最愛

不思議なことがあった

かりんのお葬式の次の日
最後庭で一緒に過ごしたテーブルに
羽化したてのような
小さな白黒のアゲハ蝶らしき蝶々が
とまってた
見てたらテーブルをうろうろ歩いて
かりんの色と思って買ってきた
お花の植木鉢にとまった

用事をしてまた見に行ったらもういなくて
そのまま椅子に座ってたら
またどこからともなく飛んできて
庭の木をうろうろして
今度は下のタイルに留まってじっとしてた
羽ばたくでもなくじっと

次の日は用事でバタバタしていて
それでも庭を気にかけてたけど
見かけることはなかった

そして次の日は土曜日で
お昼にまたやってきて
今度は家庭菜園側のちょっと道みたいになってるとこに
留まってうろうろ歩いてる
ちょうどしげやんが来てくれたから
一緒に見てた
しげやんも地面を歩く蝶々なんか見たことないって
言ってた
しげやんが帰ってまた見たらもういなかった

用事があって早く帰ってきたパパが
ゴーヤの手入れをしてると
またやってきてうろうろと周りを飛んだ

ちび兄を呼んで
ちび兄がやってきて指を差し伸べたら
その指に留まった
ちょっとまじっとしてて
今度は私の方に来て
私の右下腹のところに留まって
じっとしてた



きっとお別れを言いに来たんやね
朝おトイレに行って倒れて
あっという間のお別れやったから
ちゃんと来てくれたんやね
ありがとうね
そしてごめんね

もっともっと
ちゃんとしてたら
もっともっと
一緒にいれたかもしれへんのに
本当にごめんね

でもママもありがとうって伝えられたから
来てくれてほんとにありがとうね



次の日は一日中雨で
今日は朝から晴れてるけど
待ってるけどまだ来ない

きっと
あれが最後ってわかってる

毎日泣いてるから
何もする気がおきないから
来てくれたのもわかってる
ごめんかりん
でももうちょっと泣かせて
もうちょっとゆっくり時間をかけさせて






信じる信じない
感じる感じないは
人それぞれ

でも
私はかりんが最後に会いに来くれたと
そう思いたい
そう思ってちょっと顔を上げたい





かりんは
庭に出るのが好きやったもんね
開けると走って飛び出してた

庭でいっぱい遊べたかな
自由に空を飛び回れるなんて
かりんにぴったり


もうしんどくないよね