なものなのか。そんな視点も大事ですね。

作業療法では、「食事」という作業をそんなことも考えながら行っています。

皆さんにとって食事はどんな作業でしょうか?




作業の多様性

2021-12-19 21:41:00 | 日記
皆さんは日々どんな作業をしていますか?

同じ作業でも、やり方やこだわり、作業をする意味や満足感は人によって違います。また今日と明日、体調の良い時と悪い時、どこでやるか、誰とやるかによっても変わることがあります。

講習会では、作業の多様性を体感してもらうため、朝起きてから出勤までの作業についてグループワークをしてもらうことがあります。

着替え、朝食、身支度とやる作業は少ないですが着替えてから朝食を食べる人、歯磨きをしてから着替える人、前日に着る洋服を準備しておく人など順番は人によって様々です。
また、会社のある日と休みの日では違うかもしれません。

朝食を義務で食べる人、栄養を考えて食べる人、家族と食べる物を合わせる人など意味合いも違います。

テレビを見ながら食べたり、通勤の車で食べたり、休みの日は喫茶店に行く人もいるかもしれません。

二日酔いの翌日はあまり食べたくないかもしれないし、風邪気味の時はいつもと違う物を食べるかもしれません。

作業療法では、その人が作業をどのようにやりたいのか、その作業にどのようなこだわりがあるのか、どんなところにやりにくさを感じているのかなどを聞いて、少しでもその人が満足のいくやり方や意味合いでできることを大切にします。

作業を知ることは、その人を知ることになると言っても過言ではないと思います。

次回も、もう少し別の視点から作業の多様性について書きたいと思います。楽しみにしていてください。