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観艦式もいよいよ大詰めです。
次は訓練展示。実弾も使用し、艦艇や航空機の能力の一部を披露するものです。さきほどの“観艦式”では逆光でしたが、180度進路を変えた今、写真を撮れ!といわんばかりのいい光線具合です。
まずは艦艇部隊の展示から始まります。
第1群 「はたかぜ」「さわかぜ」主砲による祝砲
「はたかぜ」(はたかぜ型)、「さわかぜ」(たちかぜ型)は、アメリカ製Mk.42 5インチ砲をライセンス生産した73式54口径5インチ単装砲を装備しています。
なお、海自には“5インチ砲”と“127mm砲”があり、両者はともに127mmで同じサイズですが、アメリカ製はインチ、ヨーロッパ製はミリで呼ばれます。同じイージス艦でも「こんごう型」が127mm砲(イタリア製)、「あたご型」が5インチ砲(アメリカ製)なのはそのためです。
「はたかぜ」発砲
「はたかぜ」艦上の参観者が耳を押さえているのがわかります。意外と大きな音が響いてきましたが、ほぼ同じ口径の90式戦車の至近での発砲に慣れているいたっきいたちには「まあ、こんなもんか」程度です。
第2群 「ゆうばり」「ゆうべつ」 対潜ロケット弾発射
「ゆうべつ」から発射される375mm対潜ロケット弾(21日撮影)
スウェーデン、ボフォース社の375mm対潜ロケット発射機を国産化した「71式ボフォース・ロケット・ランチャー」から発射されます。炸薬は80kgと強力で、これを最大3.6km先まで投射できます。
ゴッという短い発射音とともに飛び出すロケット(23日撮影)
第二次大戦中のヘッジホッグからはじまる「無誘導のロケット+爆雷」はもはや時代遅れだといわれ、短魚雷やアスロックの配備とともに減りつつありました。しかし最近では対魚雷防御の兵器として見直されているようで、未だに改良型が誕生しています。
爆発の瞬間。「ゆうばり」の向こうに水柱が上がる
大気を伝わって爆発音が聞こえるよりはるかに早く、金づちで叩いたようなカン!という音が艦底から聞こえます。爆発の水中衝撃波が艦を叩く音です。
第3群 「そうりゅう」航行、「わかしお」「なつしお」急速潜航・緊急浮上
世界最大の通常動力潜水艦にして、AIP機関搭載艦「そうりゅう」
潜水艦は艦番号もなく見分けがつきにくいですが、見分けるポイントもあります。「そうりゅう型」は、葉巻型の艦体と、付け根が流線型に整形され、前後に長くなったセイル、艦尾のX舵が特徴です。
一生懸命潜る「わかしお」(21日撮影)
遠方に漁船群と、監視する巡視船・護衛艦が見える
潜水艦は艦内のバラストタンクに大量の海水を入れて重量を増やし、潜航します。艦内には圧搾空気のボンベがあり、この空気をバラストタンクに放出してタンク内の海水を排出することで浮上します。
潜舵を一杯に下げて潜る「なつしお」(23日撮影)
アンテナ類を倒し、潜望鏡のみ上げて「なつしお」が潜っていきます。潜航開始から完全に姿が見えなくなるまで、約1分でした。
緊急浮上する「わかしお」(21日撮影)
一瞬海面が泡立ち、直後に海面を大きく割って浮上!
潜水艦がこうして急浮上することは通常ないため、貴重な瞬間といえます。ベント弁から出る空気が潮を吹くように見えるところや滑らかな艦体を見ていると、なんというか…クジラみたいでした。
第4群 「ひゅうが」「さざなみ」からのヘリ発艦
これぞ「ひゅうが」の真骨頂、複数機の同時発艦です。これまでの護衛艦では、1機のヘリを上げてからもう1機のヘリを格納庫から出し、ローターを展張してエンジンをかけていたため、2機のヘリを上げるのに約20分かかっていました。
ちなみに、前部の艦橋が操艦用で、排気口(煙突)の後方にあるのが航空艦橋(管制塔)です。
「ひゅうが」の速度に合わせてホバリングするSH-60K
21日は風もほとんどなく、「ひゅうが」は観閲部隊と反航しながらヘリを発艦させましたが、23日は北からの風が強く、おおきく右舷に回頭した後に発艦させていました。発着艦時に風上に進路をとらなければならないのは、昔から変わらない空母の宿命です。
彼方に「おおすみ」。在りし日の空母機動部隊みたいw
マーシャラーの位置が、陸上基地と同じくらい離れています。運用の自由度だけでなく、安全性も格段に向上しているようです。
次回の観艦式には、ぜひ「ひゅうが」「いせ」で航空艦隊を編s(検閲削除)。
第5群 「LCAC」×2艇 高速航行
エアクッション型揚陸艇「2101」「2102」
ガスタービンの排気音と水しぶきの音を立てて、エアクッション艇がやってきます。波の上を跳ねるように軽々と進むホバークラフトは、見た目にも他の艦艇とは違った存在感があります。戦車を積んでいたらこんなに軽々と航行できないとは思いますが…
海上を疾走する「2101」。プラットフォームは奥に見える「おおすみ」
「2102」艇。艇体を包む飛沫が空気の流れを示している
底面から空気を出して浮上しているため、飛沫が盛大に上がります。軽量化と腐食防止のためと思われますが、艇体は(おそらく)アルミ合金製で上構は無塗装です。
第6群 「くまたか」「おおたか」IRデコイ発射・高速航行
IRデコイを発射した「おおたか」
正面から見るとシンプルで実に格好いい「はやぶさ型」ミサイル艇が2隻、観閲部隊の10時の方角から接近してきます。「はやぶさ型」は、敵艦に肉薄するというその性格から、正面のRCSをできる限る抑えるための努力をしているのが分かります。
両艦は同時にIRデコイを発射、右に転舵して観閲部隊と反航します。
大量の赤外線を放出するIRデコイ
IRデコイは、その名の通り赤外線(infrared)をばら撒く囮弾です。その名から、航空機搭載のIRフレアのような“火の玉”状のものかと思っていましたが、見た目には戦車や装甲車に搭載されている煙幕に近いです。もしかしたら、画像赤外線誘導ミサイルなどを避ける目的もあるのかも知れませんが、詳細は不明です。
煙を割って進入、右に転舵する「おおたか」
急速に転舵しても艇体が全く傾かないので、おそらくフィンスタビライザーが装備されているのだとは思うのですが、それらしい記述は調べてもありませんでした。
速度感を出すために「くまたか」を流し撮り
このフネ欲しいなあ…ゴホン!独り言です。
主機はLM500ガスタービン×3。これは前述のLCACと同じものですが、さらにチューンナップされています。航空機用エンジンを艦載型にしたものですで、有名なところではA-10攻撃機が同じエンジンを搭載しています。
艦首で切り裂かれる波の様子から、かなりの速度が出ていることが分かります。こうしてミサイル艇は颯爽と去っていきましたが、その影響で「くらま」以下の艦艇の一部が煙に包まれてしまいました。
IRデコイの煙幕?に包まれる「くらま」
視界がふさがれるため、乗員にとっては緊張が高まった瞬間だったとは思いますが、「いなづま」から見ているぶんには格好いいシーンでした。
続いて観閲部隊後方から、展示航空部隊が進入します。
まだまだ続く。
いい加減に終わらせろ!
という声が聞こえてきそうです。
という声が聞こえてきそうです
いえ、どんどんやってください!
ありがとうございます。
冗長に過ぎるとは思うのですが、書き始めたらとまらなくなるんです。ライター(テーマが元々あって、決められた文字数にまとめるのが仕事)より作家(ある程度自由に書ける)向きなのかも?と思わないでもないです。機会があれば、好き放題に1冊書いてみたいです。
書く時間を確保するのが一番問題だったりしますが。
故ソルジェニーツィンさんの「収容所群島」の冒頭献辞を思い出しました。アリは新潮文庫だったと思いますが、自分の「見聞、記憶、洞察」の至らないことをわびる趣旨のことがありました。
書き出したら止まらない、話し出したら止まらない、ことって、魂の領域に属するのだと思います。読み出したら止まらない、聞きだしたら止まらない、現象ってあると思います。いずれも、常識的な生活を超えた部分のことだと思います。
睡眠は十分とられて、食事は規則正しく、お元気にされ、どんどんやって下さい!こちらもしっかりと読みます。