命きらめいて☆馬、犬、猫など動物に関する理不尽な事件や心温まる出来事の記録

円山動物園マレーグマ虐待死亡事件/脱走シマウマ水死事件/動物虐殺事件/宮古馬放置死事件/上げ馬神事

マスコミの功罪

2016年06月04日 09時40分32秒 | 事件
いろいろなニュース記事を調べて行くうちに
○新しい飼い主は移動動物園での展示を目指していたこと
○国道での目撃情報からバロンを見つけ出した警察がバロンを人家から遠ざけるために、ゴルフ場へと追い込んだらしいことが新たに分かった。

こういう場事件というのは人命第一が大前提だ。動物が二の次だと言うことも理解できる。人里に現れた熊や猪なら銃で仕留めるという作戦になるはずだ。しかし、捕獲チームは所有者の意向もあったのだろう、シマウマにしては比較的おとなしいバロンの生け捕り作戦を展開することにしたようだ。

一見手っ取り速そうな「一気に網をかぶせて生け捕る」という方法は避けられた。衝撃やストレスに弱いシマウマなのでショック死の可能性もある。人馬ともに負傷するかもしれないというような危険性も高いので避けられたのだろうか。それらの理由から、「ゴルフ場という安全地帯から逃げないように取り囲んだりして誘導しながら、吹き矢の麻酔で眠らせて捕獲する」という作戦を選択したということならば最善の作戦だったと思う。

しかし、映像を見て驚いた。乗馬クラブ関係者、飼い主、獣医、警官たちが誘導だけではなく、上着、吹き矢、ロープ、小枝などで何度もむやみにさわったり、叩いているではないか。余計に興奮させていたのはどういう意味があったのだろうか。疲れさせて早く麻酔が効くようにとでも思ったのだろうが、反対に興奮して危ないし、そのために麻酔が効きにくくなるというのに…。

麻酔で眠らせる作戦ならば、麻酔が効きやすいようにじっと見守る方向で取り組んでほしかった。誘導するには上野動物園のシマウマ捕獲訓練のように声を出しながら人でバリヤを張れば、そちらの方向には行かず、空いている方向に行くはずである。盾があれば安全に誘導できたのにと思う。なければバスタオルなどを広げて阻止するでも良かったのではないだろうか。何もないよりもましだ。

しかし、彼らは一般的な1-3回ではなく7回も麻酔を打ち込んでより恐怖とパニックを誘発し、なぜかロープでも捕まえようとしていた。網よりも高いその危険性については前にも書いた通りである。

とにかく、あの現場の状況は本当に理解に苦しむことばかりだった。

報道するマスコミも民間が起こした事件だからなのかもしれないが、カメラマンがわんさか取り囲み、新聞社とテレビ局総動員でお祭り状態だったのだ。恐怖のあまり奇声をあげるレポーターもいたし、大勢の人間たちと上空のヘリの音でさらにバロンを興奮させたことは否めない。

それらが無ければ興奮して逃げ回ることもなく、もっと早くに麻酔が効いてきて、7本目を打たれることは無かったのかもしれないことを関係者は考えてみてほしい。とは言っても、お陰で詳細がわかるし証拠動画もたくさん残ったのだが、陸から空からと、多くの人間や機材に追い回されるバロンが本当に気の毒だった。



そのように多くのメディアが現地にいたにもかかわらず、報道の内容は統一されてはいず、以下ような間違いや偏りが見られる報道となっていた。

●動物園からバロンを乗せてきた輸送車から、預け先の放牧場に入れられたとたんの脱走なのに、「農場に飼われていたシマウマ」と報道するところが多かった。

●バロンが生まれた場所も確かめず、「アフリカから来た」と思わせるようなコメントなどをして、みんなに天王寺動物園でかわいがられていたバロンだという報道するメディアは一切なかった。

●池から引き揚げられたとき、目を見開いたままの心肺停止状態で事実上死亡していて、警察もそう発表しているのに「捕獲されたがその後に死亡した」と報道していた。(捕獲とは生きた状態での言葉)

●飼い主については第一報では企業名はなく本名で、乗馬クラブについては企業名で報道された。その後はずっと「所有者の男性」のような表現で書かれ、一方、「瀬戸市の乗馬クラブ」ではなく、乗馬クラブの企業名はさらされ続けていた。

●ある番組ははしゃぎ過ぎて、運動能力の高いタレント武井壮にシマウマ捕獲オファーをしたらしい。

「陸上選手でタレントの武井壮(42)が、死んだ脱走シマウマを捕獲する企画のオファーが来ていたことを明かした。」
http://konomi.me/I0002708
さまざまな動物の倒し方をシミュレーションするネタで知られ「百獣の王」の異名を持つ武井は、23日にツイッターで、「番組からシマウマ捕まえに行ってくれってオファーが来てた」と明かす。どうやらオファーは断ったようだが、「こんなことになるなら行って優しく捕獲できてたら良かった」とシマウマが死んだことを嘆いた。
(出典:百獣の王・武井壮、脱走シマウマ捕獲オファーあった (日刊スポーツ) - Yahoo!ニュースより)

円山動物園のマレーグマ虐待死事件からマスコミの報道は鵜呑みにできないと知り、さらに今回のことで、ジャーナリズムに真実の追及精神やその誇りを感じられなくなってしまった。

というのは、尾張旭市のイベントなどに活躍していたバロンの所有者はその社名が報道されることはなく、FBを閉じてしまえば、隠れてしまうことができた。強い後ろ盾があったのだろうか?かたや、預かった乗馬クラブは日本中に名前をさらされて、不名誉という大きな損失を被ることになった。この理不尽はいったん何なのだろう。責任の重さに違いがあったとしても、あまりに大きな差である。

コネや後ろ盾の問題で真実を報道したりしなかったりするのだろうか?マスコミは売り上げが伸びたり、視聴率が上がればいいのだろうか?すべてが終わってしまった今、捕獲チームサイドを詳しく取材して、発表するくらい骨のあるジャーナリストはいないのだろうか?

お祭り状態で報道合戦をした結果、バロンは興奮し逃げ回り、麻酔がよく効かなかった可能性は高く、それがなかったらうまく行ったかもしれないのに、と思う人は少なくないと思うのだ。


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