2014年の春も、「四角岳」を源流とする「瀬の沢」へ… 月の輪熊の生息調査に出掛けました。
《 雪崩を走破して → → → 右上流へ進む!》
鹿角市・瀬の沢(横羽根沢)
2014年4月27日(日)
行政も猟友会員の悩みに気が付いてくれたのか…今年は、約7~8年ぶりに「ライフル銃」使用許可を出してくれました。 これで少しは、本来の正常な【銃所持用途】に近づきました。 本日は生息エリアの「瀬の沢」支流を、5名が3班に分かれて調査しています。
100m先の10cmの的には当たらなくても… いざ!という時は、『一般人』を救済するため、凶暴な殺人熊を射殺できる腕前ぐらいは身に付けられるのではないかと思い、所持を続けてきて、正に2012年…八幡平熊牧場 からヒグマ6頭が脱走し、従業員2名が襲われ犠牲となる事件が発生!…
そして私が駆け付けた時点で、4頭は射殺するも「餌場」に2頭が隠れたため… ヒグマの退路の南側持ち場に着くよう首領の命を受け、即時「餌場」から沢の上流 50m地点の見通しの効く場所で 銃を構えた。 沢には垂直10mの砂防堰堤があり行き止まりなので、この手前からヒグマが国道に上ると大惨事になる。人間に向かうヒグマには誰も撃てないのだ! 私が真正面から対峙して戦うしかない。
長年の経験から、覚悟を決め即座に逃走経路は封じた。 建屋の40m下流にはライフル軍団が陣取っている。中央にはライフル銃3名と、その後方の国道には警察&消防が待機、そして50m上流の砂防堰堤前は私のライフル銃で、ほぼ完全に ヒグマを包囲した!
※この運動場の裏が、ヒグマ2頭の隠れた「餌場」です…
射殺されたヒグマ2頭
→ → → → → 私の位置
「餌場建屋」~沢沿いに逃げるコースは50m、沢から私の位置までは30m、私の立った位置の沢向かいは斜面がなだらかになっていて、ヒグマはここしか上れない地形だ。 斜面は30m、その上はオートキャンプ場の道路とコテージが建っている。 射手は私一人だ。 後ろに着いて来た3名はビビったのか、警察官が陣取っている中央辺りで3名とも動かない! その気持ちは私が一番良く分かる!
敵は一度も出遭った経験の無い、日本列島最強の猛獣、ヒグマ2頭だ!300kgなのか400kgなのかも分からない!怖くない人は居ないと思う! と云うか、もしも逃がしたら?どうなる?、あまりの重責に「正義感」が押し潰されてしまいそうになる。 ヒーローになるのか「恥さらし」になるのか? 殺るか殺られるのか? もの凄い プレッシャーである!
私は持ち場に着くまでに腹を決めた!【これは人間とヒグマの戦いだ!俺は鹿角市の射撃のチャンピオンだ!誰も知らないと思うが、何故俺がここに立ったのか、命掛けで見せてやる!】…ガタガタ震えがくるのを抑えようと自分を奮い立たせながらも…この条件では、上下二連銃のバックショット(6粒弾)なら絶対の自信があるのにと考えるも、今、手には「ライフル銃」のみ… (*.*)/
クレー射撃なら…時速100km超のクレーピジョンを 0.7秒 以内に撃ち落とせるが、ライフル銃の ランニングショットは、やったことがない!
私は慌てないように、イメージを組んだ。 餌場から「沢」に飛び出したヒグマは、足場が悪いので私の位置まで5秒はかかる。 オープンサイトを信じて正確に追尾すれば、2発・2秒以内では倒せる! 急所は考えず「頭を追尾」して撃てば、体のど真ん中に入り内臓を破壊する!転んだら、2頭目も2発以内で倒す…外れても あと2発、正面の斜面30mをもがいて上る「ヒグマの頭」を撃つと弾は背中に入り背骨を砕く、転びさえすれば…20丁のライフル銃から、ハチの巣のようにライフル弾を浴び絶命する。
これが瞬時に浮かんだシナリオである。 とにかく 体のど真ん中へ1発当てる こと! 必ず転ぶはずである!
スコープ照準の銃では、近場を全速で走る獲物を撃つのは…ほぼ【めくら撃ち】に近い!スコープを覗きながら、周りも視認するのは極めて難しい。 ライフルスコープの射手はいきなり熊に襲われたら、腰だめで撃つ距離まで近づけるしかないのでは?と思う。
特に「高倍率」で使用中は、もう悲惨です!
私がオープンサイトを選んだのは、クレー射撃で培った「両目」を開けて獲物を追尾するためなのです。 周りの状況を確認しつつ、銃身はしっかり【獲物】を捉える撃ち方でないと、人を安全・確実に助けることができないからです。
※参考までに…
アラスカの観光ガイドは、観光客の身を守るため『12番ショット・ガン(ポンプアクション)&装弾はバックショット(6~9粒弾)』 を使うのだそうです。何故なら…アラスカ熊はあの巨体でも、待ち伏せして薮から飛び出し襲って来る速さは【ガサッと!音がしてから1秒~2秒】であるとのこと!ガサッと音がした瞬間、安全装置を外し熊の顔面めがけて機関銃のように連射すると、バックショットの威力にたまらず退散するのだそうです!いくらアラスカ熊でも、パチンコ玉サイズの「鉛弾」を… 6粒×6連発=36発も顔面・体中に撃ち込まれたら、たまったものではないですよね!(* *) 突進して来る熊は顔面以外急所がなく、頭の骨はマグナム弾をも跳ね返すほど硬く、一瞬に絶命させようと脳みそを破壊するには 両目玉 からしか弾が入らない。 だから、ライフル銃で狙う余裕などなく、目玉に当らないと全員皆殺しにされる訳ですから、【ショット・ガン】を使うのだそうです。
でも悲しいかな、このオープンサイトでは、【技能講習(実は技能検定)】の100m先の10cmの的には当てれないと思う! ライフル銃の許可受験時も… ピープサイト銃で10発撃ち90点、オープンサイト銃では「30点」しか取れませんでしたから、おそらく【魔の検定】をパスできなくて、ここで 『ライフル銃』を止めるか? または、スコープ付きの新銃を買うか?… 決断の時がせまっているのです。
銃刀法か鳥獣保護法か、定かではありませんが…我々、猟友会員の【ライフル銃所持用途】には、『標的射撃』は無いのです。我々が所持を認められる銃種のうち、この【ライフル銃】の用途だけが、『①狩猟・②有害駆除』のみ許可されております。
ある日突然!所持許可更新時に【技能講習】を義務付けました。内容は【標的射撃】の実射です。『規定の点数』以上当らなかったら、所持許可更新を認めない!この論理は『警察学校の卒業規定』とか、体協やライフル協会の推薦で【標的射撃】のみの用途で所持した者に適用なら、世界中の人が納得できると思いますが…所持用途が《狩猟・有害駆除》のハンターに適用させる?というのは、あまりに稚拙無謀すぎる!
かって2011年8月26日…自民党さんが、参議院に提出した《特措法改正案》では、可決した年の秋には、長年『有害駆除』に従事する猟友会員は、特例として【技能講習】は免除になるとの内容が盛り込まれていたと記憶しております。 これが現法律では、最も優れた正しい認識である。 しかし、実際は各地方自治体の条例? 鳥獣被害防止計画 の策定などの手順が山積みであり、ボケッとしている市や猟友会では、あてにならない何年も先の話でした。
歳をとると…誰でも、目は霞むし腕は震えるし「伏せ撃ち」姿勢は苦しい。 息を止めて1mmも動かさないで撃つ【標的射撃】を強制するのは、老人虐待のようにも感じる! 野山では、酸欠になりそうなくらい何十発も撃つことは、まず有り得ない。
日本特有の文化でもある《 またぎ… 猟友会員 》は 今や「絶滅危惧種」と化し… 世界に類を見ないこんな【法律】のため、減少の一途である。
「佐比内沢」で別れた…梅戸君の『スコープ付きのサコー銃(バーミント)』を貰っておけば、こんなに悩まなくてもよかったのにと、しきりに悔やんでいる毎日です。