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ラグビーW杯 台風19号 横浜国際総合競技場 浸水 冠水 大雨 復旧作業

2019年10月20日 17時16分58秒 | ワールドカップ


開催を支えた懸命の復旧作業 横浜国際総合競技場
  横浜国際総合競技場は、横浜市が2002FIFA ワールドカップ日韓大会の決勝戦を開催するために、603億円を投じて建設したスタジアムで、1998年に竣工、収容人数約7万2000人の日本で最大のスタジアムである。
 スタジアムは、鶴見川の下流域に整備された新横浜公園の一画に建設された。
 実は、新横浜公園は、鶴見川の多目的遊水地で、大雨で鶴見川が増水して氾濫の恐れが発生した場合に、河川水を流入させて洪水の被害を削減する機能を担っている。広さ84ヘクタール、総貯水量は390万立方メートルの巨大な遊水地である。
 鶴見川は過去にたびたび氾濫した「暴れ川」と呼ばれていた。
 戦後も1948年のキティ台風で2000戸以上の浸水被害、1956年には豪雨で120戸が浸水、1958年の狩野川台風では約1万7000戸が床上浸水、約5万戸が床下浸水がおきるなどなどたびたび氾濫してきた。
 建設省(国土交通省)は鶴見川の治水事業にとりかかり、鶴見川が鳥山川と合流する付近を多目的遊水地とする計画で造成工事を始めた。1997年に「鶴見川多目的遊水地」が完成し、その中に横浜国際総合競技場も竣工した。
 2003年から供用開始され、遊水地には過去20回以上の増水した河川水を引き入れて遊水地を浸水させ、洪水の被害を最小限で抑えている。2014年10月の台風18号では日産スタジアム1階の駐車場が1・9メートル浸水した。横浜市民には水害から街を守る「安全装置」なのである。
 遊水地は公園として整備され、野球場、サッカー場、テニスコート、バスケットコート、運動広場がある総合運動公園になっている。平常時は市民の憩いの広場である。しかし、大雨で鶴見川が増水すると遊水池なので冠水することになる。
 横浜国際総合競技場は、この遊水池に1千本以上の柱で支えた人工基盤をつくり、その上に施設を造る「高床式」で建設された。2階は選手の控え室、3階はピッチ、4階以降は観客席で2階以上が浸水することはないが、1階の駐車場や通路、周辺の公園は冠水する。しかし冠水しても、スタジアムは2階に相当する高架式通路(ペディストリアルデッキ)で遊水地外と結ばれているため、関係者や観客の出入りに支障はない。


鶴見川多目的遊水地 出典 国土交通省 京浜河川事務所

 台風19号の記録的な大雨で、12日午後には鶴見川の水位が一気に6.58メートル(通常0.8メートル)まで上昇したため、可動式の堤防の一部を下げて遊水地への河川水の流入を午後8時50分に開始した。遊水地への流入は13日午前0時10分まで続き、貯水量の上限390万立方メートルの約4分の1の93万6000立方メートルという大量の水が流入し、新横浜公園は、「計画」通り「水没」した。
 京浜河川管理事務所によると、台風19号では東京都町田市で総雨量が最多の344ミリとなり、流域の平均雨量は約290ミリを記録。遊水地には約93万6千立方メートルの水が流れ込んだ。付近の亀の子橋観測所では12日午後4時すぎに水位が6・58メートルに上昇したが、「遊水地がなければ30センチほど高く、氾濫危険水位(6・8メートル)を超えていたと推定される」という。


可動式の堤防を下げて鶴見川(写真左)から新横浜公園(右)に水を流入させた(10月12日)  出典 ウェザーニュース 2019年10月19日

 遊水地への流入は、2003年に運用を開始して以来、台風19号で21回目。これまでの最多の流入量は2014年10月の台風18号による約153万6千立方メートルで、2004年10月の台風22号でも約125万立方メートルが流れ込んだ。
 横浜国際総合競技場では、スタジアム1階をテレビ中継車などの駐車場として使う予定だったが、その代替地をすでに人工地盤の上に確保してあった。また1階部分にあった備品や2階以上に避難させ、駐車場の精算機、自動販売機などはあらかじめ撤去して浸水に備えた。
 スタジアム1階の駐車場や通路の浸水は一時、80センチ近くに達したという。
 13日深夜1時20分ごろより、鶴見川の増水も収まり、排水門を開けて遊水地にたまった水の排水作業を開始したが、朝を迎えても、スタジアム周辺は一面、浸水したままであった。まるで、スタジアムは湖面にそびえる「水城」のように見えた。


台風19号で冠水した遊水地 出典 横浜国際総合競技場


台風19号で冠水した遊水地と横浜国際総合競技場  出典 横浜市体育協会/ウェザーニュース 2019年10月19日

 さらに暴風で施設の一部が破損し、破片や瓦礫、土砂などがスタンドやピッチに散乱した。
 前日夜から台風の襲来に備えて泊まり込んでいたスタジアム関係者は、夜明けと共に復旧作業を開始、大雨で冠水した着替え室などの泥水をかき出し、ピッチに散乱した瓦礫や泥をバキュームポンプで吸い取る作業を開始した。電気系統の点検にもいち早くとりかかった。
 午前6時過ぎから、管理スタッフや警備員、ビールの売り子ら総勢約2000人が相次いで駆け付け、土砂の清掃や大型スポンジを使って通路の雨水の吸引作業などに全力を挙げて取り組んだ。
 スタジアム2階の選手控室や3階のグラウンドは大きな被害はなかったという。
 そして、交通機関の混乱などの影響で、人手不足や物資の配送ができず、一部売店の閉鎖などもあったが、無事、試合開幕にこぎつけたのである。

ワールドラグビー(WR)と組織委員会は、会場の台風による影響を早朝から検査を続け、昼の12時過ぎになってようやく、一部施設の破損は見られたものの、試合開催が可能であると判断し、試合開催を発表した。
 しかし、公共交通機関の乱れに伴うスタッフ不足、設備の破損等により試合開始時間までに準備が整わない売店の一部は休業となったり、販売員が削減されたりする可能性があった。このためスタジアム内では飲料不足が予想されるため、飲料(ソフトドリンクに限る)の持込を許可するという当別措置を講じた。

 スコットランド協会は、試合が開催できない場合は日程や会場を変更してでも行うべきで、無観客試合でも構わないと訴えていた。英メディアによると、中止となった場合は主催者側への法的措置も検討したという。

 試合開催の決定を受けて、スコットランド代表の公式ツイッターは「今日の試合のためにスタジアムを準備してくれた皆さんに感謝します。そして、台風ハギビスに遭った日本の方々のことを願っています」と開催に尽力した関係者への感謝と、台風被害を受けた日本人に対するエールを綴った。

 台風19号の記録的な大雨、洪水被害を防いだ遊水地、冠水した横浜国際総合競技場、そして懸命の復旧作業で日本vsスコットランド戦の開催にこぎつけた組織力、自然災害の危機管理の考える上での貴重な経験となった。
 来年の夏は、2020東京五輪大会、ラグビーワールW杯と同様に、開催期間中台風や集中豪雨の襲われる可能性は大きい。五輪大会は、ラグビーワールW杯よりもはるかに規模が大きく広範囲に影響が出ることが予想される。大会の危機管理にどう取り組むのか、大会組織員会の真価が問われる。





ラグビーW杯2019日本大会 日本代表初の決勝トーナメント進出
~試合結果 Topics 放送予定 選手情報~


ラグビーワールドカップ2019日本大会開催地

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2019年10月14日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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