伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

中村県知事の伊方再稼働同意説明(15年10月26日)へのコメント

2016-02-08 11:29:29 | 県議会

伊方再稼働を認めた中村県知事の発言へ、おかしな箇所のチェック入れをしてみます。コメントの赤字の部分を、少しずつアップデートしていきます。

 


 平成27年10月26日 伊方原発3号機の再起動に係る事前協議に対する了解について

[記者会見の動画はこちら](外部サイトへリンク)

 伊方原発3号機の再起動については、かねてから、「国の考え方」、「四国電力の取り組み姿勢」、「地元の理解」の3条件が整ってから判断する必要があると申し上げてきたところですが、先日の伊方町長の再起動を容認するとの報告により、条件が全て出そろったことを受け、これまでのさまざまないきさつ、伊方原発を取り巻く状況、それから国全体のエネルギー情勢等も考慮し、あらゆる条件を全て咀嚼(そしゃく)して熟考した結果、本日、伊方原発3号機の再起動に係る事前協議について、了解することとしましたので、ご報告します。

また、私の判断の表明に当たっては、生の言葉でお伝えすることが重要と考え、記者会見の動画を確認できるようにしておりますので、ぜひご覧ください。

 福島第一原発事故が発生してから4年半が経過しましたが、その間、事故の原因や伊方との違いを踏まえ、考えられる対策を打ってきました。

IAEAの報告書では、福島第一原発事故は津波による全電源喪失が原因であるとされています。このときの地震は、太平洋プレートが沈み込む境界でひずみがたまり、陸のプレートが跳ね上がって起きたプレート型(間)地震で、震源地は三陸沖の海底約1万メートルの深い場所でした。深海であったが故に海水の容量も膨大で、10メートルを超える津波につながったものと推測されています。そしてその大津波により、高さ6メートルの敷地にある設備が損傷し、建屋の地下に設置されていた非常用発電機も浸水し機能しなくなり、全電源喪失の原因となりました。「津波地震」となる、より遠い目の震源域部も動いたとされているはずです。

愛媛県の近くで同様のプレート型(間)地震が発生する可能性があるのは、四国南方沖を震源とする南海トラフ巨大地震ですが、その伊方発電所での津波評価は2.45メートルとなっています。また、他の震源としては、敷地前面の中央構造線の活断層群があります。この断層は横ずれ断層です(長大な横ずれ断層の西側末端部なので、断層面が南側に潜り込む逆断層的な構造になっているのではないか、との指摘有り)ので、基本的には津波は発生しないものであります(沖合6キロと8キロの二つの断層面の間には窪みが形成されているので、この間が上下方向に動くということは、津波発生にも寄与するはず)が、縦ずれが起こった場合を仮定して評価し、さらに土砂崩れも同時に発生するという最悪の状況を想定した場合にも、水深が約80メートルと海水量が福島沖に比べて著しく少ないこともあり、伊方発電所での津波は、伊方発電所の敷地の高さ10メートルよりも低い8.12メートルとされています。(津波は波長が著しく長い波なので、津波高と浸水の標高は大きく異なることが知られています。堤防なら一時的に高くなり乗り越える、ただの岸壁は駈け上がる挙動を示すことから、この数字では浸水を防ぐ安全な余裕があるとは言えません)(また、津波シミュレーションの精度は倍/半分」程度の誤差が生じるレベルのものであることは、90年代から経産省の顧問の専門家がつとに指摘してきたことが、本「原発と大津波 警告を葬った人々」岩波新書1515にも出てきます)しかしながら揺れのリスクは福島第一原発と同様に存在すると考えました。

このような福島第一原発と伊方原発の置かれた状況の違いを踏まえた上で、四国電力に対しては、本県独自の電源対策や揺れ対策などのアディショナルな安全対策等8項目の要請を適宜行うとともに、エネルギー政策をつかさどる国の考え方を明確に引き出し、県民の皆様にお伝えすることに注力することがまず自分の任務であると考え、対応してきたところです。

まず、「四国電力の取り組み姿勢」についてです。あえて言うまでもなく伊方原発の安全確保は、一義的には事業者たる四国電力にありますが、四国電力から事前了解願いが提出され、さらに、国が再起動の過程で地元の同意を求めてきた状況の中、地元を代表する県知事として、その判断には重大な責任が伴います。だからこそ、伊方原発の敷地特性を踏まえた地域の視点での追加対策が重要と考えたのです。これらについては、私自身現地視察も行い、新規制基準への対応も含め、真摯に対応いただいていることを確認しました。

[添付資料1(発表時パネル):独自の追加安全対策の要請(福島原発事故以降四国電力へ)](外部サイトへリンク)

[添付資料2(発表時パネル):県が四国電力に求めた追加安全対策(例)](外部サイトへリンク)

次に、「国の考え方」については、国の審査と並行し、県としても、伊方原子力発電所環境安全管理委員会及び同原子力安全専門部会において安全性の検討をお願いし、国の審査結果は妥当であるとの結論をいただくとともに、エネルギー政策上の必要性から伊方原発3号機の再起動を進めるとする国に対しては、必要な要請や考え方の確認を行い、特に、万一の事故の際には国が最終的な責任を負うということについて、総理の口からその考え方を直接お聞きすることにこだわりました。

[添付資料3(発表時パネル):国への8項目の要請(H27年7月21日経済産業大臣へ)](外部サイトへリンク)

そして、「地元の理解」については、立地町である伊方町や隣接の八幡浜市から伊方3号機の再起動を了承するとの報告があったほか、UPZ内5市町(大洲市、西予市、宇和島市、伊予市、内子町)からは私に判断を委ねるとの表明があり、県民の代表である県議会においても、伊方3号機の再起動の必要性を認める決議がなされたところです。こうした状況は、逐一県民の皆様をはじめ、周辺県に対しても情報提供してまいりました。

今回の再起動への了解は、非常に重い責任を伴う判断であると認識しており、了解に当たって、原子力安全専門部会や県議会、周辺市町等からいただいた意見・要望を踏まえ、四国電力に対し、事前協議の了解の通知と併せ、今後の国の審査や検査に安全第一で真摯に対応することなどを要請しました。また、国には、工事計画及び保安規定の適切な審査や、厳正な使用前検査、原子力防災対策への支援などを要請したところです。

[添付資料4:四国電力に対する事前了解文書](外部サイトへリンク)

[添付資料5:関係省庁に対する事前了解通知文書](外部サイトへリンク)

県としては、絶対に過酷事故を起こさせないとの決意のもと、今後とも、四国電力に対し、県民の安全・安心の向上に向けて、伊方発電所の安全対策に不断に取り組んでいくよう求めてまいります。

平成27年10月26日
愛媛県知事 中村 時広

 

 

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