【将棋】山田定跡をひたすら称賛するブログ

居飛車急戦党が、日々の対局記録を綴ります。
活動場所はリアル(将棋道場)がメインです。
あと、本の感想が少々。

香落ち対策(vs4三銀型四間飛車)

2024-12-12 21:41:39 | 将棋

私は二段なので、四段の方を相手にするときは香落ちの下手を持ちます。自分が負けることの方が多いにもかかわらず、お相手の方々からは苦労すると言われます。

というのも、下手で香落ちを咎めようとする人は珍しいらしく、お相手が普段指している感覚からすれば面食らうみたいです。

確かに、わざわざ香落ちの定跡を調べる人は珍しいでしょうし、定跡を知らなければ咎めるのは難しいでしょう。ちなみに、香落ち定跡は奨励会員の練習向けであって、上手の形の僅かな違いで攻め筋が変わるので、実戦的には下手が勝ちにくいようです。

しかしながら、将棋の知らなかった面に触れることもできるので、今、将棋道場では香落ちが密かなブームとなっています。

 

今回は、四段のつよつよ常連さんとの対局を振り返ります。香落ちでは上手は飛車を振るのが常道でして、お相手は四間飛車に構えられました。

所司先生によれば、四間飛車に対して下手は矢倉引き角と棒銀が有力らしいです[1]。5七銀左急戦党としてはどちらもやりたくないのですが、棒銀の方がマシですかね。

以下、▲3七銀、△5四銀の交換が入って…。

次は▲2六銀が本筋らしいのですが、仕掛けが生じるとつい敢行してしまいます。▲1五歩、△同歩、▲2四歩、△同歩、▲1五香、△1三歩。

本譜は右銀を捌きたくて次に▲4六銀としましたが、一歩持っているので替えて▲3五歩が明らかに勝りますね。何やってんの。

 

局面を戻して、有識者によれば、上手が△4三銀と上がった瞬間に軽い仕掛けがあるみたいです。

以下、▲1五歩、△同歩、▲2四歩、△同歩(同角も難解)、▲1五香、△1三歩、▲同香成、△同桂、▲1八飛、△1二飛。

▲1四歩、△2五桂、▲1六飛、△1一香、▲1三歩成、△同飛、▲同飛、△同香、▲2三飛で下手良しとのことです。

なので、上手は3二銀型で待つのが本筋らしいのですが、もし今度の対局でお相手が△4三銀と上がられたら、上述の仕掛けをやってみたいと思います。

 

【参考文献など】

[1] 所司和晴、「【新装版】駒落ち定跡」、日本将棋連盟、pp.  433, 440、2023年

 


5七銀左急戦で、四間飛車側が変化した時(その1)

2024-12-01 09:02:22 | 将棋

申し訳なくもここ3カ月の間、当ブログを更新できませんでした。自身が担う製品開発が最終段階に入って忙しくなったためです。性能試験が終了した後、社内の方々から賛否両論を頂きました。私自身、仕事の方法上マズかった点を自覚しております。批判に対して反論すべきところは反論する一方で、正当なものは謙虚に認めるつもりです。

それでも、ごく一部の方々(年配に多い)に限られるのですが、最初から答えを決めつけてしまっており、そのストーリーを支持する数字をボトム側の人間に言わせようとする態度に対しては、正直言って不快に思っていました(これぐらいは書いても問題無いでしょう。産官学のどこでも起こっていることです(※1))。しかしながら、最近、このような硬直的態度を取る気持ちが分かる場面に遭遇しました。

行きつけの将棋道場である子が昇級したので、こう言いました。「その年齢で○級はすごいね。おじさんは30歳の時、君と同じ級位だったよ。」その子の反応を見て、私の頭の中に以下のような自省が湧き起こりました。もしかして、青春は若者だけの特権と断定している節があったのではないか(年配の方々から見れば、私は若輩者です)。

確かに人の性格は変えられません。しかし、それはおじさんでも子供でも同じことです。他方で、イデオロギーや世界観、物の考え方は誰でも変えられると私は信じています。このことを実証するために、おじさんでも四段になれることを世間に知らしめてやるべきでしょう。尤も、60歳から将棋を初めても遅すぎることはありませんが。

(※1)この状況の具体例として、あくまでフィクションですが「頭取 野崎修平(作:周良貨, 画:能田茂)」の9巻第66話を挙げます。

 

覚悟表明はここまでにしておいて、本題に入ります。

先手の四間飛車は既に▲4六歩を突いているので、居飛車は△7二飛と寄って鷺宮定跡を狙います。

本譜は以下、▲6七銀、△7五歩、▲7八飛、△7六歩、▲6八角。

定跡は▲7八飛に替えて▲7五同歩ですが、これも難しい…。

以下、△6四銀、▲7六銀、△8四歩、▲同歩、△8八歩としたのですが、この攻めは悠長でして、桂取りを放置されて悪くしてしまいました。Honeywaffle[1]によれば、△8四歩に替えてシンプルに△6六角で良かったようです。

今まで何局か指させて頂いた経験からして、多分大駒総交換になって下図の局面になるかと思いますが、これなら居飛車は香得かつ飛車を先着できて有利でしょうね。

捌き合いは一般的には振り飛車有利と言われますが、実際にはケースバイケースですね。

【参考文献など】

[1] 渡辺光彦氏Webページ、https://note.com/honeywaffleshogi/n/nf5ea34e9b00b#29dc1524-1ef9-4e74-bcf3-1308018a5617、参照日2023年12月24日


5筋位取り中飛車に対する序盤の指方の見直し

2024-09-23 07:40:27 | 将棋

一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、将棋は原則として、対局者のどちらかが「投了」を宣言して初めて勝敗が決まります。囲碁や麻雀のように、終局時に勝敗が客観的に決まる訳ではありません。大抵の将棋アプリでは、玉が詰んだ時にアプリが自動的に勝敗を判断しますが、あれは本来のルールに反します。

囲碁や麻雀のルールでは、終局の条件と、終局時の勝敗の決め方が定められています。囲碁では、ダメが全て詰まった時に(厳密にはそれに加えて対局者双方がパスした時に)陣地の広い方が勝ちです。麻雀については言うまでも無いでしょう。

一方で、将棋は相手玉を詰ませば勝ちなのですが、1手詰みであってもルールを覚えたての人にとってはそれを判断するのは難しく、ある程度(10級くらい?)の棋力を必要とします。つまり、誰にとっても明らかな形で勝敗を判定することが出来ないので、相手自身に玉が詰んでいることを認めて頂くしかありません。

以上のような感じで、将棋道場では「負けました」と言うことが常識である理由を、私なりに合理的に説明してみました。しかし、私の将棋の先生は、精神的な意味でこのルールの重要性を説いています。その理由を私なりに要約しますと、「負けました」と言うのは己の未熟さを認める辛い行為であるものの、その反面、その人自身が自身の未熟さを気づくことが出来るので、その人なりに改善するきっかけを与えるものである。そして、対局と自己反省を通して試行錯誤することで将棋が強くなるいうものです。

上記は、カール・ポパーの「反証主義」[1]の将棋版と言っても良いでしょう。もちろん私もこの理念に賛成します。そういえば、少し前の日経新聞[2]で、ゴールドマン・サックスCEOのデービッド・ソロモン氏も、「レジリエンス」[2]という表現を用いて似たような趣旨を述べられていたような気がします。

しかしながら、現代社会には(昔よりマシになったとはいえ)全体主義がはこびっており、多分その悪魔的魅力の一つは、このイデオロギーには方法上「負ける」ことが無いことだと推量します。なので、先生の教えにケチをつけるようで心苦しいのですが、先生の理念を現実のものにするために、ファイヤアーベント[3]も勉強したいと思います。

 

おしゃべりがかなり長くなってしまいました。これから本題に移ります。中飛車に対しては玉頭位取りを採用することが多いのですが、最近あまり勝てていません。何か変な癖がついているのかな~。

それでHoneywaffle[4]で計算してみると、どうもそれ以前の問題として、最序盤で間違えているようです。下図が問題の局面です。

ここで、先手は▲6八銀と悠長に構えるのではなく、替えて▲5六歩と反発すべきです。

以下は、中飛車があくまで△5四銀に固執する場合を考えます。居飛車は▲3六歩で桂馬の活用を急ぎます。

中飛車側は、△3二金で2筋を先受けするのが自然でしょうか。居飛車は▲5五歩と取り込んで△同角なら、以下、▲同角、△同銀、▲2四歩、△同歩、▲同飛、△2三歩、▲3四飛、△4四銀、▲3七桂、△3三歩、▲4四飛、△同歩、▲2二歩として・・・

△同金なら▲4三銀~▲3一角の確実な攻めが生じ、桂取りを放置して△2九飛なら▲5九金引で中飛車に後続の攻めはありません。

 

戻って、▲5五歩に対し替えて△同銀なら、居飛車は▲3七桂で力を溜めます。

もし△6八玉なら、▲4五桂、△4四角、▲2四歩、△同歩、▲同飛、△2三歩、▲3四飛、△3三歩、▲4四飛、△同銀、▲同角、△同歩、▲5三銀の強襲が決まります。

それ以外の手なら(△5四飛や△4四銀など)、▲4五桂の攻めを含みに駒組を進めていけば良いかと思います。

以上を纏めると、中飛車が居玉の状態で乱戦に持ち込めば、玉形の差で居飛車が指しやすいというものでした。次からは最序盤で気を付けるようにします。

 

 

【参考文献など】

[1] カール・ポパー著、小河原誠訳、「開かれた社会とその敵」、第2巻下、岩波文庫、pp. 207、2023年

[2] 日本経済新聞、2024年9月8日朝刊、pp. 2

[3] P. K. ファイヤアーベント著、村上陽一郎・渡辺博共訳、「方法への挑戦 科学的創造と知のアナーキズム」、新曜社、1981年

[4] 渡辺光彦氏Webページ、https://note.com/honeywaffleshogi/n/nf5ea34e9b00b#29dc1524-1ef9-4e74-bcf3-1308018a5617、参照日2023年12月24日


対抗系3七銀戦法+船囲い初形への対策(四間飛車の立場から)

2024-09-08 08:47:19 | 将棋

この前に将棋道場を訪れると、新しい親子連れのお客さんがいらっしゃいました。お話ししたところ、その子は普段は別の将棋道場に通っており、近いうちにプロ棋士による昇段試験を受けるとのことでした。私にその練習相手が務まるとは思えませんが、四枚落ちの上手を持って対局したところ、小学生にしては珍しく序盤がしっかりしている印象を受けました。本来の棋力差に対して駒落ちのハンデが大きすぎるので、相手玉をほぼ受け無しに追い込んだ時点で満足していたところ、その子は私の玉を9手詰めの即詰みに打ち取りました。やりますねぇ。

その後、その子の平手の対局を観戦させて貰ったのですが、序盤を自分なりに工夫しているように感じられました。その子は後手でしたが、駒組から仕掛けまでは以下の感じでした。最近流行りの金無双急戦ですね。

居飛車の手順から山田先生の右銀急戦(3七銀戦法・4六銀戦法)の解説を思い出され、感心しながら対局を見ておりました。そういう訳で、今回は振飛車側に立って、右銀急戦を復習したいと思います。

 

以下が基本図です。▲3七銀のところでは本手は▲5七銀でしょうが、棒銀(▲2六銀)と▲4六銀の両含みとするためにこうしています。

まずは、居飛車が端棒銀に繰り出す場合。居飛車の囲いは4筋の抑えが弱いので、振飛車は端歩を受けずに3二銀型のままにし、▲2六銀の瞬間に△4五歩ポンするのはどうでしょうか。

居飛車は4筋を受けるために▲3七銀とするぐらいですが、将来的な▲3一角を防ぐために振飛車は△4一飛としておけば、少なくとも居飛車の出鼻をくじいた形になるでしょう。

次に、居飛車が▲4六銀とこちらへ繰り出す場合。でもこれは、振飛車が△4五歩と追い返したいですね。どうでしょうか。

ならば、▲3五歩~▲4六銀という風に、突き捨てを入れていから銀を繰り出しますか? それだと下図のような展開になって、将来的な△6四角が厳しくなりそうですが・・・。

この右銀急戦なんですが、振飛車党のプロ棋士の中には△4三銀を早めに決める方もいらっしゃっるので(下図は2024/8/22王将戦:高田五段vs西田五段)、その対抗策の一つとして▲5七銀~▲4六銀の仕掛けを含みにしつつ、序盤の駆け引きが行われているような気がします(※1)。なので、右銀急戦の仕掛けだけに注目するのは狭い見方かもしれません。

私にはそのような深い序盤知識は無いので、これまで通り5七銀左急戦を指していこうと思います。

 

(※1) (故)山田九段によれば4六銀戦法について、「それから、今一つの難点は四間飛車が4三銀と上がっていないと、つまり3二銀のままだと、4六銀と出ても効果が無いということである。」[1]

 

【参考文献など】

[1] 山田道美将棋著作集、第一巻、大修館書店、pp. 150、1980年


著作権ルールに関するお詫びと反省(その1)

2024-08-30 22:25:43 | ネットリテラシー・著作権など

今まで著作権ルールには無頓着だったのですが、ブログを通して不特定多数へ情報発信することになったので、著作権関連の本を何冊か読みました。そして、過去投稿を見返してみると著作権ルールに違反している恐れのある箇所が2件見つかったので、この場をお借りしてお詫びと反省を述べます。

 

①引用文をアイキャッチに使ってはいけない

前回の投稿「4五歩早仕掛け?の対策について」をリリースした当初は、山田先生の著作からの引用文を冒頭に記載しておりました。しかし、宮武氏の著書を読んで、前記は引用ルールに逸脱している可能性に気づきました。なお、当該文章は既に修正しております。

宮武久佳著「正しいコピペのすすめ 模倣、創造、著作権と私たち」 p. 61の「守りたい引用ルール」からの抜粋[1]

「(1)自分のコンテンツとの脈絡において必要性があること(目立たせようというアイキャッチの目的や飾りの目的では使えない)」

※下線は筆者が追記。なお、(2)以降は割愛

一般的に、冒頭文は読者の興味を引くために趣向を凝らす必要があり、それを引用文に担って貰おうとするのは、正にアイキャッチの目的に該当します。これは知らなかったでは済まされません。深くお詫び申し上げます。

 

②歌詞の和訳は、たとえワンフレーズでもNGの可能性が高い

他の引用ルールとしては、引用文は自身の内容を補うためのサブ的なものであって、引用文自体がメインとなってはいけないというものがあります。このため、「洋楽の歌詞の和訳」という内容だと、たとえワンフレーズの引用であっても、他人が創った歌詞がメインと受け取られても仕方ないでしょう。それに、翻訳行為は明らかに、著作物の二次利用に該当します。

以前のブログ投稿「買ってて良かったオックスフォード現代英英辞典」では、英英辞典の活用方法がメインであるので、その活用例としてパンクロックの歌詞の一節を持ち出すのは、ルール違反を免れている気がしますがどうでしょうか。

以上の理由により、これからは楽曲への感想をメインに据え、その論拠として歌詞の一節を引用する形にします。著作権法(第47条の6)では引用文を自分で翻訳することが認められているため、これなら問題ないと考えます。

 

ブログを通して社会と関わっている以上、著作権の問題は今後も注意するように致します。関連文献を読んで気になることが見つかったら、またブログで取り上げるつもりです。

 

【参考文献など】

[1] 宮武久佳、「正しいコピペのすすめ 模倣、創造、著作権と私たち」、岩波ジュニア新書、2017年