なんだかなかなか眠れない のは
昨日飲んだ 美味しいコーヒーのせいなのだろうか。
それとも理由は他にあるのか 多分もう1つのほうだろう。
フクシマ というものに 私が興味を持って
なんだか自分ごとのような感じになっていったのは
私の場合は仕事で行くことになったからというのが大きくて
いったいどういう状況なのか それからフランス語で書かれてた
コンタクトをとるということになっている人たちは
どんな組織でいったい何をしている人なのか
そういうことがわからないから 勉強しよう 知ってみようと
そういう気持ちが強かった。
原発のこと?フランスに居たときはかなり興味もあったし
ニュースがあったらなるべく理解しようとはしてた。
日本に帰って日本語のニュースに飢えてた私は本屋さんで
情報を読みあさったし 今どうなっているの?と議論した。
その時話した男の子 が こう言ったのをよく覚えてる。
「みきさん なんだか浦島太郎みたいですね。
2ヶ月前くらいはみんなそういう話をしていたけれど
最近はすっかりしてないですよ。なんだかちょっと懐かしいなあ」
それは7月のことだったから 彼によれば 東京に住んでいる
彼のまわりでは 5月くらいからはもう原発が話題ではなくなったらしい。
本当かよ?と思ったけど 私もその後2週間くらいしてみると
そんな色に染まっていって 彼の言った通りになって
帰国直後はやたら誰とでもそんな話をしていたけれど
そのうちしなくなっていた。
だからフクシマ というものに 再び興味を持つまでに
何ヶ月か 私にとってはなんだか普通な 特に夏の節電モードが
終わった頃から 何事もなかったような もういろんな事を
忘れてしまう そんな生活を送ってた。
そうしてこの仕事の話があって、どうしてもやりたい!と思い
それからいろんなことをまた調べ くる直前に ようやく
福島の活動などの見取り図がちょっとわかったような気がして
それにセシウムの値が上昇してるといわれているのに
その中に入り込むことになっていたから 福島というものが
だいぶ自分ごとになってきた。
インタヴューをするにつれ 沢山の人と関わり
目の前にいる人たちが 「まさかそんなはずないよね?」と
思いながら質問をした「何か身体に変化を感じたりしたことはありますか」
というものに「あります」と答えたことに 私は驚きを隠せなかった。
「例えば?」とソフィーは聞いてくる。フランス人ジャーナリストは
しっかりと痛いとこまで突いてくる。「例えば身体がだるくて学校から
帰ってきても寝てしまったり、鼻血がでたり、疲れやすくなったり、、、」
マスクをしながら質問に答えてくれる彼女に ソフィーはこう聞いてくる。
「マスクはいつもしているの?」「1回やめたけど今はしてます」
「どうして?」「夏くらいには本当に暑かったし嫌になってやめたけど
姉妹3人で被爆量を検査したとき 一番下の、保育園で外遊びをしてない
子は低かったけど 私が一番高かったから」
そう そうやって 数字をみて 数値というものに驚いて
行動を変える人たちがいる。昨日は母乳で赤ちゃんを育てている人に
ソフィーはこう質問をした。「母乳の検査はしましたか?
母乳から放射性物質が出たという話もきいたことがあるんですが、、」
質問をしながら私もまさかないだろう、子供の尿からセシウムとは
きいたことがあるけれど それだってきっと少人数に違いない、と
思ってた。ところが質問を受けた彼女はこう言った。
「はい あります。」
「その時はショックでしたか?」「ショックでした」
「数値はどれくらいだったんですか?」「これくらいでした」
「それはどんな数値だったんでしょうか 高いのか 低いのか
心配のないレベルなのか、、」「はじめは数値だけみても 高いのか
低いのか それが何を意味しているのかもわかりませんでした。
でもこれを見て、先生は1ヶ月間数値を下げる努力をしましょうと言いました。
それでリンゴとかリンゴジュースを飲んだり ペクチンのあるものを
とったりして、、、そしたら1ヶ月後にはセシウムが0になったんです!」
この話は印象的で 目の前にいる笑顔の素敵な彼女が実際にそういう経験を
したということ、そして放射性物質を排出することができたということ
どちらもとても驚きだった。そう 福島では食に対する意識が高い人は
めちゃくちゃ高くて(私たちはそういう人にしかあってない)
彼女たちは 野菜はだいたいインターネットで買っていて
決まって言うのは西日本か九州か 北海道の野菜ならいい。
でも福島近郊のは関東も含めてなるべく買わない ということだ。
私たちが地元のスーパーで声をかけた買い物中のお母さんですら
同じことを言っていた。そして彼女たちの多くはそれまでは地産地消派だったのだ。
「がんばろう福島!」ののぼりの横で 福島の野菜を応援している店もある。
スーパーでだって宣伝している。その横を私はなんとも言えない気持ちで通る。
私たちが出会った人たちはほとんど福島どころか東日本の野菜を食べてなかった。
一方で野菜を売りたい人もいる 福島にいて そんなに意識をしていないと
いろんなところで出てくる料理はおそらく福島産のものだろう。
それに一瞬ドキッとしないこともないけど(例えば誰しもが口をそろえて
水道水は飲まないというけど 外食をするしかない私たちが
食べに行って出される水はミネラルウォーターのわけがない)
誰が悪いわけでもない。誰も悪気なんかなくって 事故の起こる前までは
そういうことになっていたのだ。30年有機栽培をやっていたけど
畑を捨てた人だっている。それまでは地産地消 で 福島の野菜に
誇りを持って お米だって知り合いからもらってああ美味しいね と
食べていた そんな人たちが地元の農作物から離れていった それは
彼女たちにとっても簡単なことじゃないだろう。
数値 が 人を変えるのだろうか
誰だって知らないでいたい 知れば知る程こわくなるから。
「今怖い事はなんですか?」という質問に 郡山の人はこう答えてた
「怖い事 こわいこと ねえ、、、特に今これ!っていう感じはないけど
しいていうなら忘れそうになることがこわい。みんなけっこう日常生活を
送っているし 放射能は目にみえないから 洗濯物とか外に干してるのをみると
普通の生活が送れるんじゃないかって思っちゃう。こんなことしなくても
いいんじゃないかって」「それを引き止めるものはなんですか?」
「数値 ですよねえ、、、それを見る度にやっぱりもう元の生活じゃないって思う。」
野菜の数値を計りにいったり 時には「ホールボディカウンター」
というもので 自分の内部被爆を計ったり。「ホールボディカウンター」は
福島市では今現在ではまだ使えるところは少ないらしく、昨日は
ついに毎日耳にする「ホールボディカウンター」を見る事ができた。
ソフィーが写真をとるのに絵にならないから、ちょっとこの子を
座らせてもいいかしら?と聞いて、いいですよ と言われたので
コートを脱いで座ってみる。最近私ものどの調子がなんだかよくないし
細胞が気持ちよくないような気がしてるので 本心ではこのまま
計ってほしかった。すると係の人がやってきて じゃあ計っちゃいましょう
名前は、、、?と聞いてくれる。どきどきして結果を待ったら
なんと私の身体の中にも セシウムが検出されたのだ。
つまり 3ヶ月フランスにいて 7月から横浜で無知な状態で
特に気をつけずに生活していた 私は内部被爆をしていたということ。
しかも数値はおそらくこの施設の人たちの表情からすると
「意外と高いね」という感じらしくて かなりショックを受けてしまった。
それから福島の人に話すとみんな「え えー!!!」と
彼女たちがショックを受ける。あなた神奈川に住んでいるのに?
ホールボディカウンターは内部被爆を計るものだし
福島に5日くらいいたって外部被爆はそんなにないって
ソフィーだってフランスの放射能関係の施設の人に言われて来たし
福島の人も「今は線量はそう高くない」と言っている。
この数値 だけ見てみたってそれが高いのか 低いのか
いったい何を意味しているのか わたしにもさっぱりわからなかった。
まさに朝出会った彼女が言ってたように。
施設の人は「福島の平均よりは低いですね」とそれだけ言った。
なんせこの機械は福島にだって今はほんのちょっとしかないから
関東の人の平均なんてわかりようがないらしい。
それでも以前神奈川からきた高校生も「ちょっと寄っていきなよ」
といわれてやったらセシウムがけっこう出たらしい。
ショックを受けてる私に福島の人がこう言った。
「放射能には放射能と放射線っていうのがあってね
ベクレルっていうのはたとえばお米1つぶの中に
放射能がどれくらい入っているからしいんですよ。
蛍でいうと蛍が放射能であの光が放射線。放射線を
計るのがマイクロシーベルトで、つまり飯田さんが
やったのは牛とか野菜みたいにあなたの中にどれだけ
放射能が含まれているかを検査したってことなんですよ」
そうか そういうことだったのか、、、
でもそれはとても恐ろしい。
放射能は細胞を老化させていくらしい。
そうして元気だった細胞が弱っていって
かんたんに治る風邪でも長引くそうな
これが兆候?どれが兆候?それともただの勘違い?
私たちにはわからないし お医者さんは曖昧なことしか言わない。
数値が出ても それが何を意味するか じゃあどうしたらいいのかは
あんまり誰も教えてくれない。私の細胞は 私の身体は
これからどうなっていくのだろう 身体の中に
放射能というものがある それを思ってみるだけで
恐ろしくって眠れない。神奈川にいて「普通に」生活を
していた私は 「福島の人の平均よりは低い」程度に
内部被爆をしていたらしい。首都圏にいるみなさん
私はたまたまこの機械に座らせてもらえる機会があっただけ で
おそらくこれは 他人事じゃ本当にないですよ。
とにかく今日からリンゴを食べて
なんとか排出の仕方を教わろう。。。
どうかみなさん、「大丈夫??」なんて
他人事のように心配しないで 自分もそうであるかもしれない
そのことに気づいてみてください。
本当に 福島は他人事ではない ということです。