～虹の中へ～ 『ワンダと巨像』

あなたが再び目を覚ますこと

それが私の
決意と夢と 寄り添う影
近づこうとも離れるばかり

まるで夜空の星と虹
触れることの叶わぬ光

剣の意思に呼ばれるがまま
巨像を討つことひたすらに
固い石になりゆくその姿 羨ましくも思うほど
精魂尽き果て彷徨いし 砂漠で水追う浪人のよう
生きる意志を見出す時は 崩れ去る偶像の跡を
数える度に 自らの終わりを指折り思う時

あなたの声が聞こえる
針穴のような光から
確かなあなたの声なのか 私の虚しき幻聴か
もしもあなたであるならば 恥ずかしい思いであったろう
戦いの傷は多くなり しがみつくのもやっとなのだから
空から見ていたというのであれば話は別だが
目を覚ますその頃には あなたに会わせる私ではないかもしれない

冷たい頬


最後の巨像を討ち倒し 呪いの血が私の体を貫いた
目の前は闇に覆われ 剣はようやく私の手から離れていった

誰かの声が聞こえる 遠くから責め立てているようだ
小さな光から声が聞こえる 私は光へ歩いていった
もうあなたが近いと信じていた
突然左腿を貫く激痛 私を阻む存在に追いつかれたようだった

私は禁術を行った 自分の命を引き換えに
一人の魂を呼び戻すのだ
虹を追うなど 愚かな行為だ
美しさに近づけば それは見えなくなるもの
人の夢は儚いものと よく言うものだ
その儚さに 私は命を賭けた
あなたに生きて欲しかった

腹部に痛みが走る 剣で刺されたようだった
血が吹き出る その血が闇となって視界を覆う
足の先から頭の先まで 闇の冷たさと安らかさに包まれて
私は倒れた



私はあなたを腕に抱いています 赤子のあなたを
私が知るあなたの姿は 今は見えてないけれど
すべてを見ていました 闇の中の星のような光から
私は生きています そしてあなたも生きています
虹の中にいます
さあ 目を覚まして


ワンダと巨像 ～祝9周年～ イコブクロ